県議会決算特別委員会
平成23年10月19日 竹内質問と答弁について

質問要旨(クリックすると質問の該当箇所へ飛びます)  質問通告-前日

小問・枝問 質問趣旨・その後の措置など
1.1.病院事業会計の黒字の検証
(1)患者数という量的な要素と1人当たりの収入という質的な要素について


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(2)病院経営分析比較表による分析について

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(3)一般会計の負担について

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2.県立リハビリテーション病院取得事業にかかる起債について

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質問・答弁全文


項目 質問・答弁
1.病院事業会計の黒字の検証
(1)患者数という量的な要素と1人当たりの収入という質的な要素について

 平成21年度の収益的収支 20億73百万円の赤字から、22年度は5億67百万円の黒字になった。前年度比26億40百万の収支改善である。県立病院の経営改革については、平成21年5月に県立病院改革プランが策定され、28年度の黒字化1600万円純利益が経営目標だったが、診療報酬の改定等を受けて23年4月に同プランの改定を行っていたが、21年の当初の予想では22年は8億9千万円の赤字だったので、2年前の予想からもプラス14億6千万円という大幅な収支改善がなされたことになる。前回、2年前にこの決算委員会でも質問し、厳しい指摘をしたが、現状がどうなのか今回も私なりに分析させていただいた。一般的に病院経営で最も重要なのは患者数と言われる。これは民間でも公立でも変わらない。平成21年5月の「県立病院改革プラン」でも、「患者1人1日当たり入院収益や外来収益は、『病院の収入分析をするうえで最も基本的な指標。料金収入を増加させるためには、患者数という量的な要素と1人当たりの収入という質的な要素が重要となります』としていた。

 まず入院。1日あたり入院患者数は2,830→ 2,913となり、83人増と2.9%増えている。しかし、このうち加古川医療センターのフルオープン化等に伴う病床数が108増した要因をみなければいけないので、病床利用率をみるが、82,4%→83,3%と病床利用率は0.9%の微増となっている。(延入院患者は1,033,017→1,063,180と30,163人増)

 もう一つは、外来だが、1日あたり外来患者数は5,592 →5,574と18人減り、 99.7%。1日平均患者数は微減となっている。次に、1人当たりの収入について見る。入院単価51,566 → 55,310 +3,744 107.3%外来単価14,839 → 15,601 +762 105.1%いずれも5%以上伸びている。これは診療報酬の増額改定の影響とみて間違いないだろう。経営分析としては、患者数という「量的な要素」はさほど伸びていないが、1人当たりの収入という「質的な要素」が、かなりのプラス要因となったということだろう。1人当たりの収入という「質的な要素」1人当たりの収入の対前年比、入院で7.3%、外来で5.1%の要因をどう分析しているか?

(答弁)


(意見)
 このように病院経営が大きく左右される「診療報酬」だが、経営計画を立てる観点からは一定の想定をしておかないといかないが、政治の立ち位置次第というのは怖い。小泉内閣の財政経済担当大臣だった竹中平蔵さんに言わせると、医療費の増大は経済成長の足かせになるという。県立病院にとって、政治リスクに左右されない強い基盤が必要。

