Web版ひであき日記

2008年08月

  (未定稿)警察常任委員会の管内調査2日目!!
08/01 (金)

kouji.gif 昨日に引き続き、警察常任委員会の管内調査2日目(東播磨地区)。

まず高砂署。高砂署・加古川署の合同調査。
加古川署は、今年度上半期で県内最多の刑法犯認知件数と多くの犯罪を抱える。認知件数自体は署の規模が大きくなると上昇して当然だが、規模に関係のない同人口あたりの発生率も高い。昨年度も署員1人あたり約16件の刑法犯認知件数と、今回の調査署内では最多で、一方の検挙率は約20%と最低レベルであった。他の議員から検挙率が低いことを問われると、昨年の加古川少女殺害事件に人員を投入しているほか、同種の事件の再発防止のために警戒体制に多くの人員をとっていることで、他の犯罪の検挙に人員がさけていない実情も説明された。当たり前の話だが、大きな犯罪が起きるとその事件に大きく人員が割かれるのである。このような実態は、漠然として想像していたものの、事実としてでてくると、警察官の数は限られているということが改めてわかる。応援でバックアップする以外の対策はなく、犯罪が起こらないようにすることが大事だというほかない。

その後、加古川市のPFI方式を採用した刑務所「播磨社会復帰促進センター」。過去ここには加古川学園という少年院があったという。名称からはわからないが、法務省所管の刑務所であり、県警察とは直接の関係はない。


播磨社会復帰促進センター概観


K所長、N調査官の引率で所内視察。昨年10月に収容開始、山口県の施設についで全国2番目の委託特区刑務所。入所者は1000名の定員で現在888名。窃盗、覚醒剤等の初犯・初入で26歳以上の男性受刑者を収容しているという。私もアメリカの州刑務所、姫路少年刑務所を視察したことがあるが、若いという印象。施設としては新しいので単純比較はできないが、初犯ということで80%が単独房であり、また定員オーバーが常態化している中で、定員未満であることは他の刑務所より恵まれていることがはっきりわかる。

しかし、民間刑務所のように聞いていたが、さにあらず。他の刑務所でも一部業務の民間委託はしているが、ここでは現行法では委託できない「社会復帰のための矯正教育」などを特区として、民間に委ねられるようにしたということで、本質はPFI刑務所である(15年契約の各年度均等支払いのPFI方式)。所長をはじめ153人の国家公務員と業務委託した部分の民間職員110〜120人程の人員で運営(民間の人員は委託なので定員はない)。要は民間に委託する部分を増やした刑務所ということであって、イギリスのような民間刑務所とは違う。

所長の話によると「社会復帰のための改善指導にとりわけ力を入れている」とのこと。矯正教育にアニマルセラピーを取り入れるなど民間独自のプログラムを実践しているそうである。また、懲役刑の場合、様々な役務をすることになるが、こうした役務を外部から受注してくる営業も民間が担っているそうだ。その方針やよし。


兵庫県警西脇警察署


昼食後、三木署。三木署・社署の合同調査。行革での経費節減策について署長ではなく両会計課長からいろいろ伺う。その姿勢やよし。その後、西脇署。西脇署・加西署の合同調査。最後の質問。両日中で加西署が最も検挙率が高かったのだが、その理由を聞くと、検挙率というより、犯罪発生件数そのものを減らす取り組みが重要という。それはわかる。

しかし、2日間の調査でわかったことは、刑法犯罪の発生率は県内でも都市・地方の地域的な差がそのまま顕著に出ているいうことである。警察官もほぼそれに応じて配置されている。また、その一方で検挙率は、都市・地方という地域差ではないことがわかり驚いた。不思議であるが聞いても明確な答えはなかった。

全国では同じ人口あたりの犯罪発生率については、大阪府が特に悪いが、兵庫県も47都道府県中4位と悪い。このあたりの数値は各種資料で公表されているが、全国ワースト4位などの記録は数値的に明確な目標をもって返上しなければならないと思う。

