T 真の分権型社会の構築と県民の参画と協働に向けて


1 地方分権の推進

(1) 地方分権の推進

 地方の自己決定と自己責任の原則を確立し、地方が自らの権限と責任、財源を持つ分配・自立型の行財政システムを構築するため、新政権の動向を見極めつつ、国と地方の役割分担の抜本的な見直しや地方公共団体の事務・組織・運営に関する法令の制定改廃に係る国と地方の調整システムの確立など、第二期分権改革の推進を国に対して強力に働きかけるとともに、県の内発的な取り組みも一層積極的に推進すること。

(具体的申し入れ事項)
  • 本格的な税源移譲等による地方税財源の充実強化と、税源移譲に伴う自治体間の財政力格差の拡大を防ぐ新たな制度の導入やセーフティネットとしての機能向上も含めた財政調整制度の強化を、国に対して積極的に働きかけ、その実現を図ること。【当局からの回答】
  • 国と県の役割について、広域行政に純化されていく県と総合行政体としての国との役割分担の明確化に向けて、さらに検討を進めること。【当局からの回答】

(2) 県と市町の役割の見直し

 市町が適切な行財政運営を行い、それぞれの能力を高めることができるよう、広域・専門的な視点からのきめ細やかな支援や情報提供に努めるとともに、県と市町の役割分担や機能のあり方などについても議論を深め、市町の能力や実情に応じて、県から市町への事務事業の移譲を推進すること。

(具体的申し入れ事項)
  • 合併による市町規模の拡大や地方分権関連法令の整備等を踏まえ、県と市町との役割分担を明確にした上で、「県から市町への権限移譲等推進計画」の見直しを行い、一層の権限移譲を推進すること。【当局からの回答】
  • 各市町が円滑な行財政運営を行い、その活力を維持・向上していけるように、広域的、専門的な視点から積極的に助言、支援を行うこと。【当局からの回答】
  • 県と市町との協議機関を設置し、日頃から連携を密にすること。【当局からの回答】

(3) 近隣府県との連携強化

 防災体制の強化や観光・地域産業の振興による地域活性化、自然環境の保全、医療連携、空港・道路・港湾の一体的な整備・管理等について、近隣府県との連携を強化するとともに、国からの権限移譲の受け皿ともなりうる「関西広域連合(仮称)」の設置に関して、広域連合が実施する事務、参加すべき自治体の範囲、組織のあり方などについて、市町の意向も踏まえて検討を進めること。

(具体的申し入れ事項)
  • 「関西元気文化圏構想」について、調査研究の充実とその成果の積極的な普及啓発、「文化庁」機能の関西誘致に向けた国への働きかけ等を図ること。【当局からの回答】
  • 防災体制の強化や観光振興による地域活性化、自然環境の保全、道路・港湾等の一体的な管理等については、広域で取り組むことが有効であるため、隣接府県との広域的な取り組みを推進すること。【当局からの回答】

(4) 防災副首都の関西誘致

 わが国全体の危機管理能力を向上させるため、政府機能のバックアップを要する事態の想定や、機能・運用等についての研究をさらに進め、国に対して、関西が首都機能代替エリアとしての役割を担うことを国土・防災・有事に関する法律や計画等に位置づけるよう求めるなど、防災副首都の関西誘致に積極的に取り組むこと。
【当局からの回答】


2 行財政構造改革の推進

(1) 行財政構造改革の推進

 県民の生活と生命に直結する医療・福祉、教育・治安など、改革の対象となった各分野においては、原則的な一律削減の対象にはなじまない課題が少なくないと考える。「行財政構造改革の推進に関する条例」に規定されたフォローアップ、総点検等の仕組みを最大限活用し、限られた財源の中、政策の「選択と集中」を徹底し、県民・市町・関係団体等の声も踏まえ、県民本位の行財政構造改革を進めること。