(答弁)
 収益を増加させるためには、患者の確保とともに診療単価の向上を図ることが重要であり、平成21年1月に改訂した「病院構造改革推進方策」においても、建替整備による診療機能の充実、手術件数の増加などにより診療単価の向上を図るほか、診療報酬制度に的確に対応し、診療報酬に相応しい各種加算の取得などに取り組むこととしている。平成22年度決算においては、入院で+7.3%、外来で+5.1%の診療単価向上となった。その要因としては、まず、入院単価で、22年度の診療報酬改定では、医科・入院で+3.03%となり急性期入院医療に重点配分されたこと、全国自治体病院協議会が昨年4月から6月の3ヶ月分の収入について全国の自治体病院(542病院)を対象に実施した「診療報酬改定影響率調査」では、入院単価が4.3%の伸びを示したことなどから、診療報酬改定の影響は、診療報酬対策本部の取り組みにより新たに加算取得したものも含めて、7.3%のうち4%から5%と考えている。それを超える分については、手術件数の増加(H21:26,750件→H22:27,475件(+725件))や、在院日数の短縮化(H21:15.6日→H22:15.2日(△0.4日)、がんや循環器疾患医療などの高度医療に取り組んだ結果と考えている。一方、外来単価については、改定率そのものが0.31%とわずかであり、特に新設された施設基準もないことから、診療報酬改定の影響はほとんどなく、単価向上の要因としては、患者の入院負担を軽減するためにがん化学療法を外来で実施したり、検査を入院前に実施するようにした結果によるものと考えている。今後も県民に対する高度専門医療の確保・充実に取り組みつつ診療単価の向上に努め、さらなる経営改善に取り組む。
■年間収益が956億円という病院事業会計で5億7千万円の黒字。黒字の比率は収益の0.59%■診療抑制の理由は、経済情勢、診療費自己負担比率の上昇、大病院診療抑制呼び掛け(地域連携)、(監査委員による決算審査意見書)20地域医療連携の推進などによりで西宮病院等11病院で減少。今後も進めば患者増える要因は少ない。■診療報酬の改定の影響で9億円の収支改善(収益は入院を中心に6億円の増収、費用は薬品費等で3億円の縮減)、人事委員会勧告で7億円の改善を含め、22年当初予算編成の段階では、16億円の収入増。一方の負担増も共済組合追加費用、退職手当の増などが見まれていた
(竹内)■収益は入院を中心に6億円の増収、費用は薬品費等で3億円の縮減となり、合わせて9億円の収支改善につながると見込んでおります。
(上野)■平成21年度の人事委員会勧告による給与改定の影響額は、平成22年度当初予算において約7億円の給与費の縮減と見込んでいる。また、診療報酬改定による影響額は、現時点において試算すると、収益の増、費用の減で、約9億円の収支改善につながると見込んでいる。合わせて、この二つの要素で約16億円の収支改善になると見込んでいる。 しかし、一方で、共済組合追加費用等の負担率アップということがあり、この関係で法定福利費が11億円、また退職給与金が4億円、救急外来業務手当の創設や研究研修費の充実といった医師確保対策に係る費用が2億円と、それぞれ改革プランの計画値から増加している。  これらの要因を踏まえた結果、平成22年度当初予算における県立12病院の当期純損益は、光風病院の児童思春期病棟整備に係る資産減耗費約5億円を除いて7億円の純損失となっており、(旧)県立病院改革プランにおける平成22年度の当期純損益の目標額の約9億円に比べ、2億円の改善を見込んでいる。
(2)病院経営分析比較表による分析について 診療報酬の改定は県立病院の自己努力ではどうにもならないが、他は経営努力。病院については官民比較というより、全国の公立病院との比較をすることで見えてくることが多い。調べてみると、総務省が全国の公立病院についての「病院経営分析比較表」というものを公表していた。HPにもあり、21年度決算分まで公表されている。比較されている経営指標だけでも見る価値はあるが、全国の傾向と比較してみると経営がよく見える、大変わかりやすい資料である。その中でも、平成22年度における給与費は46,749百万円と県立12病院の医業費用90,563に占める割合が51.6%(医業収益84,742に対して55%、総収益95,503の49%)と最大の費用となっているので比較してみると21年度決算分  人数 平均年齢 全国平均 平均給与月額A 全国平均B A/B
医師 546 44 44 1,228,377 1,355,460 90.6%
看護師 2,543 39 38 483,749 471,942 102.5%
準看護師 72 56 51 625,270 541,001 115.6%
事務職員 224 48 44 589,220 551,145 106.9%
医療技術員 626 44 41 590,001 511,917 115.3%
その他職員 257 46 46 468,749 455,425 102.9%
計 4,268 42 40 597,429 585,870 102.0%
※「平均給与月額」とは、給料月額と毎月支払われる扶養手当、地域手当、住居手当、時間外勤務手当などの諸手当の額を合計したもの。人件費についての課題などよくわかる。

