06/05 (金)
第301回6月定例議会の招集日。あまり知られていないが、県議会HPには「兵庫県議会クイズ」というコーナーがある。設問自体は難しくなく、商品がある割には応募者が意外に少ないという説もあるので、興味のある向きは挑戦してほしい。
兵庫県議会クイズ(平成21年度第1回) 全問正解者の中から抽選で、「兵庫県立フラワーセンター」の入場券2枚と、鉢植え一鉢(ハイビスカス)をセットにして、5名の方々にプレゼント
車で県庁。議会事務局の警察常任委員会担当職員から陳情案件の説明。その後、会派の議員団総会。議運、提出予定議案の説明、県議会関西広域連合調査特別委員会の会派選出委員3名を決定。S県連幹事長、N会派政調会長と私に決定。 その後、本会議。I知事による新型インフルエンザへの対応等についての報告と議案の提案理由説明。国から内訳が示された「直轄事業負担金」についての言及も。「その廃止が実現するまでの運用面の改善に向けて、負担金の算定基礎となる経費の詳細について情報開示を求めてきました。しかしながら〜細目単位の使途の積算についても明示されないなど不十分なものでした…」。開示があったものの不十分だったということのようだ。
また、平成20年度決算見込みについは、現在出納を閉鎖し集計中とのことで、「新行革プランに基づく改革の成果もあり、一般会計の実質収支が、過去最低の黒字額であった平成19年度決算(3,400万円)より改善するとともに、実質単年度収支が8年ぶりに黒字に転換するものと見込まれる」との話も。平成19年度一般会計決算の実質収支は3,400万円の黒字、前年の18年度が7,900万円の黒字だったが、本県の2兆円の一般会計規模から考えれば、いずれも0.01%以下の比率。昨年度は他会計からの借入れでなんとか黒字を確保したという綱渡りの状態でもある。見込みの黒字幅は不明だが、いずれにしろ今後も厳しい財政運営に変わりはなさそうだ。
知事提案説明
本会議終了後、I知事との写真撮影。クールビズスタイル! その後、昼食。ラッセホールの弁当。その後、再び会派総会。兵庫県知事選への対応について協議。マニフェスト的な「私の政策」も示された。その後、大会議室。兵庫県議会300回記念講演会。林宜嗣関西学院大教授(地方制度調査会専門小委員長)による「地方分権時代の議会のあり方」。今回は記念講演ということで県内各市町議会の議長にも出席を呼びかけたという。
参加市町議会議長を代表して挨拶する谷内敏姫路市議会議長。私の姫路市議時代の同じ会派「市民クラブ」の先輩である。
講演の中で林教授は、(地方分権や地方出先機関の整理統合を強く主張している)政府の「地方分権改革推進委員会」に招かれた時の話を披露。分権推進派の民間企業出身委員から「地方議会は何%ぐらい機能しているのですか?」と質問され、答えに窮したという。委員会終了後、一緒に出席した地方制度調査会側の出席者から「(質問した委員の属している企業の最高議決機関である)株主総会はどれほど機能しているのですか?」と反論すればよかったのでは、とアドバイスされ笑ったという。多くの株主総会や地方議会はたいして機能していないというオチの話だろうが、当会場で笑っている人はいはなかった…。
国の予算や制度、事務執行上の問題点が国会での野党による質問や報道機関によってチェックされているのに対して、地方はそうした機能が十分でないのははっきりしている。地方議会にしても、二元代表制(大統領制)の一つとはいえ、議案の修正がほぼゼロという現実がある。否決はおろか、修正すらほとんどないということは、首長提出議案の無謬性の証明ではなく、そうした機能が議会に備わっていないと見るべきだろう。教授の表現を借りれば「追認機関」ということになる。
修正機能が国会にしかないといっても過言ではない現状は忸怩たるものがある。とはいえ、修正のためには議員や議会のスタッフ機能が求めらるが、地方議会の場合、その機能はごく限定的。政策秘書等の機能も全ての地方議会にない。スタッフ機能を充実させるためのコスト増は難しい財政状況の中では、議員削減で浮いた財源を回すほかないと思うがこうした考えの現職は少数である。
国会、市会、県会と順番に見てきてわかったことがある。国会における調査や審査機能は国民の皆さんからよく批判されているが、実際は地方議会と国会の間には、国民の皆さんの想像以上に大きなレベルの差が存在しているということだ。国会と地方議会では議院内閣制という制度の違いもさることながら何より1議員あたりの有権者数が全く違い、選別の度合いが違うからであろう。当然と言えば当然である。
地方分権を考えたときに、議会機能はどうするのか。地方では、いまだに都道府県議会レベルでも質問者に事前に答弁書を渡しているところもあるし、前日までに質問を全て入手して答弁原稿を読むリハーサルをする議会もある。鳥取県の片山前知事はある都道府県議会のことを「学芸会」と批判していたが、再質問とその答弁まで最初から決っているという。林教授のいうチェック機能の向上は「学芸会」では期待できないだろう。
