Web版ひであき日記

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  関西若手議員と共に(佐賀市→春日市→福岡市)
2004年08月02日 (月)

hare.gif 播但線で姫路。新幹線ひかりレールスター。車中で広島駅弁夫婦あなごめし。博多到着後、特急かもめに乗り換え佐賀。徒歩で佐賀市役所。”ジェネレボ"(generation revolutionの略)なる関西若手議員のメンバーらと合流。彼らの活動はHPに集約されているが、若者の政治忌避、低投票率がもたらす悪影響を憂う活動。活動の中心は京阪神。私は非メンバーだが特別参加。

ジェネレボHP http://www.xdl.jp/gr/

ジェネレボ・メンバー
今村岳司 (いむむら・たけし) 2期西宮市議会31無
田中正剛 (たなか・まさたけ) 1期西宮市議会28無
栗山雅史 (くりやま・まさし) 1期西宮市議会30無
多田浩一郎(ただ・こういちろう)1期宝塚市議会31民
越田謙治郎(こしだ・けんじろう)1期川西市議会26民
福島真治 (ふくしま・しんじ) 1期大阪市議会34無
友田景  (ともだ・けい)   1期柏原市議会28無
村山祥栄 (むらやましょうえい)1期京都市議会26無

メンバー外
杉尾巨樹 (すぎお・ひろき)  1期鹿児島市議会28自
http://www.sugio.org/

議会事務局に案内され、席につくやメンバーの3人がカバンからパソコンを持ち出し開く。まず、この光景に驚く。ヒアリング内容を直接打ち込むためだが、実は私も昔やっていた(一人だと浮いてしまう)。米国では当たり前だが、日本の地方議会でも本会議場や委員会席へのパソコン持ち込みが可能な議会もある。姫路市議会では時期尚早。

しかし、今回のメンバーの共通項は非二世、20〜30代。私でも10人中4番目の年長という。都市の規模は260万人の政令市から7万人の都市と様々だが、得票数は私が8979票と2位の方のほぼ2倍。報酬月額+政務調査費月額は少ないほうから4番目。人口密度は姫路市が最下位。

京都の村山くんは鵬志会の後輩だし、多田・越田の両氏は民主党兵庫県連の関係で旧知の関係だが、他の人は初めて。銀行・ホテル・広告代理店・出版社・議員秘書と出身はまちまちだが、話を聞いていると、全員が市場主義の発想、行政の効率化を志向。イデオロギー的には改憲かな。いわゆる市民運動派はいない。質問の内容を聞けば勉強していることもわかる。相手市の担当者の「皆さんが本気で勉強しにきているのがわかります」という発言もあったほどだ。その他面白い共通項としては、私も指摘した視察問題の愚痴も聞いた。全6常任委員会の視察のうち3つが北海道の某市に決まりかけ、事務局職員が慌てて『マスコミに騒がれます』といって1つの委員会に北海道以外の地域を選択させたという(苦笑)。近畿圏の視察がないことも一緒だし、この意見が多数にならないことも一緒…。

また、行政改革については全員が極めて強い関心を持ち、ほぼ同じ認識。遅々として進まない行政改革、意識の乖離を嘆いている。姫路と鹿児島を除く京阪神の自治体は同じ理由で特にひどいようだ。その典型的な休息時間の朝(夕)付けが未だに存在していると言う。これは拘束時間内のリラックスタイムを勤務時間の前後につけ実質的に遅勤・早退し、休憩時間を除く8時間の拘束時間を7時間30〜45分に短縮する手法。民間ではあり得ない…。先進事例を熱心に勉強も大切だが、旧態依然の悪弊を改めるべき。予算を止めればいいだけ。ところが同じ理由で改革が出来ないという。賛同者や理解者が議会内の少数であるということだ。議会は過半数をとってこそ真の権限を行使できる。それがために、2期目の今村さんは、若手議員を積極的に増やす努力をしたという。それも西宮だけではない。全国で政治の間口を拡げ、改革に熱心な若手政治家を育てるため、NPO法人ドットジェーピーを設立し、学生のインターン生を受け入れる運動を始めたという(彼は法人の副理事長)。私もこの意見に賛同し、今回、同法人を通じてインターンを受け入れる。

「選挙で勝ち抜いた他の議員の意識を変えるのは並大抵ではない、というより無理に近い。また、同じ選挙区で戦う他の議員に改革に賛同(賛成)してもらうには、譲るべきことが大きすぎる。つまり、そんな労力を使うより、意識の違う人を選挙で勝ち上がらせて改革をすることの方が早いし、真の改革」というのが結論のようだ。HPもかなり過激。西宮の栗山さんなどは、私と同じく統一地方選で初当選したばかり。政治経験が僅かであるにもかかわらず、議員養成塾 http://www.kurix.jp/politix/ を開いたという。私など彼らに比べれば口舌の徒だ。

視察では、佐賀市教育総務課、契約検査課の担当の方から「コンストラクションマネージメント(CM)」(小学校校舎建設事例)についてヒアリング。CM方式を採用した経緯、成果と課題について。その後、質疑応答。

CM方式とは、入札・建設に関わる業務自体を民間委託する方式。つまり、建設業者の選定を市が直接行わず、市と契約した民間事業者(コンストラクションマネージャー)が、独自のコスト計算を前提に複数の建設業者と交渉し、業者を選定する方式。要は民間企業が発注する方式。JV(ジョイントベンチャー)を認めず、ゼネコンのほか、下請け業者も分野ごとに選考を行うという(選考のため地元企業の優先等も可能)。民間業者が試算したところ、積算段階で市場価格と差があり、発注時の予定価格の段階では市価の3割高という計算になるという。中間的に入るCM業者等の経費を差し引いても2割程度のコスト削減が可能という。

