県議会決算特別委員会
平成21年10月22日 竹内質問と答弁について
決算特別委員会の質問と答弁をまとめましたので公開します。
◆議事録の公式速報版も公開されるなど少しずつ公開までのスピードが速くなっています。
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質問要旨(クリックすると質問の該当箇所へ飛びます) 質問通告-前日
質問・答弁全文
民主党・県民連合、姫路市選出の竹内英明でございます。よろしくお願いします。
項目 |
質問・答弁 |
1.県立病院事業の決算について
(1)厳しい資金繰り
ア 一時借入と当座貸越について
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○(竹内英明 委員) 民主党の竹内英明である。時間が限られているので、早速質疑の方に入らせていただく。
まず、通告に基づいて、第1、県立病院事業の決算について、この平成20年度決算を見ると、貸借対照表で資産は1,232億円、そして、負債は163億円、差し引きの資本は1,069億円、この貸借対照表だけを見ると、一般的な企業の会計としてみれば、これ資本比率87%、大変な優良企業である。しかし、県立病院事業は厳しいと言われている。本当に厳しいのか、質問によって明らかにしたいと思うが、まず、運転資金というか、厳しい資金繰りという表題を掲げさせていただいている。一時借入と当座貸越についてお伺いする。
まず、この決算書を見ると、平成20年度末、いわゆる21年3月31日付の現金預金の残高は3億5,564万円、約3億円である。その一方で、同じ3月31日付で、金融機関から33億円の一時借入という融資を受けている。この一時借入というのは、余り聞きなれない言葉であるが、地方公営企業法という法律に規定があって、基本的に借り入れを行った年度に返済しなければならない借り入れである。年度の最終日3月31日付に一時借入で33億円を借り入れて、その日の現金預金の残高が約3億円ということは、これは一時借入を実施しなければ、30億円ほどの現金が年度末に足りなかった。また、決算の貸借対照表に一時借入として、まだ33億円の残高が残っているということは、この年度内にその日のうちにはこの一時借入を返済できなかったということである。これは、一時借入が年度をまたいだということである。
この一時借入、どこかで聞いた言葉だなと思ったのは、これは財政破綻をした夕張市が、これは隠れみのとして多用したということで、これは国全体で問題視されて、会計上、実はこの金額が明記されるようになったし、我々議会としても、この動きがどうなのか、詳細な資料は決算附属書類等で見ることができる。
しかし、この一時借入を年度をまたいで行っているということは、私はやはり資金繰りが相当悪化しているんではないか、こう思っていろいろ詳細を調べてみると、昨年度、19年度も20年3月31日付で32億2,000万円、これも一時借入である。過去を調べると、平成17年度に初めて18億円が年度をまたぎ、18年度はまたがなかったわけであるが、19、20年度と再び年度をまたいだ一時借入を行っている。金額も少しずつ大きくなっている。
実は法律、地方公営企業法第29条を見ると、一時借入による借入金は、当該事業年度内に償還しなければならない、このように規定をしてあるが、例外として、資金不足のため償還することができない場合には、その金額を限度として、これを借りかえることができる。つまり、これは年度をまたいで借り入れるということも、これ違法ではない、しかし原則としてはいいことではないということである。この事実の確認と、私は年度末になぜ資金不足となったのかについてお伺いをしたいと思う。
それとあわせて、一時借入の状況を調べさせてもらったが、借り入れと返済を繰り返し年度内に行っており、20年度内で28回行っている。この中で、残高が一番膨らんだときが21年1月19、20日、この両日の残高82億円ということである。病院事業というのは診療報酬の一部負担額はその場で払っていただく。しかしながら、保険適用となる部分、これは請求してからおくれて入ることになるわけであるから、一定の資金を確保しておかないと資金ショートを起こす可能性がある。民間でも資金繰りが悪くなって、手形等の決済ができずに銀行取引停止となって倒産に追い込まれることがある。
そうならないように、民間の大手の企業であれば、コミットメントラインとかいうような名称で、金融機関と事前に契約をして、資金不足が起こらないように、自動的にあらかじめ決めておいた上限額までは自由に融資を受けられる制度もある。私が調べたところ、病院局でも金融機関と契約をして、この一時借入も間に合わないような資金不足が生じた場合に70億円、これは1日であるが、日単位で融資する当座貸越という制度を契約しておられるようである。この平成20年度に当座貸越を利用したのか、また利用したのであれば、年間何日、また1日の最高額は幾ら、累計が幾らだったのか、あわせてお伺いしたいと思う。