(具体的申し入れ事項)
  • 国の政策転換や経済情勢など、県を取り巻く環境の変化を踏まえて、新行革プランの見直し時期について検討すること。【当局からの回答】
  • 事務事業改革については、部局間の連携、市町との役割分担という視点をもって実効性の向上に取り組むとともに、特に医療・福祉・教育など県民生活と直結する施策については、現場主義を基本姿勢として取り組むこと。【当局からの回答】
  • 各部局において策定される各種の事業計画を実効性あるものとするためには、部局を越えた取り組みが必要であることから、県政全般に関する政策立案を担当する企画県民部政策室の機能強化を図ること。【当局からの回答】
  • 試験研究機関の運営については、実際に担当する人材の確保を考慮して研究テーマや業務の選定を行うこと。また、企業等との共同研究に関しては中立性の確保に配慮するとともに、外部資金の獲得については、資金獲得自体が自己目的化することのないよう注意すること。【当局からの回答】
  • 県及び公社等が保有する用途未定地や未処分資産の取り扱いについて、公社等経営評価委員会の報告も踏まえ、期限を設定して具体的な対応を進めること。またその際、県民に対する適切な情報公開を行うこと。【当局からの回答】
  • 県及び公社等の職員の不祥事根絶に向け、研修を通じ公務員倫理を徹底すること。また、団塊の世代の大量退職や、行財政構造改革により職員の減少が見込まれる中、職員一人ひとりの能力の向上と適切な人員配置等に取り組み、行政サービスの低下を招かない効率的な執行体制を確保すること。【当局からの回答】
  • 職員のメンタルヘルスの確保については、精神保健専門医の配置による産業医の充実、産業医等による積極的な職員のメンタルヘルス診断の実施や、メンタルヘルス研修の拡充等を通じた管理職の意識の向上を図ること。【当局からの回答】

(2) 県民局のあり方の精査

 県民局のあり方については、地方分権の進展、合併後の市町の行政体制の整備や政令市・中核市の状況等を踏まえ、再編された県民局や地方機関の状況について必要な検証を実施し、また県と市町との役割をさらに精査し、県民局が果たす役割を十分明確にした上で、県民局の再々編も含め、必要な人員や内部組織の見直しについて検討を進めること。

(具体的申し入れ事項)
  • 「地域ビジョン推進プログラム」の展開に当たっては、様々な活動団体やグループ等と連携を図り、新たな参加者を増やしながら、県民の主体的な活動をさらに促進し、さらに地域ビジョンに基づく取り組み等を通じて、県民同士の交流の拡大を図ること。【当局からの回答】
  • 地方分権の進展に備え、現地解決型の機能を発揮するため、管内市町の様々な行政サービスの課題を的確に把握し、住民サービスの格差解消への調整や、マネジメント能力の向上を図ること。【当局からの回答】
  • 県民局の再々編に当たっては、未だ県民局がその総合事務所としての機能を発揮できていない現状もあることを踏まえ、原点に立ち返り、市町との連携を主体的に取り組む県民局として改編すること。【当局からの回答】

(3) 公的施設運営の改善

 公的施設における指定管理者制度導入については、公共性・安全性、利用の公平性等に十分に配慮しながら公募制を積極的に推進することとし、指定管理者の選定に当たっては、透明性や公平性を確保するために評価項目や配点の事前公表等と合わせてサービス要求水準の設定根拠を明らかにすること。
 また、指定期間について現行の標準指定期間を延長することなど、制度運用の改善に努めるとともに、指定管理者制度を導入した施設については、管理者の業務実態の把握に努め、得られた評価結果が指定管理者の業務改善に反映されるよう万全を期すること。【当局からの回答】

4) 投資事業の改革

 投資事業改革については、新行革プランで精査されたとはいえ、全国平均よりも高い水準にある事業計画をさらに精査し、真に必要な事業とその優先順位を定めた上で、事業推進を図ること。
 また、事業実施においては、トータルコストにおいて最も合理的な整備手法を採用するなど、事業費の削減に努めるとともに、予算の内訳や使途の妥当性、事業の実施過程の透明性を確保するほか、費用対効果の事後検証を行うなど、県民への説明責任を果たし、特に事業費の一部を市町や団体に求めるものについては、費用負担について市町等の十分な理解と協力を得ること。