年齢のばらつきが、多少あるとはいえ、全体として全国平均と比較してどうなのか?■100床あたりの職員数では、全国と比べて給食部門が多くて、事務部門は少ないとか(大病院が多いのだから当然か)。これが病院規模別に比較できるのだから課題はおのずと見えてきそうなもの。(質問)給与の比較をすると、公表されている経営分析表においては、準看護師の115.6%、医療技術員の115.3%と年齢が平均より少し高いとはいえこれらを筆頭に医師を除く全職種で全国平均より高くなっているが、医師だけは全国平均よりかなり低い90.6%。働いている場所は同じで、医師の場合は全国平均と年齢も同じなので、病院規模や地域だけでは説明が難しいと思うが、医師の給与だけが全国平均よりかなり低くなっている理由について説明願いたい。

(答弁)
 総務省公表の「平成21年度病院経営分析比較表」における医師の全国平均給与月額は、都道府県立だけでなく、市立病院・町立病院・村立病院を含めた全国約900団体を平均したものである。委員ご指摘のとおり、県立病院医師の平均給与月額は、この中で低い状況にある。主な理由としては、医師を対象とした、僻地であるほど高額になる初任給調整手当、この支給額の違いではないかと考えているところである。都道府県立病院ベースで比較すると、この場合、医師の平均給与月額を比較した場合、都市部が多い東京都、神奈川県、あるいは京都府、本県などが下位となっている状況にある。これは、本県の状況をみると、都市部である神戸及び阪神間等の病院に在籍して勤務する医師が県立病院全体医師の8割以上を占めており、僻地で高額となる初任給調整手当の支給額が少なく、その分、平均給与月額が下がっているのではないかと考えているところである。

(意見)
僻地医療に従事する医師の手当をかなり高くしている実情がわかる。とはいえ、これでもなお不足している。これが現実である。

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(3)一般会計の負担について   「病院経営分析比較表」には、一般会計の負担についても他会計繰入金対総収益比率という具合に比較されている。病院事業会計の収益的収支では、5億7千万円の黒字といっているが、126億円もの一般会計の繰り入れがあってのもの。つまりこの一般会計の負担がなければ赤字どころか、全く成り立たない。これが民間病院との決定的な違いである。また、これ以外にも病院の建設費用の負担などで42億円も負担しており、22年度だけで計168億円の負担をしている。新聞等に県立病院32年ぶりに黒字となると、県立病院が黒字ということは患者から利益をとるのかという人もたまに出てくる(議員でもいた)。先ほど一般会計から126億円入ったと言ったが、これは21年度より10億円多い。つまり、一般会計からの繰り入れがもし21年度と同額であれば、22年度も赤字だった(繰り入れ基準もあるので簡単に減らせないが)。新行革プランには、一般財源の負担する金額がわかりやすく記載されていた。これも認識しておかなければならない。(質問)病院事業に対する一般会計からの負担については、国も交付税措置により一定の支援を約束しているが、県は、交付税措置のない県独自の支援もしている。収益的収支126億円、資本的収支42億円の繰入金について、それぞれ国が繰入基準を設定していると思うが、基準の対象となる部分とならない部分の金額についてお答え願いたい。

(答弁)
 県立病院の一般会計繰入金は、収益的収支約126億円、資本的収支約42億円、合計で約168億円となっており、そのうち、国が示した繰出基準及び地方財政計画で示された算定基準に基づき算定されたものは、収益的収支で約123億円、資本的収支の約37億円、合計で約160億円余、そのほとんどを占めている。この国の基準に基づき算定される一般会計繰入金は、@企業債の元利償還金や法定福利費の事業主負担など、その実績に応じて一定の割合が措置されるものについては実績に基づき算定し、A政策医療などを提供する上で、繰出基準、地方財政計画において示されているものについては、その単価に病床数等を乗じて算定されている。他方、県独自の基準を設けて措置されているものは、主として、災害医療センターの整備等国の基準では十分に措置されていないものであり、約7億円を一般会計から繰り入れている。引き続き、適切な公的負担のもと、県民の要請に的確に対応し、より良質な医療を提供していく。

