提言1 「人と仕事を姫路に」

 戦後一貫して、人口が増加してきた姫路市ですが、企業支社の撤退や工場の海外移転による雇用減少が原因で転出が増加傾向にあります。特に若年男性の転出がひどく、私の友人の多くも、神戸・大阪で働いているという状況です。そんな彼らが皆、口にするのが「姫路には仕事がない」です。また、少子化社会の進行は予想をはるかに超え、その対策もすべて国任せといった状況です。このまま産業の流出、少子化社会を放置すれば「姫路市、戦後初の人口減少」という見出しが新聞におどるのは間違いありません。人が減れば、街の活気が失われ、消費は落ち込み、産業も更に衰退します。そうなれば、地価下落による固定資産税[市税収入の約50%]の減少、企業・個人からの市民税[市税収入の30%]の減少で、財政は更に悪化してしまいます。
 また年金政策上も少子化対策に全力をあげる必要があります。年金受給計画は、昔の楽観的に予想された出生率(※)を基準に策定されています。このまま少子化傾向が続き、受給者を支える世代の人口が減れば、年金制度自体が破たんしてしまいます。残念ながら、将来、年金がもらえないことを予想し、年金を納めず、貯蓄にまわしたり、生保などの保険だけに加入する若者が増えています(※)。将来の社会保障ビジョンを明確にしなければ、誰も年金制度を信用しなくなります。そのためにも、少子化社会の進行をくいとめなければならないのです。
※1 人口を維持するに必要な出生率[出生率−女性が生涯で生むこどもの数]は2.07と言われています。一般的には夫婦2人が結婚するわけですから、こどもが2人以上いないと、人口は減少していくのです。それが現在約1.4と危機的状況です。

姫路市における産業分類別事業所数及び従業者数
区 分 平成3年 11年 比較(増減)
事業所数 従業者数 事業所数 従業者数 事業所数 従業者数
総数 28,425 253,660 26,106 239,321 △ 2,319 △ 14,339
(内訳) 0 0
農・林・漁業 14 264 12 262 △ 2 △ 2
鉱業 5 26 5 20 0 △ 6
建設業 2,248 23,637 2,294 22,544 46 △ 1,093
製造業 2,902 63,546 2,419 53,457 △ 483 △ 10,089
電気ガス水道 39 2,250 20 2,422 △ 19 172
運輸・通信 617 16,128 570 16,552 △ 47 424
卸・小売、飲食 14,008 77,601 12,441 78,067 △ 1,567 466
金融・保険 515 9,922 509 9,134 △ 6 △ 788
不動産業 1,071 2,985 1,023 3,156 △ 48 171
サービス業 6,915 52,318 6,813 53,707 △ 102 1,389
公務 91 4,983
資料:姫路市情報管理課「事業所・企業統計調査」H12

女性100人に対する男性の数を示したグラフ
20〜30代の男性が姫路から流出している様子が顕著に表れています。
これは就職先がないことの何よりの証明です。
(「姫路の人口」−国政調査報告書)

自分たちが払った年金が将来もらえないかもしれないと考えたとき、皆さんならどうしますか?
(神戸新聞)

このままでは、保険料や年金の負担は、
どんどんあがってしまいます
経済成長どころではありません。
姫路市における1000人あたりの出生数推移
数(人)
明治22年 26.3
昭和25年 26.8
40年 20.4
55年 14.3
平成7年 11.4
11年 11.7
姫路市ホームページより


社会増減(転入数と転出数の差)


自然増減(出生と死亡の差)

姫路市ホームページより

姫路市ホームページより


(1)日本一の子育て支援都市をめざします

 出生数の少ない理由として「経済的理由」や「仕事と育児の両立ができない」ということが主にあげられています(表 )。それを解消するために、市独自の児童手当(※)を創設すると共に、待機児童をなくし、延長・休日保育施設(※)を増やします。保育士さんの増員や私立施設に対する補助を増やすことで、導入の負担は、最小限におさめます。子育て世代に魅力ある街になれば、人は増え、活気・消費が生まれます。
※ 児童手当は現在約19000人が受給し、総額は約14億円[平成12年度]です。2倍増・所得制限廃止をした場合、市の財政負担は約28億円(追加月額約7千円×12ヶ月×6学年×対象約5千5百人)となります。これは市予算の1%を節約することで実現可能です。

※ 平成15年5月、休日保育対応保育所がようやく市内2箇所(いずれも私立)に増えましたが、受け入れは合計20人程度。47万人の都市で20名です。残業は男女なくありますし、特に女性が多く働いているサービス業などは日曜が休みとは限りません。
 この政策は、周辺で住居を探す若い世代や子どもを育てる世代にとって、大きなインパクトがあります。出産増だけでなく、人口流入は間違いありません。

女性の社会進出が進む国ほど、出生率は高いということもわかっています


(2)市町合併をすすめ、政令指定都市をめざします

 ダイエー姫路店の撤退に象徴される駅前の空洞化は深刻です。中心商店街の通行量調査結果を見ると、平成元年の45万人をピークに、13年度では30万人を割り込む急速な地盤沈下が進んでいるのです。中心市街地に人が集約されなくなった結果、銀行や証券会社までが姫路支店を廃止し、神戸・大阪支店に拠点を移す傾向にあります。空き店舗が目立ち一部では「白アリ現象」ともいわれています。その結果、姫路の商業は郊外型の大型施設ばかりで、多くの雇用を抱える商店街などが活気を失い、市街地に出店するオフィスが減少しているのです。このままでは都市機能を担う企業の撤退によって、姫路が地盤沈下してしまいます。中心市街地を活性化するとともに姫路の商圏を拡大する必要があります。そのためには周辺自治体と合併し、政令指定都市となる必要があります。

 政令市となれば、地方交付税の増額や道路管理などの権限が市に移され、都市再開発を行い易くなったり、住民の声が直接行政に反映され易くなります(※別紙メリット・デメリット一覧)。また周辺自治体の中には、独自財源(税収)が少ないにもかかわらず、国・県からの補助金で多数の公共施設をつくったりするところもあります。これは、負担と受益の関係や、税金の使途を考えれば、公平とは言えません。合併することで西播地域全体で効率的な公共施設配置を行う必要があります。政令市には重複施設を統廃合し、行政のリストラをすすめる効果もあるのです。