今回の調査では、説明時間の配分などいろいろ問題点もあった。今回は別にしても、県会にきて思うことの一つに、資料に書いてあることが読めないと思われいるのか、書いてあることをそのまま説明するなど、説明に時間を大きく使われることが多い。資料を事前に配っていても、全部読むような委員会の説明もある。国会ではあり得ない対応である。丁寧といういいものではなく、限られた時間の中では時間の無駄であり、特にストレスがたまる。全て議会側の指示に問題があるのだが、終ってからいろいろ意見が出るだけに問題点は理解されているのだろう。それだけにより痛い…。

終了後、県議会。その後、事務所。帰りも渋滞…。車中、内閣改造のニュース。支持率浮上・衆院解散狙いだろうが、しがらみある面々を活用し、党内バランスをとって、支持率は上がるのだろうか。要注目。

  (未定稿)姫路お城祭り!!
08/02 (土)

hare.gif 姫路お城祭りの開催日。まず大手前公園ステージ。「播磨の黒田武士顕彰会」の黒田24騎がパレードの前触れも兼ねてステージ出演。夏の鎧兜は半端なく暑い。今年は姫路独協大学柔道部の猛者が協力してくれている。


黒田24騎と「官兵衛を大河ドラマに」の垂れ幕



その後、イーグレひめじで開催の「ひめじ国際短編映画祭」へ。コンペ部門の3作品を鑑賞、投票。強く印象に残る作品も。


ひめじ国際短編映画祭(イーグレひめじ)


その後、たこ焼きを食べながらお城の女王パレードを見物。その後、姫路商工会議所青年部OBの皆さんのキャッスルビアガーデンにスタッフ参加。派手な黄色のシャツに着替え、露店でラムネ、ジュースなどを売る。日本酒や焼酎売り場の横だったので、それも売る。暑さもあってか、お茶を中心に飛ぶように売れた。知人が通ると「なんでここにいるの?」てな感じ。5時間立ちっ放し。いつもは飲んだり食べたりする側だが、たまには逆もいい。お釣りのやり取りなどセブン−イレブン時代を思い出した。21時の終了後、22時すぎに片付けて終えて会場をあとにする。


大手前通りでは一輪車パレードも



こどもたちにラムネを売る私

  (未定稿)黒田サミット開催!!
08/03 (日)

acchi.gif 姫路お城祭り2日目。城見台公園ステージでは「ひめじ良さ恋まつり」の予選も。市民会館で開催される「黒田サミット」へ。行政関係のほか、播磨の黒田武士顕彰会、播磨学研究所、広峰山顕彰会、姫路青年会議所などで構成する黒田サミット実行委員会が開催。


まず増位山虚無僧保存会によるオープニング



来賓として黒田家16代長高公ご夫妻、石見姫路市長、笹倉中播磨県民局長、谷内姫路市議会議長(左から)



サミット実行委員会の中元会長(播磨の黒田武士顕彰会会長、姫路獨協大学副学長)の挨拶



作家 安倍龍太郎さんの講演「姫路生まれの智将 黒田官兵衛」



萩原たか子さん、福原清さんによる黒田武士祝い歌



親翠流華翠会、新福杉夫さんによる黒田24騎の賦



パネルディスカッションでは黒田家ゆかりの岩根滋賀県木之本町長(黒田家発祥の地)、小林瀬戸内市教育長(備前福岡、黒田家流浪の地)、是水中津市副市長(福岡の直前領地)、吉田福岡市長(廃藩置県まで領地)、石見姫路市長(官兵衛・長政出生地)。写真左から



サミット宣言を読み上げる神澤さん(播磨の黒田武士顕彰会事務局長)。大成功だったと思う。


終了後、市関係者、商工会議所関係者と懇談。


大手前公園ステージ。良さ恋決勝の模様



みゆき通りを練り歩く「天晴!舞道連」

  (未定稿)横浜へ
08/04 (月)

hare.gif 播但線で姫路。定例の朝の街頭演説。お城まつりの話や姫路城周辺・大手前通り沿いの歩きたばこ禁止条例についてなど。

週末も内閣改造の評価や衆院の解散時期について多くの人から聞かれたのだが、今日も聞かれる。今回の改造で個心的に最も注目するのは、郵政造反組の三役・閣僚起用。郵政選挙で国民の審判を受け、大勝利した政党が、それに反対し離党させられた人を同じ選挙の任期内で登用する。十分な総括や説明もないままにである。日本人は忘れやすいというが、こんなおかしなことはない。

