行財政シミュレーションについて

 平成15年6月25日(水)に第2回姫路地域任意合併協議会が開催され、下記の議題に沿って会議が進められました。私は傍聴していませんが、多くの傍聴者であったそうです。「協議会は積極的に情報を公開し、合併に関する協議を重ねてまいります」と姫路市合併推進室のHPにあります。委員会でもHPで公開してくださいと要望したのですが、以下の議題しかUPされていません。私が公開します。
今回は、特に掲示板等でも要望のあった「行財政シミュレーションの結果」です。この資料は、非公開ということではないと思います。協議会へ傍聴に行くか、市役所に行けば入手可能だと思います。資料にはグラフ等も掲載されていますが、私のホームページの容量の関係でこれ画像の取り込みが難しいため、一部を除き文字情報になります。
(注)現在は、合併推進室HPで公開されています。(2004.11.27 追記)
報告事項
  • 姫路地域任意合併協議会役員の変更について
  • 姫路地域任意合併協議会委員の変更について
  • ホームページ http://www.gappei.jibasan.or.jp/ の開設について
  • 行財政シミュレーションの結果について
  • 平成14年度姫路地域任意合併協議会の歳入歳出決算について
  • 事務事業の調整方針等について
  • 新市将来構想の策定について
協議事項
  • 平成14年度姫路地域任意合併協議会の事業報告について
  • 平成14年度姫路地域任意合併協議会の歳入歳出決算について
  • 事務事業の調整方針等について
  • 新市将来構想の策定について


 姫路地域任意合併協議会
 「行財政シュミレーション結果報告書」より

1.合併しなかった場合の財政見通し

平成13年の決算データ(普通会計一般財源)を用い、今後の人口推移により変動される費目として、歳入では地方税・普通交付税、歳出では老人福祉費・扶助費・投資事業の増減を試算した。その他の費目については平成13年決算額を固定した。試算は約30年後の平成42年まで試算した。また、人口については平成7年と平成12年の国勢調査における年齢階層別の人口伸び率から単純推計した。
人口 30年後

高齢化率
財政
姫路市 平成22年まで
増加し、
その後減少
約25% 歳入・歳出ともにピークは平成27年度。収支は、老人福祉費等の歳出が今後拡大するため、黒字幅は平成22年度にピークに達し、その後は微減傾向となる。平成42年度における黒字は約68億円(平成13年度約74億円)
家島町 今後30年で
現在の
84%に減少
約23% 歳入のピークは平成13年度。以降歳入の減少が予想され、収支は平成17年以降赤字となる。平成42年度における赤字は約2億2千万円(平成13年度は約9700万円の黒字)
香寺町 今後30年で
現在の
76%に減少
約32% 歳入のピークは平成17年度。平成27年度以降に大幅な歳入の下落が見込まれ、これ以降収支は赤字になります。平成42年度における赤字は約2億7千万円(平成13年度は約5300万円の黒字)
夢前町 今後30年で
現在の
86%に減少。
約36% 歳入のピークは平成17年度。老人福祉費の増加に伴い、収支は平成32年以降赤字となります。平成42年度における赤字は約1億7千万円(平成13年度は約9200万円の黒字)
安富町 今後15年は
増加し、
その後減少。
約32% 歳入のピークは平成13年度。以降平成22年まで大幅な歳入の下落が見込まれ、収支も平成17年度以降赤字となります。平成42年度における赤字は約5500万円(平成13年度は約1億3千万円の黒字)
まとめ
人口 姫路市と安富町が平成22年まで増加するのに対し、家島・夢前・香寺町においては人口は減少の一途をたどる。夢前・香寺・安富町における高齢化率は平成12年に10%台であるのに対し、平成42年には30%を突破すると予測される。
財政 姫路市は平成42年度においても収支バランスを保つことができるが、他の4町はペースの違いはあるにせよ収支が悪化し、いずれ財政が立ち行かなくなる。平成42年における4町の赤字合計は約7.1億円が想定される。姫路市は同年度にも約68.2億の黒字を保つ予定。


2.合併した場合の財政見通し

(1)合併による人件費等の削減効果

@ 特別職

市町長・議員をはじめとする主な特別職について、合併した場合の人数・報酬等について試算。議員数については地方自治法の法定定数56議員、その他データについては姫路市の現在水準を用いた。合併による特例制度のある議員だが、この特例は短期間のため、すぐに年間約3.6億円のリストラ効果が想定される。
特別職の給与・報酬等削減効果(単位:千円)

 