○(古川経営課長) 健全な財政運営上、一時借入を行うことなく、自己資金で病院運営を行うべきことであることは十分認識している。
しかしながら、病院事業の経営においては、収入の大半を占める保険分の診療報酬が、毎月21日前後に社会保険分が、27日前後に国保保険分が入金されるなど、支出と収入に一時的なタイムラグが生じる仕組みとなっている。
そのため、給与費であるとか薬品診療材料費、また公債費の償還、こういった特定の支払い日において一時的に支払い現金の不足が生じることがあり、この不足現金について、随時、民間金融機関からの一時借入で資金調達を行っているところである。
委員ご指摘の年度末での一時借入金の借りかえであるが、現金主義会計で経理される一般会計では地方自治法上認められていないが、委員ご指摘のとおり、地方公営企業法の発生主義会計が適用される病院事業会計においては認められているところである。平成20年度決算においては、この法律の規定に従い、適法に一時借入金の借りかえを行ったものである。
このように、地方公営企業法で一時借入金の借りかえが認められている理由であるが、発生主義会計であるがために、年度末という一時点においては、すでに確定した収入が現金化されていないことがあり、そのために生じる資金不足を解消することにあるものである。
具体的に申すと、20年度決算では、20年度収入である平成21年2月分の診療報酬が約46億円あるが、これは保険制度上、21年4月に現金化される。したがって、20年度末での資金不足について、地方公営企業法に基づき33億円の一時借入金の借りかえを行い、その借りかえ分については、21年4月に診療報酬等を財源として償還したところである。
このように、一時借入金の借りかえというものは、地方公営企業法上認められているものであり、先ほど例に挙げられた夕張市における経理処理といったものとは全く性質を異にするものであるということであるので、ご理解いただきたいと思う。
続いて、当座貸越であるが、数日間という短期の資金不足については、金融機関との協定に基づく当座貸越で資金対応しており、短期プライムレート――現行1.475%であるが――に連動した当座貸越利息、これよりも一時借入利息の方が0.6から0.7%で現在借り入れているので、資金調達コストが低いために、あらかじめ予定される一時的な資金不足については、資金計画を立てて一時借入金で極力対応することを基本としている。
なお、平成20年度の当座貸越の状況であるが、貸越日数が年間87日、累計貸越額が約104億円、1日平均貸越額が約2,800万円で、1日当たりの最高貸越額は約4億4,800万円となっているところである。
○(竹内英明 委員) ありがとうございました。法律上の規定で規定があるのはもちろん承知をしている。ただし、近年この額が新たに発生をしているというのと、それと、実は今まで内部留保がある、内部留保があれば、こういった制度は実は使わなくていいわけである。なぜならば流動資産があるから。それがなくなってきてるから、ここに手をつけてるという話で、合法だから何度やってもいいということでは、これは絶対ないということだけは確認しておきたいと思う。 |
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イ 内部留保について |
本当に内部留保がどうなっているのか、今まで例えば報道では、内部留保は何億円あるとこのような表現で、まだ過去のそうした企業の民間会計でいうと、内部留保というと、何か利益をどこかに隠してるんだといったようなことさえある、それぐらい資産として何か活用できるものだというふうな理解があるわけであるが、実は今、内部留保が幾らあったのかということもあわせて調べてみた。平成19年度決算の残高では4億8,700万円。しかし、平成20年度のいろんな決算を見ると40億円の純損失だと、資本収支も赤字だ、減価償却費等も一定額しかない、トータルでも赤字なのに、今年度の内部留保は逆に8,200万円増加して5億6,900万円である。赤字なのになぜ内部留保がふえているのかな、この点に少し疑問を持って調べてみると、この公営企業会計における内部留保というのは、単なる手元の流動性資金をあらわす指標にすぎない。一般の民間企業の内部留保という表現とは、これは全く異なるものだなというふうにわかったわけである。