(意見)
 兵庫県は財政難だが、病院事業についてはよく支援をしてきた。新行革プランの改定時に、建設費等にかかる資本的収入に対する繰り入れについては、一般会計の財政状況を踏まえ、繰入額の減額調整を行い、後年度精算する」としていたが、この減額調整の合計額は233億円にもなるようだが、聞けば、足りない部分は病院経営の利益から捻出するということなので、病院立替が後年度にずれないように経営を頑張ってもらいたい。

■一般会計からの負担金及び補助金(収益的収入12,598+資本的収入4187=16,785)。
■地域偏在 県立病院は尼崎に2病院あり、但馬にないなど地域偏在がある
2.県立リハビリテーション病院取得事業にかかる起債について 県立リハビリテーション病院取得 最後に、改めて決算書を詳しく見てみると、企業債や他会計借入金の金額が多いことに気付く。償還する企業債には今度統合される尼崎病院の建設に係る償還分も含まれていた。建設費を返済している中で統合の準備が進んでいる…。その決算附属資料の企業債明細の中に、病院名としては見慣れない「本庁」という病院名があるのを見つけた。本庁には病院はないし、この項目自体が昨年まではなかったので、調べてみた。この借金は、本庁病院/借入資本金/発行日23.3.30=7,821=3,122[30年銀行等0.95%]+4,484[20年銀行等0.9]+ 215[4年銀行等0.6])。貸借対照表では「借入資本金」という科目に計上されていたので、それを頼りに調べたところ、「県立リハビリテーション病院」に行き着いた。23年3月30日に、病院局が県から2つのリハビリ病院の建物と電子カルテ等を購入し、その財源として7,821百万円の県債を発行した、その県債ということであった。県立リハビリテーション中央病院・同リハビリテーション西播磨病院といえば、それぞれ平成4年にリハビリ中央病院を立替え、西播磨については、18年に新設された病院で、現在も診療している。また、運営については県の外郭団体である(社)兵庫県社会福祉事業団が担当しており、契約方法が今年から指定管理者制度に変更されたことは承知している。ということで、県から県の病院局に建物の保有者が変わるだけなのに、新たに78億円も金融機関から借金をするということで驚いたが、県の財政担当者に問い合わせると、これらの建物は県が立替または建設当時に起債をして建設費用を賄った建物で、リハビリテーション中央病院・西播磨総合リハビリテーションセンターをあわせて現在も78億円の未償還残高が県本体にあるということであった。どういうことか、つまり、県の病院局と県本体の両方にそれぞれ78億円、合計156億円の県債が世の中に存在しているということである。同じ建物、決算時の価値は78億円しかないのに、県と病院局の両方が起債している、つまり、二重計上となっている。

 県の財政当局に更に意見を求めたところ、「病院局から県への所有権移転については建物と電子カルテ一式の対価として現金78億円を受け取った。そのため、いつでも県が過去に発行した県債の78億円全額を償還できる資金はあるが、もし繰り上げ償還するにしても相手の金融機関は運用しているので、応じるとも思えず、そのまま保有している」とのことであった。 同じ病院の取得にかかる借金とはいえ、貸している側の金融機関がそれを担保にして抵当権を設定しているわけではないし、お互い知る話でもないので、それぞれの借金をきちんと返せば、相手方はそれで満足されることだと思うが、県民の立場に立てば同じ県なのに、それぞれが借金をしているということで、単純に言えば金利もその分かかっている。わかりにくい話だと思う。

 そこで、売った側の財政当局の担当者から、売買契約の方法や未償還残高については説明を受け、私なりに理解したので、こうした話をさせていただいたが、病院局の方も売買契約の際に一定の説明を受け、理解をされた上で、公印(管理者印)を押され契約したと思うが、私の理解で間違っていないか?

