01/27 (火)
ホテルをチェックアウト後、沖縄唯一の列車ゆいレール旭橋駅。ゆいレールとは、国、沖縄県,那覇市と沖縄都市モノレール株式会社(沖縄県、那覇市、沖縄振興開発金融公庫及び民間企業の共同出資による第三セクター)が一体となって建設したモノレール。インフラ部は国、県、市が建設し、沖縄都市モノレール株式会社が、車両、変電所,電車線路、信号通信,駅施設設備などを施工し、モノレール事業を経営。ワンマンカーで駅同士の間隔が短いため、女性運転士の客室のドアの開閉から発車・停車に至る行程が忙しい。
おもろまち駅で下車後、タクシーで沖縄職業総合庁舎。当然多数の失業保険受給者、職探しの面々で大混雑。那覇公共職業安定所に併設の沖縄県キャリアセンターを訪問。女性のTセンター長からヒアリング。
同センターは29歳以下(高校・専門学校・大学生も含む)の若年雇用対策施設で、就職活動ガイド、カウンセリング、インターンシップ、県内の資格講座紹介などを行うという(直接の斡旋業務は隣接の職安が担当−この点が神戸や渋谷にある国の同様施設とは異なる−拙者調査)。施設の設立経緯は、特に深刻化する若年層の無就業問題(一度も雇用されていないため、失業者[率]には含まれず。雇用保険の支給もない)対策。
景気低迷は言うに及ばず、沖縄特有の就職活動時期の遅さ(前年4月の沖縄電力内定が就職戦線の幕開け)、学校教諭陣の「就職活動は自助努力、親の責任」という古い概念の中で、(県内高短大専)新卒者12000人のうち、内定者が5000人、希望しても職に就けないものが2000名を超えるという深刻な状況に対し奮闘の様子。
特にフリーターに関する分類では極めて興味深い話も拝聴。「ほっておいても仕事を見つけるエリートフリーター(2割)、就職希望があっても内定まで至らないスキル不足フリーター(6割)、仕事がなくてもこのままでいい世捨て人フリーター(2割)」があると。人事の世界では2:6:2の法則は一般的だが…。その6割のスキル不足フリーターに、研修やカウンセリングを通じて就業につなげていくことが当センターの目的と。実際に利用した方によるカウンセラーに対する満足度調査の結果は100%を誇るという。ただ、当センターに足を運ばせるまでが大変な苦労だという。
実は、大手民間就職情報会社にいたTさんが飛び込み営業で、沖縄県に当センター設置の企画を持ち込んでから、この計画がスタートしたという。企画実施が決まった後、県に職員として派遣され、現在、雇用対策課副参事(課長級)兼センター長として当センターの運営に当たっている。プレゼンテーション能力がきわめて高く、営業スマイルもばっちり。いかなる質問にも的確に答える。感心。同僚議員からは「やはり民間出身だった」という声が聞かれた。また、Tさんは、「(2年契約の)私がいなくなっても、当センターの運営が上手くいくよう、人脈やノウハウの引継ぎに努めている」という。業務内容の充実振りに個人の能力に負うところが多く見られる。センターを出た後、他の議員からも、Tさん不在なら運営は厳しいのではないかという声も聞かれた。その位、力のある方だということ。
私も、市議会本会議で指摘したが、新卒無就業者は失業率の数値に反映されないし、日本の将来、年金未納や少子化の問題とも密接に関係するだけに、若年層の雇用問題は特に重視されなければにならないと思う。Tさんは、当センターの担う業務の大半が、本来、学校就職課の役割だと言っておられた。私も同感だ。アメリカでは、就職率や卒業後10年後の年収等が調査機関を通じて公表され、それが大学のランクに密接に反映される。日本でも立命館大や金沢工業大なども就職課の先駆的取り組みで知られる。日本の他の大学や高校も就職や年収のランクが公表されない限り、就業援助機能の充実は二の次であり続け、行政の役割であり続けるのだろうか。私の提案した行政による緊急直接雇用は永続制度ではなくモラトリアムに過ぎないのだが。
その後、雨中、タクシーで那覇空港。琉球エアーコミューターで奄美空港。空港内レストランで鶏飯(けいはん)なる郷土料理。美味。鶏のささみを割いたものや錦糸玉子等をご飯の上におき、鶏の出汁スープをかけて食す。軽々に鶏茶漬けとは言うべきにあらず。
その後、タクシーで名瀬市のNPO法人ゆずり葉の郷。議会事務局のIさんの挨拶の後、青少年問題について拝聴。
20年前から、青少年の非行問題に取り組むMさんが設立したNPO法人に対して、行政がその多大なる成果を認めて、元消防士のMさんを福祉政策課青少年支援担当に配置換えすると共に、NPOに担当の職員を派遣したり、予算をつけ支援。Mさんは、警察や鑑別所、保護司等の手に負えない非行少年を含め、共同生活する中で、矯正をはかっていくという。非行する子供に対して力を誇示する場合は、有段の奄美拳法が役立ち(ただし鉄拳は使わないとのこと)、エリート意識を払拭させるために自分の非行歴を披露する、また共に生活し共に鍋をつついて非行に走る心の病を解放していくという。様々な体験談、失敗談、資料を含め、私生活をほぼ全て子供の更生にかけるという取り組みに感嘆。こういった取り組みも個人の資質によるところが大きい。ゆずり葉とは、「新たな葉(子)が育ってきたとき、古い葉(年老いた親)は新たな葉に譲るためにはらりと落ちていく」という、親が子供に対する無償の愛を見るようであることから名づけられたという。この名前の由来を聞き、落涙寸前。
終了後、舟町の奄美セントラルホテル。T小学校、M中学校と電話&FAXによる打ち合わせ。喜多八。豚足黒糖焼酎煮、パパイヤ漬、マダ汁(アオリイカの墨汁)など。なぜか私の席に他の面々が箸をつけぬ料理が集中(苦笑)。
その後、同僚のAさんらと懇談。奥様との結婚、選挙の話に聞き惚れる。感心。その後、近隣のスーパーで、みきなる奄美伝統の飲み物を買い求める。米・さつまいも・白糖が原料。牛乳・ヨーグルト・甘酒の混ざったような味。 |