1市4町計 

合併後 

リストラ効果 

市町長

5名

81,213

1名

22,250

△ 4

△ 58,963

議員

107名

829,757

56名

699,591

△51

△130,166

助役

7名

100,433

2名

35,403

△ 5

△ 65,030

収入役

5名

58,179

1名

14,628

△ 4

△ 43,551

教育委員会

22名

10,732

4名

7,003

△ 18

△ 3,729

農業委員会

111名

27,268

37名

18,837

△ 74

△ 8,431

教育長

5名

56,626

1名

14,628

△ 4

△ 41,998

その他

55名

30,080

17名

26,654

△ 38

△ 3,426

317名

1,194,288

119名

838,994

△ 198

△ 355,294

A 一般職

(作成された資料では)平成17〜26年の10年間で人件費5%を削減すると想定して、5年後7.3億円、10年以降14.6億円人件費が削減できると試算。また5%の給与カットしなければ、合併しない場合の方が財政が健全になるという試算も出された。ここが重要
特別職のリストラ効果が法令に基づくものに対して、ここ見られる「一般職給与の5%カット」については、根拠がなく、実効性に乏しいといわざるを得ない。また実行されなければ、合併によって逆に財政が悪化するという。これを前提とした効果算定は市民を惑わすばかりか、効果をかさ上げする意図的な数字とも言える。合併後、水準の異なる市町村職員の給与が高い給与側に合わされていくのは過去の例を見れば明白であり、万一このお手盛りとも言うべき給与統合が最大限行われた場合、つまり姫路市職員給与にあわせた場合(職員一人当たりの水準を姫路市と同様にすれば)単年度の負担増となることは明白である。負担増をシュミレーションの第一として明示した上で、これでは行政の効率化と逆行するので、「給与水準を5%カットする」「職員の新規採用を中止する」等の対策をとる必要とすべきではないか。
単純に姫路市基準に移行した場合、最大年7億円の負担拡大要素がある。
(下表参照−竹内作成)
(単位−人件費総額は千円 差額、負担については万円)
 

職員数

人件費総額

一人当たり

姫路市との差額

負担(差額×職員数)

姫路市

3,113

26,059,854

837.1

0

0

家島町

103

679,079

659.3

177.8

18,313

夢前町

130

921,101

708.5

128.6

16,713

香寺町

149

1,032,842

693.2

143.9

21,444

安富町

69

423,138

613.2

223.9

15,446

3,564

29,116,014

 

674

71,916

(2)合併による財政支援

合併特例法による様々な支援制度がある。国によるいわゆるアメの部分
合併特例債 まちづくり
建設事業
標準全体事業費   494.0億円(A)
起債借入限度額   469.3億円(A×95%=B)
普通交付税算入額 328.5億円(B×70%=C)
一般財源負担額   166.5億円(A−C=@)
市町村振興の
基金造成
標準基金規模上限   40.0億円(A’)
起債借入限度額     38.0億円(A’×95%=B’)
普通交付税算入額   26.6億円(B’×70%=C’)
一般財源負担額     13.4億円(A’−C’=@’)
※ つまり534.0億円の(A+A’)事業・基金造成を179.9億円(@+@’)の自己負担でできるということです。
合併臨時経費
財政措置
普通交付税 30億円(5年間均等配分)
合併市格差
是正措置
特別交付税 6.2億円(初年5割・2年目3割・3年2割)
普通交付税 164.2億円(A  合併した場合の本来査定額=一本査定額)
173.6億円(A’現在の1市5町の合計額)
※Aの交付のほか、差額の9.4億円(A’−A)が10年補償され、その後5年間も逓減支給(16年目から一本査定のみ)
会社のリストラでも最初の退職者募集の条件が一番恵まれているといいます。不謹慎の誹りを免れないかもしれませんが、合併でも事実だと思われます。

(3)財政予測

合併後、15年間は国からの財政措置があるため、高齢化による老人福祉費の増大等を含めて財政規模は拡大しますが、以降人口の減少もあいまって全ての費目が減少に転じます。収支についても、特例債の償還がピークを迎える平成30年過ぎでも黒字を維持します。

財政シュミレーション上の判断

財政シュミレーション上は、極めて4町の救済色の強い合併であることが明白になった。
特に、特別職については約200名もリストラ(首切り)されるなど、相当な効果がある一方、雇用が守られる一般職については、「5%カット」という数字が、一般職の側(つまりこの資料を作成した事務局)から提起されたと言える。この問題については、新聞報道だけを見れば本筋を見誤る。町側は特別職のリストラで姫路市に救済を求め、一般職は姫路市職員になることによって、給与水準のアップも含めた待遇になるという穿った見方ができなくもない。
つまり、この枠組みの合併では、姫路市の負担拡大要素をできるだけ軽減しないと、負担増の側面もある姫路市民の納得を得るのは難しい。町側の一般職については現行の町給与水準(以下もありうる)で給与措置した上で給与をカット、合併の議員特例についても、最大限利用する必要もないと考えなければならない。
行政側は10年間5%の給与カットを提案しているが、合併の意義からすれば採用抑制もあわせて行わなければ意味がない。また、5%の給与カットは、合併と関係がない提案である。つまり単独で実施可能ということであり、それであるならば合併と関係なく実行に移すべきである。

合併問題については、演説をしていても関心のある方が少ないと感じます。市民の皆さんも関心を持っていただきたいと切に願います。