(答弁)
 県立リハビリテーション中央病院及び西播磨病院については、第2次行革プランにおいて、他の県立病院との連携を推進することにより、経営基盤の強化を図るとともに、より一層質の高い医療を提供するため、本年度から病院事業会計において運営することとし、両病院の建物や医療機器を一般会計から病院事業へ移管することとした。 その移管にあたっては有償とし、両病院の建物や医療機器については、減価償却後の残存価格で評価し、約78億円で移管を受けたものである。 この有償移管の財源については、委員からご指摘もあったが、企業債である病院事業債を充当することとし、総務省協議を経て、23年3月30日に病院事業債を発行した。

 なお、委員ご指摘の一般会計側の地方債の残額については、両病院が元々一般会計において起債を財源として建設していることから、償還期日までの間、病院事業からの支払代金については、一般会計では公債費として支出した後、将来の償還財源に充てるため、県債管理基金に積み立てており、公債費を支出した時点で決算統計上は県債を償還した扱いになっている委員ご指摘のとおり銀行には返していないという点では借金は残っているという事実はあるが、決算統計上は県債を償還した扱いとなっていると聞いている。ちなみに、金利については、ご指摘のとおり償還までダブルでかかるかもしれないが、病院事業債を発行することによって、我々としては、一般会計から1/2の繰出をもらい、その繰出に対しては交付税措置があるので、元金については、大幅に県トータルで見たときの負担は減っているものと考えている。

(意見)
 病院事業として所有者を病院事業管理者にする必要があったことは理解する。しかし、売買契約をして所有権を移転して、当面払えない分については未払い金として病院の収益の中から割賦払いをする方法もあるし、県は様々な会計間でそれを実践しているのでそうした方法を使えば、外部の借金を二重にする必要はなかったと思う。1つの物件について2つの会計で起債が残っていても、それはたまたまで、こうしたことを禁じる規定もないようだ。

 しかし、悪用する人がいれば、同じ建物を転売していくと、2つでも、3つでも起債をしようと思えばできる。こうした手法で手持ちの現金を増やすことができるということである。しかし、こうしたことは本来議会がチェックすべき問題。23年2月の補正予算の議案の中にこの財産の取得について記載されていた、議案の形式としては問題がなかったことも自戒を込めてあわせて申し上げたい。しかし、またと言っては何だが今回もなぜか、今年の実質公債費比率が結果として、改善される結果になっている。もちろんこれはここで聞く話ではない。ここは病院局であるから、黒字と言ってもまだまだ病院の経営は厳しいし、政治の考え方次第によっては、診療報酬を下げようとする人が政治を担うということもあるかも知れないので、そうしたことにも対応できる病院局であってほしいと思う。