つまり、これどういうことかというと、例えば1年以上の長期の借り入れ、もしくは企業債等を発行すれば、現金等の流動資産はふえる。固定負債もふえるが、1年以内の負債である流動負債はふえない。つまり流動資産はふえ、固定負債はふえるが流動負債はふえないということで、損益で大きな赤字を出そうが何しようが、1年以上の長期の借金をすることで、これは幾らでも改善が可能だ、こういうことである。
昨19年度、20年3月25日に初めて5年の退職手当債13億円というものを企業債として発行して資金を調達して、これによって期末の内部留保が4億8,700万円となった。今年度も、年度末の3月31日付で差し引き10億4,000万円の退職手当債を発行して、結果として内部留保は5億6,900万円。つまり、この退職手当債という企業債の発行がなければ、例えば今年度であれば4億7,100万円の不良債務が発生していた、こういうことである。この資金手当債の発行については、公営企業の企業債の一般的な考え、何か見合いの資産がふえるということで、後ほど話をするが、資本の一部に繰り入れられるといったようなものとは全く別個の裏づけのない、いわゆる例外の資金手当の財源である。
じゃあ内部留保、本当に5億6,900万円というのがちゃんとあるのかということになると、やはり固定負債をきちんと精査をしておかなければならない。固定負債の中に、実は貸付金が15億円、これは他会計、一般会計からであるが、そして退職手当債が23億4,000万円。これらを除くと、実際の内部留保資金というのは30億円程度の赤字になってるということで、もしこの固定負債の償還というものがあれば――今すぐないから固定負債であるが――不良債務というものが発生してしまうということである。
じゃあ今、その退職手当債の発行がなければ、私はこれは内部留保というのは、もう19年度で枯渇してしまってたと、現在もそうした緊急の財源を活用して、内部留保というものを5億円確保しているという理解でよいか、この点を確認させていただきたいと思う。
○(古川経営課長) 内部留保資金は、貸借対照表における流動資産から流動負債を引いたものによって算出されるわけであるが、これは財政健全化法の制定に伴い、同法に定める公営企業の健全化判断比率である資金不足額と同じ意味を持つものととらえている。
この資金不足額の算定においては、退職手当債は算入地方債として流動負債に加算されるものの、職員数の削減や給与水準の引き下げ等による人件費の削減効果により元利償還の財源確保が見込まれるといった性質を考慮して、解消可能な資金不足額として全額が控除されるという仕組みになっている。
また、一般会計からの長期借入金については、地方公営企業法施行令において固定負債に計上すると定められているが、資金不足額の算定の対象には含まれていないところである。
このような規定に従って算定した結果、20年度決算においては資金不足額は発生しておらず、内部留保資金約5億7,000万円は適正に算出された金額であると考えている。
なお、現在、本県は起債の許可団体であるから、実質的な発行は無理であるが、仮に赤字補てんを目的とした企業債を発行した場合には、資金不足額の算定において流動負債に加算される一方、退職手当債のように解消可能資金不足額として控除されないことから、資金不足額が発生することになる。このため、同様の手法による内部留保資金の確保はできないものと認識している。
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(2)厳しい状況がわかりにくい会計制度について
ア 借入資本金749億円(企業債+他会計借入金)とは
イ 退職手当引当金未計上について |
○(竹内英明 委員) 退職手当の問題については、今から触れていくが、厳しい状況であるが、それがなぜバランスシート上、わかりにくくなっているのか、私は公営企業会計、病院だけではないが、3点あるというふうに思っている。
一つは借入資本金という問題、これについては後ほど触れる。あとは繰延償却とか、先ほど申し上げた退職手当引当金未引き当てということであるが、借入資本金が749億円、企業債と他会計の借入金ということであるが、冒頭申し上げたが、資本は充実をしている。しかし、その資本のうちに749億円というのは企業債と他会計の借入金だ、これ一般的な会計士等に聞いても、この仕組みはなかなかわからない。これは借入資本金という公営企業独自の考え方で、実際には資金繰りに苦しんでいるといっても、この資本は充実している。これは私は実態をあらわしてない、会計制度そのものがおくれているというふうに思っている。
そのうちのもう一つが退職手当引当金の未計上ということで、病院の場合、定年退職者というのは他の公営企業会計よりも少ないものの、民間では退職等が多いこともあって、退職金の水準というのはかなり抑えられているが、公営企業ではなかなか高水準である。