県議出身の国会議員が地方分権を公約に掲げつつも、地方の実情を考えれば地方分権に不安をもつという話をしていた。選別度合いから考えれば、国会と地方議会の質の差が最も大きいが、それだけではない。その議員は、コンプライアンス、法令解釈や事務処理能力の点で国と地方はまだまだ差があるという話だったが、これについては何度か当日記でも書いた。そういえば、国が県に開示したという「直轄事業負担金」の明細が不十分ということだったが、今日はこの明細の開示についてある顛末もあった。国会ではありえない初歩的な話もあり、正直驚いたのだが、地方では超法規的なよくわからない理屈等が堂々と通ったりもする。属人的に判断される事項の比率も高い。本当に分権して大丈夫なのかとジレンマにも陥り、今回のようにがっかりすることもある。
地方分権というが、譲る側の中央省庁が反対しているだけでなく、受ける側にしても意欲がある人は実は知事など限られた人だけなのかもしれない。権限も予算も増え、責任も増える。また仕事も増えるものの、人員や給与はこのご時世まず増えない。これを皆が好むのかということである。一方、中央省庁は所管の事務が増えることを喜び、省庁同士でも事務の取り合いをよくしている。省益という表現も使われるが、予算が力の源泉だと考えている。地方では逆に事務の譲り合い、押し付けあいをすることがよくあるそうだ。実は、地方を経験した中央省庁出身の人がよく指摘する地方との「違い」がこれ。省益云々より志向の違いの差が大きいという中央省庁出身者の指摘を聞いたとき妙に納得した。分権をするなら人材の再配分もあわせて行わなければならない。地方分権「言うは易し、行うは難し」である。
林宜嗣関西学院大教授
また、議会の実地調査権や監査のあり方などの議会チェック機能の充実を含む第29次地方制度調査会の答申方針についての話も。地方自治法の議会定数上限の撤廃など、一貫して定数削減を進めてきた国の、地方自治法による議員定数の関与をなくす方向性も示されていた。上限をなくし自治体に任せると、現在の定数削減傾向も変わるかもしれない。議員数を増やす一方、議員報酬を削減してボランティア化するなどという施策も可能になるからだ。
地方の小規模自治体を見れば、議員は日給制も始まるほど低報酬となってきており、非専業が大半で、自治会など地縁団体の役員と兼ねる例や集落代表という人も多く見られる。役割も似通っているからだろう。この層は行政に陳情はしてもチェック機能を果たす志向は少ない。地域の代表にはチェックという役所から嫌われる役をしても得はない。チェック機能の充実を確保するなら定数削減と繰り返し言っているが浸透しない。陳情タイプだけでなく納税者の代表というタイプもいないとチェック機能は働かない。合併が一段落し地方選挙を一度経た後で、大幅削減となる上限を定め実施した上で、その後撤廃するぐらいのことをした方がいいのでは。
終了後、谷内姫路市議会長と話す。姫路市議会も本会議のネット配信を6月議会から試験実施するそうだ。私が県議会で質問した際にネット中継を見られて、姫路市議会でも導入できないかということで提起され実現の運びとなった。費用は他の広報コストをカットする形で工面したという。姫路市議会の議長は申し合わせで1年交替。任期の中で、このネット中継・録画放送の導入のほか、議長交際費を大きく削減し、情報公開も着実に進めることができたと話されていた。次期姫路市議会議長を決める本会議は6月9日に行われる。
その後、先輩議員や職員らと四方山話。その後、北野の六甲荘。県庁白城会。県庁職員で姫路西高出身者の会である。私も顧問ということになっている。白城会本部からY理事長、4月に小野高校校長から赴任されたN校長、神戸支部のS会長ら来賓らの後、私も挨拶。6月議会終了時に県会常任委員会の交代があることから、文教委員会かもう一つの委員会のいずれかを選択しなければならかったのだが、教育行政については、私の高校時代の先生方が4人も県立高校の校長に就任されていることや教育委員会事務局にも恩師をはじめ多数の本校出身者がおられるということで、安心して文教常任委員会に行くのは辞めましたと挨拶。少し笑ってもらった。
県議会にいると非管理職の人や若い世代の方と話す機会が少ない。会場では本当に多くの方からいろいろと話を聞かせていただいた。書けない話も多いが、頷くことばかり。本当の生の声をきかせてもらう。県庁白城会は退職したK前会長にかわってN新会長が就任された。県議会関西広域連合調査特別委員会でも出席されると思うので、ガチンコの議論ができそうだ。
姫路で開催されていた播磨臨海地域道路の実現を図る会には出席できず。その後、帰宅途中、JR姫路駅構内でT知事と遭遇。神戸に帰るところということだが、驚いた。 |