■今回の決算審査、いや県会議員になって、何度もこうした事例を指摘してきたが、外部から借金をすれば資金繰りはよくなるが、負担は将来に先送りするだけ。所有者を県と病院局の間で移転させて、新たに外部から借金する、実は県本体でその病院で既に起債し、まだ償還残額が残っている。その県債の残額をそのままにして、病院局側でその病院を新たに取得するにあわせてその価値を起債している。同じ物件について県債の二重発行である。当面の資金繰り対策としてもかなり危ない橋である。同じ財産に県と県の病院局と違うとはいえ、これで新たな借金が認められるのか?法律上の規制はいくらなくてもちょっとおかしくないか?■知事は私の起債に関する質問に際し、「過去に地方財政法で後年度負担となる起債は、今の世代だけではなくて、次の世代もその恩恵を受けるという考えで現年度だけでなく後年度への借金が認められている」と述べている。同じ建物で同時に複数の借金を残せば、こうした理念を毀損することになる。■二重計上分となる一般会計の未償還分について、繰上げ償還をさせないと二重計上が続く。■23年2月議会の「兵庫県病院事業の設置等に関する条例の一部を改正する条例」は、県立リハビリテーション中央病院と西播磨病院を病院事業に追加するもの、また「(社)兵庫県社会福祉事業団」を指定管理者とする議案、そして病院事業会計補正にこの起債や資産取得の記載。22.2補正、18.2補正しかり、いつも同じパターン。
■借入資本金7,891百万円を計上し、うち7,821,400千円を限度額とする23.2月補正予算を提出・議決(本庁病院/借入資本金/発行日23.3.30=7,821=3,122[30年銀行等0.95%]+4,484[20年銀行等0.9]の2本)決算附属資料の企業債明細「本庁病院?」に記載あり。→県へ支払い。入金は、補正予算・一般会計「歳入・財産売払収入・不動産売払収入・建物売払収入」の7,840,945円に含まれる。■借入資本金 県立リハビリテーション病院取得事業を含む財源として企業債を16,688百万円発行■22年2月補正で資本的支出・建設改良費・固定資産購入費を補正予算で8,172百万円増額■有形固定資産 当年度に増加した主なものは、リハビリテーション中央病院等の移管等に係る建物7,639百万円を購入。建物以外は、電子カルテ昭和44年10月、県政百年記念事業として建設された、リハビリテーションセンター附属中央病院の開設平成元年度から、増大するリハビリテーション需要に対応するため、より高度で専門的なリハビリテーションが、総合的に実施できる県域の中核施設として再編整備が進められ、平成4年3月新病院の竣工とともに、■中央病院300床鉄筋コンクリート6階建1棟/鉄筋コンクリート平屋建1棟/S44. 10. 1、(新病院H4. 4. 1)■小児リハ病棟・子どもの睡眠と発達医療センター30床鉄筋コンクリート3 階建1 棟1 ・3 階、H20. 4. 1 ■西播磨総合リハビリテーションセンターは、18年3月中に工事が完了し、その後は医療機器の搬入などを行い、ご指摘のように、7月のオープン。センター施設の内容であるが、一つは、ベッド数100床の「リハビリテーション西播磨病院」、二つには、リハビリテーションの専門研修、福祉用具の展示事業や地域との交流事業を行う「研修・交流センター」、三つ目は、障害者スポーツの普及・振興などを行う「ふれあいスポーツ交流館」という大きなコンセプトの施設内容になっている。
■黒字で行革が緩む危惧。公営企業会計における資本の部の合計額は、資本101,210と剰余金26,332をあわせた127,542と書類上なっている。とはいえ、実際の会計では、「自己資本金と剰余金」が狭義の自己資本にあたると思われるが、その合計額でも、38,401ある。それなのに一時借入金の残高が今期もやはり33億円。つまり、33億円の一時借入金が年度をまたいだということである。資金繰りはまだ課題がある。退職手当の引当も計上できていない。
■なぜ立替が可能か。資産142,830百万円(流動13,912 + 固定125,055)、負債15,288(流動11,400+固定3,888[企業債2,388+他会計借入金1,500])、資本101,210(自己資本金12,069 + 借入資本金89,141[企業債83,532+他会計借入金5,609])、剰余金26,332(資本剰余金108,738 - 欠損金82,406)。欠損金82,406を引いた上でも剰余金26,332が残る会計なのになぜ一時借入金が年度をまたぐほど資金繰りが厳しいのか?保険診療による支払遅れの問題もあるが、実際は病院の土地や建物、施設など固定資産が大半で資産としては本当に固定されており、流動資産が13,912あるとはいえ、流動負債も11,400あるので、内部留保というのは25億円。病院新設は収益的収支の状態では難しいことがわかるが、資本的収支を別にわけ建設費用の負担が収支とは別枠になっていること、建設費に係る交付税の基準がひろく認められているため、病院の立替が可能である。