また、今、実際に退職者が多く、支払いも予定されているのに引当金の計上がない、これはまさに不自然である。一方で徴収不能の引当金等は積んである。金額の多寡でいうと、よほどこの退職金の方が多いわけであるが、引き当てないという基準というのが明確ではない。
そういった意味で、実態に即した会計とするためには、これも計上しなければならないというふうに思っている。借入資本金についても実態に即して、資本ではなくて負債に計上する。そして退職手当引当金については、これも一定の条件のもとで引き当てるべきではないかと思うがいかがか。
○(古川経営課長) 借入資本金は、民間の企業会計においては社債または長期借入金として固定負債に計上されるものであるが、公営企業には株式の発行による資本金の調達という手段がなく、固定資産の大部分が企業債を財源として取得されることを考慮し、地方公営企業会計の独自制度として設けられているものである。
また、退職給与引当金については、単年度損益の平準化や資金の確保の観点から、毎年度必要額を引き当てるとともに、引当額に相当する金額を特定預金等に区別しておくことが望ましいとされている。
しかしながら、本県においては制度的に認められている退職手当債により内部留保資金の減少に対応しており、また、内部留保資金が枯渇している現状においては、新たに引当金を計上した場合でも相当する資金の確保が困難なことから、19年度に全額を取り崩して以降、新たな引き当ては行っていない状況である。
なお、借入資本金の負債計上や退職給与引当金の義務化については、現在、総務省の地方公営企業会計制度等研究会において検討されているところであり、今後、関係法令改正等の動向を踏まえながら、適正に対応していきたいと考えている。
○(竹内英明 委員) ありがとうございます。国が、この退職金の引当金の問題とか資本の問題とか、改正、僕はするんではないかと思うが、やはり少なくとも退職手当は今の制度でもできるわけであるから、やっぱりきちんと引き当てるということ、これを目標にしっかりやっていただきたいと思う。 |
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ウ 一般会計繰入金について |
次に、一般会計の繰入金について伺う。実は、この一般会計の繰入金が非常に多額入っており、これによって何とかこの病院事業、回っているというところがあるわけであるが、資本また収益的収支を合わせて県立病院事業に県の一般会計から幾ら繰出金が出てる、病院事業から見ると繰入金を受け入れているのか。また、そのうち、国のいわゆる基準内繰入金に当たらない、本県独自の繰入金額は幾らであるのか、教えていただきたいと思う。
○(古川経営課長) 県立病院の一般会計繰入金は、平成20年度決算で、収益的収支が約112億円、資本的収支が約40億円、合計で約152億円となっており、そのうち、国が示した繰出基準及び地方財政計画で示された算定基準に基づき算定されたものは約124億円、算定方法がない小児医療、がん医療、循環器疾患医療など本県独自で行っている政策医療などに対する繰出金は約28億円となっているところである。
○(竹内英明 委員) ありがとうございます。実は、基準内繰入だけでやってる病院も他府県にはある。その一方で、多額の県独自、市町独自の繰入金で何とか頑張ってるところというのもある。いろいろあるわけであるが、やはりこの繰入金を入れるということは、県立病院の存在する地域が、例えば神戸とか尼崎のように複数存在する地域がある一方で、例えば但馬地域、西播磨というのはない。この地域偏在が一定顕著であるというところがある。
また、本県の財政指標、実質公債費比率を見ると、20年度決算で19.9と全国ワースト2位だと。いわゆる本体の方がなかなか厳しい状況にあるということ、これを理解をすると、やはりこの繰入金も県立病院改革プランでは繰入基準以外の借入金の支援とかいうことも記載されていたが、なかなかこれは厳しい。私がこの決算委員会で指摘した数値の上昇を考えると、早期健全化団体に移行する可能性も私はゼロではないというふうに思うので、一層の自助努力によって、独立採算制の基本原則に立脚した経営に努めるべきだというふうに思う。
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(参考)一般会計繰入金の内訳
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2.県立病院改革プランについて
(1)2016年の黒字目標達成について
ア 07年度実績比118%入院収益、107%外来利益
イ 給与比率6%減 |