これまで、いわゆる横須賀方式の入札に申請・入札同時受付方法を加え、予定価格の公表、郵便入札など様々な入札改革をしても、2年目には効果が低下し、落札率が次第に上昇してくるのだそうだ(郵便入札でも高止まりということなら、理論的には電子入札を行っても無駄)。また、落札率と工事完成検査点数の相関図(グラフ)を見せていただいたが、「落札率が低い(安い)方が検査点数(完成度)も低い」「予定価格に近いほど完成度が高い」等、よく指摘される「低落札=手抜き(危惧)」という構図は全くないという。私のこれまでの認識も間違っていた。低価格入札を恐れる理由は、品質保持ではなく、ダンピング防止だけということだろう。

CMとは行政自ら予定価格設定の高止まりや入札改革の限界を見切った制度と言えよう。一昔前なら、責任回避という批判を受けそうだが、それぐらい自治体の財政も厳しくなり、コスト削減意識が浸透してきたということだろう。もちろんCM業者が談合すれば元も子もないというリスクもある。今後も採用していくかは今後検討するという。一方、国が協力に推し進め、恵まれた補助金があり、固定資産税の減免も予想されるPFI方式だが、導入する自治体は鈍化傾向にあるようだ。制度が複雑なこと、ノウハウ・工事規模共に地場業者よりゼネコン中心で、議会の反対も多いからだという。姫路では導入が予定されているが反対の声は聞かない。

そのほか「佐賀市公共工事コスト縮減対策に関する新行動計画」についても伺う。佐賀市の公共事業についての考えは参考になる。入札に関して言えば、議員や元議員からの指名強要等の圧力や予定価格の聞き出しはもとより、問い合わせを受けただけで報告書を逐一作成し、市長まで報告書をあげるという。もちろん、その報告書は公文書。つまり情報公開の対象。今の時点で、新美化センターに関する様々な噂が流れている。何回も言及しているが、そろそろこの提言を採用してもらいたい。「なんでや」と5回ぐらい聞かないと駄目かな…。

その後、徒歩で佐賀駅。駅弁あら玉のカニちらし寿司を購入。相当な上げ底。L特急ハウステンボスで二日市。鹿児島本線で春日駅。徒歩で春日市役所。

春日市視察。春日市と言えば、日経新聞社の調査で「民間委託度ランキング」日本一の都市。姫路市は同調査で602市区中417位。政策審議室から詳細な調査内容を送ってもらい他都市と比較して分析。同調査によると全国で”全面”民間委託が進んでいる事務は、本庁舎清掃88.9%。次いで、本庁舎警備66.0%、道路測量・現況地図作成50.6%の順という。一部委託を含めれば、いずれも80%以上の自治体で民間委託。これ以外にも、NPO法人が新たな担い手になったり、指定管理者制度の導入で委託の動きは拡大の一途だという。しかし、ランキングを見ると、大都市近郊の中規模都市で人口密度の高い自治体が上位に。やはりあまり大きすぎても効率よく経営できないようだ。公共施設等は近隣の自治体と共有するという考えもある。また、春日市では単なる効率化の民間委託でなく、保育所や小学校給食については、公営も残し、民間と競わせているという。民間だけでも駄目という発想もいい。寡占も市場主義の敵ということだろう。感心。

しかし、春日市の行革を担当している行政管理課の方の話には感心。民間委託を「サービスが落ちる」「(民間は)責任を取らない」など批判する話がよくあるが、これは民間人を納税者、お客様という意識で見ていない発想という。「住民との顧客契約」「競争原理」によって、最大の住民満足を求めるのが行政の使命という。実際に行革の方針を示した文書にも「根底にある考えは『1円でも多く、市民の方々に還元する』こと」と明記されている。特段の産業もないことから努力して人件費の削減や効率化を図っても簡単に財政は好転せず、地方債残高も減らないという。「民間企業が大変厳しいリストラをしているのだから、公務員もリストラしろ」という市民の方が多いのは承知しているが、(特定の場合を除き)法で解雇できないとなっている以上、公務員の解雇はできない。私の認識は、公務員は就業時の契約として解雇しないという契約を結んでいるというもの。つまり、後で解雇できるように法律を変えるのは信義に反するという理解だ。つまり、民間委託の予想される分野は早いうちに退職不補充の方針を出す必要があるということだ。もちろん、説明責任と実施までの周知期間をなるべく多くとることも必要だ。組合の話も出た。なんと説明してくださった行革担当者が書記長という。再度、感心。

春日市のバス(運行は西鉄バスに委託)で西鉄春日原。天神大牟田線で天神。福岡市の「ロボット開発・実証実験特区(2003年11月28日認定)」について福岡市経済振興局産業政策部新産業振興室の担当者からヒアリング、質疑応答、現場ロボスクエア視察(博多リバレイン地下2階)。議員になって政令市の視察は神戸市に次いで2市目。

ロボット産業で現時点で税収が高くなるという話ではないが、中国や韓国が近いということもあり、労働集約型産業を誘致することも難しく、新しい産業を起こすことで対抗しようとする意味もあるという。経済波及効果・雇用創出効果は今のところ、先行投資としかいえないだろう。ロボスクエアの施設で企業を立ち上げたベンチャー経営者が熱心に語る様子に応援したいと思った。子供のころからものづくりに興味を持ってもらわなければ日本の製造業の衰退が一層加速化されてしまうかもしれない。こういった支援策も必要だろう。

タクシーで稚加榮。明太子など。一風堂でラーメン。博多から新幹線で小倉(北九州市)。タクシーで小倉東急イン。

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