(具体的申し入れ事項)
  • 最低制限価格の適正な設定や総合評価落札方式の充実等によるダンピング受注の排除、また技術・社会貢献評価制度の充実など、入札・契約制度のさらなる改善に取り組むこと。【当局からの回答】
  • ダム建設については、社会情勢の変化を踏まえ、常に必要性や緊急性を客観的に評価し、工事途中での事業廃止も排除せず、事業計画を再検討しながら慎重に進めること。【当局からの回答】

(5) 公社等外郭団体の改革

 公社等外郭団体については、団体の経費、契約、職員給与等の実態が明らかにされているとはいい難い状況にあり、監査委員の監査対象とならない団体についても、監査体制の強化や、十分な情報開示を行い、透明性の確保と効率的な運営を図ること。
 また、県からの派遣職員や県OB職員は、在職期間が短く、運営に対して長期的な展望や責任が持ちにくいことなどから、一律の基準で派遣職員をOB化するのではなく、配置に当たっては、各団体の実態を踏まえた対応を行うこと。【当局からの回答】

(6) 企業庁事業の改革

 特に地域整備事業については、企業債残高が1千億円を超える中、民間ノウハウの積極的な導入などにより分譲促進を図るとともに、社会経済情勢の変化に応じて、事業の廃止等も視野に入れた事業戦略の見直しを図ること。
 また、水道用水供給事業についても、今後、生活・経済の規模が縮小し、水需要の増加が期待できず、老朽化施設の更新に多額の支出が見込まれる中、総合経営計画(後期6カ年)で示した黒字経営の継続、企業債残高の削減に向けた経営改善を着実に実行すること。【当局からの回答】


3 参画と協働の推進と共生社会の実現

(1) 県民の参画と協働の推進

 分権型社会の本格化や公民協働の潮流に対応するため、「県民の参画と協働の推進に関する条例」に基づき、県民と県民のパートナーシップによる地域づくり活動や県民と県行政のパートナーシップによる県行政のさらなる推進を図ること。特に、いわゆる団塊の世代から若い世代までの多様な主体の参画による地域づくり活動を支援すること。

(具体的申し入れ事項)
  • 県民と行政が協働して地域課題に取り組んでいくため、多様な主体の参画を促進するとともに、県民の自主的な活動の広がりと深まりをめざし、情報提供の充実やボランタリー基金等を活用した活動への助成など、多様な活動への支援を一層充実すること。【当局からの回答】
  • 高齢者が第二の人生を生き生きと充実して暮らせるよう、人材バンクやシルバー人材センターの有効活用など、高齢者が培ってきた知識や経験、ノウハウを社会に還元し、活用できる仕組みづくりを進めること。【当局からの回答】

(2) 人権尊重とDV・家庭内暴力対策の推進

 人権尊重を基本理念として県政を展開することにより、人権の尊重が社会の規範として定着し、県民すべてがお互いを認めながら共に生きる「共生社会」の実現をめざすこと。
 配偶者や恋人に対する暴力、児童虐待、高齢者虐待については、各地域において、警察を含めた全庁的な取り組み体制を構築した上で、関係機関の密接な連携の下に、相談体制の強化やサポート体制の確立、加害者への教育の充実等により、効果的な抑止及び被害者の救済・支援に取り組むこと。
 特に、DV対策については、民間施設も含めた被害者保護施設の整備促進を図るとともに、県と市町との協調が不可欠であることから、各市町におけるDV対策基本計画策定、支援センター設置への働きかけを強化すること。
 また、児童虐待については、親からの虐待などにより家庭で生活できない子どもたちの受け皿の充実に向け、県下のこども家庭センター及び各市町等における人材の確保・育成など専門的なケア体制の整備や、一人ひとりの状態に応じた個別ケアを行うための児童養護施設の小規模化など、きめ細かな支援が行える環境整備に取り組むこと。