次に、大きな2として、県立病院改革プランについてお伺いする。このプランを実行すると、2016年――平成28年には黒字目標が達成できる、純利益が1,600万円出るというふうに記載をされているが、実は、この平成28年――2016年の全体の数値がどうなってるか、病院事業全体の収支計画であるが、例えば入院収益が現在の実績、平成19年の実績であるが、平成28年には入院収益は118.2%になる。そして外来収益は平成19年度比で106.7%になるということが示されている。これは、一般的に病院経営で最も重要なのは患者数ということになるが、このプランでも患者数という量的な要素と、1人当たりの収入という質的な要素が重要だというふうに書いてあるわけであるが、じゃあ平成20年度決算ではどうだったのか。外来ではこども病院の1,429人増、これは1.7%増であるが、これ以外はすべて減少している。入院の分野についても、加古川病院で115人増、100.1%、0.1%増以外はすべて減少している。
例えば、地域医療連携が進めば患者数は減る、こういうようなことは、監査委員による決算審査の意見書の中でも触れられているし、現下の経済情勢、診療費の自己負担比率の上昇、大病院での診療抑制を呼びかける、こういったことがあると、本当に患者数がふえていくのか、入院や外来の収益が予定どおり進んでいくのか、こういうことを心配をするわけである。
また、経費の面でも、給与費の比率が6%減というふうに書いてあるが、これは全体の収益が上がれば、一定比率は少なくなるということで6%減ということが目標として掲げられているが、こういったことについても影響が出てくるわけである。
また、収支計画では、個別の病院の積み上げであるので、中身を見るとすべて理解できる内容であるが、私、この県立病院改革プランを見ると、何かとよく似ているなと、この右肩上がりの計画だということで、私は新行革プランの経済成長見通しとか税収見通し、あの表とよく似ているなというふうに感じたわけである。逆にあの新行革プランの税収見通し等は、下方修正を何度もしている。私はこの新行革プランとは違って、病院改革プランは実行していただきたいと思うが、本当にこれ実行、達成できるのか、給与費の比率6%減についても達成できるのか、これについて確認をしたいというふうに思う。
○(古川経営課長) 県立病院改革プランにおける収支計画では、28年度に1,600万円の当期純利益を見込んでおり、20年度決算から収益で約95億円増、一方、支出の増加は53億円にとどめるということで、約40億円の収支改善を図るということになっている。
収益については、具体的に申し上げると、入院収益で79億円の増加を見込んでいるわけであるが、その主な要因として、まず一つは、加古川医療センターにおける救急医療の実施、また病床が311から353床に増床するという、このことによって22億円の増収を見込んでいる。また、淡路病院における救急医療の充実で4億円、光風病院での児童思春期医療の提供で4億円、7対1看護基準の取得により4億円、DPCの取得で7億円、医師確保による診療機能回復により7億円等々見込んでいるところである。
なお、今後の動向が不透明な診療報酬改定については、8年間で0.8%の4億円の増収にとどめているところである。
また、外来収益については、加古川医療センターでの診療機能の充実であるとか、光風病院での児童思春期外来開始に伴って増加を見込んでおり、13億円の増加を見込んでいる。
一方、費用であるが、給与費について、20年度決算をベースに、21年度以降の人員増減見込み、給与費抑制の取り組み、定期昇給、新陳代謝等を見込んだ結果、20年度と比較して28年度には約20億円の増加を見込んでおり、医業収益が約96億円増加する見込みであることから、医業収益対職員給与比率は5.3ポイント改善すると、このように見込んでいるところである。
この目標の達成には非常に厳しいものがあるということはもちろん認識している。病院職員一丸となって、この目標達成に向けて努力していきたい、このように認識しているところである。
○(竹内英明 委員) ありがとうございました。私は、個別の積み上げはあるが、非常に厳しいなというところ、これを現場の職員の皆さんにも納得していただいて、目標は非常に高いんだということで、その意識改革というか、意識を徹底していただきたいというふうに思う。
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県立病院改革プラン
入院収益 50,823 →60,074(118.2%)差額9,251(百万)
外来収益 18,775 →20,024(106.7%)差額1,249
【プラン-病院事業全体の収支計画】H19/H28抜粋
・一般的に病院経営で最も重要なのは患者数。プランでも、「患者1人1日当たり入院収益や外来収益は、「病院の収入分析をするうえで最も基本的な指標。料金収入を増加させるためには、患者数という量的な要素と1人当たりの収入という質的な要素が重要となります」としている。
