提言3 「こどもたちの未来のために」

(1)少人数学級編成で学力向上、非行防止をはかります

 平成14年度から新たな学習指導要領、公立学校の週五日制が導入され、ゆとり教育に改められました。80年代の詰め込み教育や教育過熱に対する反省で導入された制度のようです。土曜の午前、こどもたちは何をしているのでしょうか?ゆっくり起きたり、テレビゲームをしているだけという保護者の不満の声をよく聞きます。また、これまで小学5年生で「3.14」という円周率(※ )を学んでいたものが「3」となることが紹介されるなど、塾側はこれを好機ととらえ宣伝しています。学校でゆとりをもった分、学習塾のニーズが高まるというのは本末転倒です。姫路の未来を支えるこどもたちを責任をもって教育するのは学校の役割です。

(C)上阪
※ 円周率については一部の意図的な宣伝のようで、指導要領には『円周率としては3.14を用いるが、目的に応じて3を用いて処理できるよう配慮するものとする』とされています

どうすればいいの?

 週5日制は国の制度ですので、姫路市だけ元に戻すというわけにはいきません。そこで学級編成を現在の40人から30人以下に減らし、きめ細かい教育を行うことで、ゆとり教育のもたらすマイナス面をカバーします。そのため、児童数予測に応じた新教員確保と定年再雇用制度を活用します。近年、教職員の採用は抑えられ、全国にいい先生の卵が多数います。教員募集を大々的に行い、教育都市姫路をアピールします。本当にいい教育をしてくれる先生には、その分の手当てを払うという民間では当然のルールも検討が必要です。姫路市の財政負担も厳しいですが、小泉首相がいう「米百俵の精神」を今こそ実践すべき時です。また県の教育委員会の承認も必要となりますが、現在、少人数学級に消極的な県も、地方分権時代をふまえ基礎自治体の自主性を尊重すべきです。

皆さんが先生だったとして

 皆さんが学校の先生であるとして、40人近い子どもの教育を1人で担任できますか?心の変調に気づきますか?非行の兆しがわかりますか?少人数学級にすることで、多様化するこどもの個性に対応し、最近再び増加傾向にある非行や少年犯罪の凶悪化の芽をつまなければなりません。県が認めない場合は複数担任制によるチームティーチングによって実質的な少人数学級編成にします。

ほかの先進国の教育はどうなっているの?

 私が昨年行った海外小・中学校視察の経験から判断すれば、日本のゆとり教育は、他の先進国と逆行しています。アメリカでは初等教育で基礎学習を重視する方針がとられていたのです。なにか自由な討議や議論ばかりしているというイメージがありますが、それは、疑問があれば遠慮せず質問をするということだったのです。公立小学校でも、低学年の基礎学習のころから、毎週テストを行い、習熟度別に補習を行うなど、大変驚かされました。つまり、基礎学習を重視し、その上で、独創的な発想が生まれるという考えです。

日本でも各種世論調査や文部科学省の内部でも反対論が強いと聞きます。機会の平等は大切ですが、結果の平等は、世界では通用しないと思います。

姫路でも荒れている中学があります


(2)新規起業につながる教育・研究を支援します

 製造業は姫路市の中核産業ですが、激しい国際競争にさらされ、工場を低コストの海外へ移転するなど、リストラをすすめています。海外の10分の1以下の低コスト国と同一製品で競争するのは、いくら日本人が勤勉でも難しいと思います。また、これまで日本企業が得意としてきた一次発明品を応用する技術が、開発者保護(知的所有権)を主張するアメリカなどによって、簡単に利用できなくなっています。

 ここは、発想を転換し、新製品を発明したり、新規産業を興すことによって、新たな雇用を生む必要があります。幸運なことに姫路には姫路工業大学があります。産・官・学(企業、姫路市、姫路工大)の連携によって新規起業を支援し、雇用確保に全力をあげなければなりません。アメリカを80年代の不況から救い、雇用を創出したマイクロソフトのようなベンチャー企業を育てましょう。
※姫路市では地元企業の商品開発に利用してもらおうと、播磨科学公園都市の放射線施設「SPRING−8」の使用に補助金を用意しましたが、1年間の利用申請はゼロだそうです(2002年4月現在)カレー事件や地元以外の大企業に使われているということは聞いていますが…


(3)借金(市民1人80万円)のつけは将来に残しません

 市債残高[市民の借金]は一般・特別・公営企業会計総額で約4000億円[平成12年度決算]となっています。比較的独自財源を持っている姫路市ですが、手柄周辺に今も残るモノレール跡のように、採算性を度外視して、ムダな公共事業を重ねた積み重ねがこの結果です。市民1人80万円にもなる膨大な額のつけを一体誰が払うのでしょうか?負の遺産を将来に残し、わたしたちは関係ないとは誰も言えません。今の市民みんなが、その責任の一端を担っているのです。自分たちだけ、今だけよければいいという発想を改めなければ、これから姫路を支える誰もが税金や年金、保険料を払わなくなるでしょう。ムダな税金の使い方を改め、将来世代に責任ある政治を行う姫路にするため、改革しなければならないのです。


姫路を地方分権の先進都市に!!

 以上の政策は、子育て支援政策を除き、全国の自治体で成功した政策や自分で研究してきた政策のうち、姫路に導入可能な政策をアレンジしたものです。すべて実現すれば、姫路市も全国最高レベルの先進自治体になります。姫路の人間は「ええかっこしい」と言われますが、この政策をとりいれて、全国から視察団が来訪するような都市にしましょう。もちろん、すべてを急にできるとは考えていません。ただ賛同してくださる方が多数出てくれば、思ったより早く実現可能だと思います。
(C)上阪
 地方分権社会とは、基礎自治体が、地域住民の意見をとりいれ、住みやすい街をつくることです。そのためには、自治体間の差別化をはかり、行政サービスをよりよいものにしなければなりません。自治体の差がでる時代とも言えるでしょう。「姫路に住んでよかった」と思っていただくための政策を実行することが何より大切です。その意味では、有権者が政策をもった政治家を選択することが大切だと思います。