(具体的申し入れ事項)
  • 若年層に増加しているデートDVへの対策については、中高生対象の研修会を計画的に実施するとともに、民生委員、児童委員及び関係団体等との連携により地域ぐるみの取り組みを推進すること。【当局からの回答】
  • 高齢者への虐待防止については、市町との緊密な連携を図りながら、虐待防止ネットワークの構築や老人福祉施設職員への研修機会の充実など、有効な対策を講じること。【当局からの回答】
  • こども家庭センターを県民局単位に設置するとともに、こども家庭センターにおける児童福祉司等専門職員の増員など児童福祉機能の強化や相談拠点機関として実施事業のさらなるPRを図るほか、早期発見や適切な対応をするため、地域、学校、行政、警察、専門機関、関係団体等の連携の強化に努めること。【当局からの回答】
  • 被虐待児の受け皿にもなる児童養護施設においては、心のケアのための専門的対応や小規模な個別ケアの導入、学業支援などきめ細かな対応ができる体制づくりなどの充実を図ること。【当局からの回答】

(3) 男女共同参画社会の実現

 男女共同参画社会を実現するため、「ひょうご男女共同参画プラン21」に基づく諸施策について、県民、企業、市町等へのさらなる浸透を図ること。
 特に、ワークライフバランスの確立が少子化対策の根幹的視点であることを踏まえつつ、女性の就業率向上のための支援の充実など、女性と男性がともに仕事と家庭の両立を図ることができるよう、ワークライフバランス確立のための施策推進に努めること。

(具体的申し入れ事項)
  • 男女共同参画社会づくりが少子化対策の根幹的視点であることを踏まえつつ、女性の就業率向上のための支援の充実や、女性と男性がともに仕事と家庭の両立を図ることができるよう、ワークライフバランス確立のための施策推進に努めること。また、家庭の持つ機能の低下が危惧される中、地域の協力を得ながら、家庭の力の向上に努めること。【当局からの回答】

(4) 自殺対策の推進

 自殺者の増加に歯止めをかけるため、全庁的な推進体制として設置した兵庫県自殺対策推進本部を中心に、職域、学校、地域等とも連携し、精神保健的な視点だけではなく社会・経済的な視点も含め、また県民運動としての取り組みも視野に入れた総合的で有効な対策を実施すること。特に自殺者の多い世代への対応としては、働き方との関連もあることを認識し、関係機関や民間団体との密接な連携のもとに対策を進めること。

(具体的申し入れ事項)
  • 県民運動としての推進体制を強化するため、庁内に自殺対策の専門部署(課・室)を設置すること。【当局からの回答】
  • 職場、学校、地域等において心の健康を守る体制を整備し、具体的な削減目標を設定して全庁横断的な取り組みや関係団体との連携による総合的な対策を早急に推進すること。
  • 実践モデル市町の設定や、マスコミ対策を含めた具体的かつ効果的な施策を実行すること。【当局からの回答】

(5) 国際性豊かな共生社会の実現

 外国人県民が日本人と同様に住みやすく活動しやすい環境整備を図るため、国際理解・人権、交流、生活一般、保健・医療、住宅、教育、行政への参画等の分野で、外国人県民が抱える課題解決に向けた取り組みを進め、国際性豊かな共生社会を実現すること。

(具体的申し入れ事項)
  • 国際性豊かで外国人県民が生活しやすい地域づくりを推進するため、保健・医療、福祉、教育、人権などあらゆる分野での国際交流の機会を増やすとともに、利用者の視点に立って外国人県民インフォメーションセンターのさらなる充実を図ること。【当局からの回答】
  • 在日外国人無年金者への給付金額を引き上げるとともに、市町との一体的な制度となるよう改善すること。【当局からの回答】
  • 公立学校で日本語指導が必要な外国人児童・生徒が増加している中、将来の自立を考え、小学校段階から将来の進路を見据えた指導体制を地域やNPO等も交えて構築すること。【当局からの回答】

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