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(2)柏原病院・柏原鍼灸院について
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実は、その中でも、特に柏原病院の経営、20年度を見ると、医業収益また医業収支を見ると、トータルでは15億円の赤字ということであるが、これ繰入金の5億円を入れての計算であるから、約20億円の純粋な赤字が出ているということ。実は費用が37億円もかかっているということで、残念ながら、これは単独でもし民間病院であれば、お金全然足りない、給料払えない。であるから、これが28年度もまだやっぱり赤字であるが、私はこれはなかなか難しい、厳しいなと一番思うわけであるが、特にここ、本当に大丈夫なのかということを、もう一度ちょっと確認をしたい。
それと、柏原病院と同じ敷地内、附帯事業として挙げられている東洋医学研究所柏原鍼灸院というものがあるそうであるが、決算書ではベッド数が5、週1回水曜だけ営業して、年間の延べ診療人数は282人、新しい患者さんは年間19人ということで、これ収支が年間6万円の黒字ということであるが、私、鍼灸事業というものを病院局がしているのを知らなかったが、この建物、週1回しか利用してない、あとの日は何に利用してるのか、事業するんだったらもっとして、この6万円の黒字をもっとプラスにするとかそういった対策があると思うが、柏原病院とこの附属鍼灸院、同じ敷地ということだけで収支は別ということであるが、これ2点あわせてお伺いしたいと思う。
○(古川経営課長) 柏原病院であるが、県立病院改革プランにおいては、28年度の当期純損益を現在から約9億円改善して、6億円の赤字を目標ということにしているところである。
そのための経営改善の具体的な取り組みであるが、医業収益の向上策として、地域の医療機関等と連携を図り、総合的な視点から患者を診察する総合診療部門の設置、輪番制による救急医療の提供、DPCの導入による診療単価の向上、こういったことにおいて20年度から9億円の改善を図るとしているところである。また、費用の抑制として、収益連動に伴う材料費の増加が約2億円あるが、職員定数の見直し、また業務委託の見直しといったことによる費用の抑制を図ることによって、20年度から約8,000万円の増加にとどめると、この結果、約6億円の目標を設定しているところである。
なお、こうした取り組みによって、今年度9月末累計の病床利用率は現在約70%と前年同期より16ポイント上昇している。また、1日当たりの外来患者数も26名増加しているところであるが、目標達成までにはまだ至っていないということで、かなりもちろん厳しい取り組みが必要であると、このように認識しており、県立病院改革プラン目標達成に向け、今後とも経営改善に努めていく、このような所存である。
また、ご指摘の柏原鍼灸院であるが、丹波地域におけるはり・きゅうの普及を図るため、昭和58年度に開設し、その行っている施設であるが、昭和51年度に建設した木骨モルタルづくりの平屋建てであり、耐用年数20年は大幅に経過したものである。こういったこともあり、鍼灸の施術日である水曜日以外は使用していないところである。
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(3)地方独立行政法人化の検討について
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○(田中あきひろ 委員長) 竹内委員に申し上げます。
申し合わせの時間が経過しておりますので、発言は簡明にお願いします。
○(竹内英明 委員) 最後に通告をしていた地方独立行政法人化の検討について、これは病院改革プランでも出ていた。実は私がきょう、冒頭から指摘した会計の問題というのは、実はこの地方独立行政法人化ではほとんど義務づけられている内容ばかりであって、この制度を適用すると解決するべき問題が多いということで、しかしながら、独立性が強まって真の経営努力も必要となる。メリット、デメリット、双方あるわけである。プランの中で検討されるということであるから、しっかりとそうした点を検討していただいて、私は、このプランの28年度の目標が達成できないということがあったならば、こうしたこともやはり考えなければならないなというふうに今回決算を見て思ったので、そのあたりの検討もお願いする。
私の質問はこれにて終了させていただく。ありがとうございました。
○(田中あきひろ 委員長) 以上で竹内委員の質疑は終わりました。
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