合併による姫路市議会の
議員定数シュミレーション竹内私案

最終更新 2003.12.20
合併を進める前提としての合併特例法の期限を平成16年度末(17年3月31日)に迎えました。法定協議会の設置の意思確認が当初の予想より遅れ、2004年3月となり、姫路市民の意見聴取の方法等についてはこれから検討される予定であるなど、時間的に極めて限られた中で数多くのことを決定していかなければなりません。残念ながら市民の皆さん、議会での関心もあまり高いとはいえません。だからといって行政だけで話を進めるような問題でもありません。 そこで、市民の皆さんの関心も高いと思われる新市の議会定数の問題という極めて市民の皆さんの関心の高い現実的な問題について、市議会全体の議論にも供したいという思いでまとめてみました。

シュミレーションの前提条件

合併の枠組み 姫路市、香寺町、安富町、夢前町、家島町の1市4町
合併の方式 任意合併協議会で合意された姫路市による編入合併方式
合併特例後
の新定数
 合併特例後の新市の議員定数については、人口が50万人を超えることから、地方自治法第91条により56名まで増やすことができます(もちろん、現行43名をそのままにすることや、条例で更に削減することもできます)が、新議会の定数を56やそれに近いものとするようなシュミレーションは今回の合併の趣旨からはずれ、姫路市民の理解を得られないと思われるため、現行に近い形を中心に考えられる新議会の姿を望ましいものとして評価しました。
 現在の定数43の変更があった場合、数値は変わります。全体もそれによって変わるということはご了解ください。

シュミレーション結果

パターン 適用項目 合併〜H19.4.30 H19.5.1〜 H23.5.1〜 理論
新定数
(※1)
一票の
格差
(※2)
財政貢献度 解説&総合評価
1.合併特例法を適用しない場合 43 維持
×
参画なし

経費削減効果は最も高いが、町側の全議員が退職となることは合併の前提を踏まえても厳しすぎる。非現実的。
2.合併特例法を適用する場合 @定数特例[法6条2項]増員選挙において、編入された旧市町村の区域で選挙区を設けて増員することができる(※3) 49
現在の43

町側増員
選挙
当選者6
市全域で
新定数選挙
(〜43〜56)
維持

人口比例

経費削減効果もあり、町側の意見も人口比例で反映される。私が最も望ましいと考える方式。
@に加えて、
定数特例[法6条5項]編入先の市町村の2回目の選挙まで定数増を行うことができる
49
現在の43

町側増員
選挙
当選者6
49
旧姫路市選挙

町側増員選挙
2回目の
当選者6
市全域で
新定数選挙
(〜43〜56)
維持

人口比例

上記とほぼ同様だが、一体化が遅れることが難点。
A在任特例[法7条1項]編入された旧市町村の議員は、編入先の市町村の最初の選挙までその議員となることができる 105
現在の43名

町側62名
市全域で
新定数選挙
(〜43〜56)
削減

不均衡
× ×
約2年間にわたり市会議員が105名となり、報酬等莫大な負担がかかる。大くの財政負担を伴うため、今回の合併の趣旨からはずれ、姫路市民の理解は得られない。
Aに加えて、
定数特例[法7条3項]最初の選挙の際に、編入される旧市町村の区域で選挙区を設け、定数増を行うことができる。
105
現在の43名

町側62名
49
旧姫路市選挙
+
町側増員選挙
当選者6
市全域で
新定数選挙
(〜43〜56)
削減

不均衡
× ×
約2年間にわたり市会議員が105名となり、報酬等莫大な負担がかかる。大くの財政負担を伴うため、今回の合併の趣旨からはずれ、姫路市民の理解は得られない。
3.合併後、地方自治法上の増員選挙を行う場合 地方自治法の規定により新市全体で増員選挙を行う場合 56以内
現在の43

新市増員
選挙
13以内
市全域で
新定数選挙
(〜56)
削減

人口比例
× ××
全町議が失職。その上で旧町域の当選枠がないだけでなく、旧姫路市からの新たな立候補も見込まれ、旧姫路市の占有率が高まるだけとなる可能性が高い。また姫路市会の理解は全く得られない。
地方自治法の規定により選挙区ごとに増員選挙を行う場合 56以内
現在の43

旧選挙区
ごとの
増員選挙
13以内
市全域で
新定数選挙
(〜56)
削減

(人口比例
の場合
のみ)
× ×
上記とほぼ同様だが、旧町域の当選枠がある。ただ旧姫路市でも選挙を行わねばならず、禁じ手ともいうべきもので、合併の趣旨とは合致しない。

 ※1 理論上の新定数

 今回の合併が、議会を含む行政の効率化という大前提であることから、合併方式、特例の適用程度等から新定数のあるべき方向性について記載したもの。姫路市民には町側の財政赤字分を負担をする可能性が高いことから、市議会も応分の負担をするという考えも加味しています。
 また、表の各種想定通りの形式で議会の合併が行われたという前提で記載していますので、パターンによって考え方の前提が異なります。例えば、在任特例等を多く使った場合は、将来世代への財政負担が増えたということで、新定数では現行を更に削減する必要がある、つまり新定数と在任特例等はセットで議論する必要があるということです。

 ※2 一票の格差

 現在の議員一人あたりの人口数を比較したものです。現在は姫路市会議員1人あたりの人口が突出して多くなっています。特例法では、この一票の格差について、増員定数の基準で用いているものの、合併促進を優先して特例で適用しなかったりと使い分けています。ただ、代議制の選挙制度、民主主義の平等の観点に鑑み、一票の格差は1が理想という前提で評価しました。

 ※3  直近の国勢調査H12より計算した増員定数

条例定数 43 × 各町人口 ÷ 姫路市人口 町あたり議員数
夢前町 43 × 21,952 ÷ 478,309 2人
香寺町 43 × 19,885 ÷ 478,309 2人
家島町 43 × 8,978 ÷ 478,309 1人
安富町 43 × 5,845 ÷ 478,309 1人
合計 6人

 参考 現状の各議会

  人口 定数 上限 議員1人当り人口 現議員任期
姫路市 478,309 43 46 11,123 H19.4.30
夢前町 21,952 18 26 1,220 H19.9.30
香寺町 19,885 16 22 1,243 H19.4.29
家島町 8,978 16 18 561 H19.4.29
安富町 5,845 12 18 487 H16.7.31
合計 534,969 43+X 56   

 議員の定数・在任特例について

総務省ホームページのこちらをご覧ください。


議会のあるべき姿とは?

 実は姫路市議会議員が105人となってしまう可能性もあるわけです。現在のところ、姫路市議会でも話題にはなっていませんが、いずれ法定協議会で決定されることです。議会については議員が議論するだけではなく、市民の皆さんが決めるべきものでもあります。青森県の八戸市では、議会主導で200人を超える議会となるなど、大変なことになっているところもあります。
 この結果を見て驚かれた市民の方も多いと思いますが、これが現実なのです。私は、いずれ議員削減については決断をしなければと思っていますが、こういった合併の際に増員する例がよく見られますので、市民の皆さんもこのシュミレーションを見て、どういった議会が理想かを考えていただけるとこの表を作った甲斐があります。よろしくお願いします。