また、解散時期をめぐっては、来年6月の都議選に全力を入れる団体に配慮して解散時期を決めるという話が規定路線のように新聞各紙で報道されている。首都とはいえ都議選は一介の地方選。衆院選に優先されるような扱いは、どこか変だと思うのだが…。

終了後、新幹線で新横浜。テレビ東京系の番組TVチャンピオンで、ラーメン部門準優勝の経歴を持ち、先日亡くなった元広報担当の武内伸さんを偲びラー博。先日アサヒ芸能を読んで亡くなったこと、その死因を知り驚いたのだが、同誌に寄せた佐野実さんの追悼文を読むと、多い日には1日5杯も食べ、スープを飲み干すことを礼儀として実践していたという。武内さんのHPプロフィールを読むと、福岡生まれで高校2年生の時に東京・荻窪の春木屋に行ってからメモを付けはじめ、この道に入ったそうだ。私が高校3年生の時、高校で受けるように言われた河合塾の模擬試験を受けずに友人3人で東京の大学見学に行ったのだが、その途中、荻窪に行って春木屋の行列に並んで食べた。武内さんの行動は人ごととは思えない。敬意を表して春木屋、佐野さんの支那そば屋、こむらさき。夏休みだというのにラー博もそんなに人が多くない。思い出もあるのだが、今の時代の流れからすれば踏ん張りどころだと思う。その後、ベローチェ。コーヒー価格180円、味も昔と全く変らない。新中野駅前店によく行った。懐かしい。


春木屋のミニ醤油ラーメン。カツオだしがよく効いており、当時と同じ味だった


その後、横浜市営地下鉄で関内。横浜市役所。その後、民主党神奈川県連。兵庫県会、神戸市会、三田市議の面々と合流。神奈川県連のY幹事長代理(神奈川県議)、Y事務局長から財政問題についてヒアリング並びに質疑応答。詳細は記せないが、勉強になる。終了後、懇談。姫路在住であったNTTの福永保さんのことが話題に。私はその武勇伝しか聞いたことがないが、直接知る方々は思い出が多くあるようで、懐かしく語っておられた。もう二度とあんな方は出てこないだろう、と。

  (未定稿)民主党兵庫県連青年局「政治スクール」のご案内!!
08/05 (火)

hare.gif 事務所。報道によると、麻生新自民党幹事長が江田参議院議長に就任の挨拶にきて、ナチスドイツの例を引き合いに出して民主党による政権交代を牽制したという。ナチスの口当たりのいい公約にドイツ国民が騙された挙句、ドイツがヒトラーによる独裁国家になったということがいいたいのだろうが、要は国民は何もわかっていないからすぐ騙されると言いたいのである。国権の最高機関、ましてや民主党出身の議長に対して言う話なのか。

スタッフMが事務所周辺などの草刈や片付けをしてくれている。ありがたいことである。第二次新行革プラン案(企画部会案)に対する会派の知事申し入れ案など書類等に目を通す。

民主党兵庫県連から「政治スクール」の案内チラシが届く。今回は第2回目の開校。前回と同じく松本たけあき代議士に校長をお願いし、鳩山幹事長らの講義等も予定しているほか、国会・党本部訪問など私が担当する企画もある。興味がある方は検討し、是非申し込んでほしい。

民主党兵庫県連青年局「政治スクール」のご案内

昼食は312号線沿いに先月オープンしたそば翔。ざるそば。これで312号線の私の事務所周辺はそば屋が3つもできたことになる。その後、ケーキを求めて白国のアキラ。あいにく休みだったため、新在家本町のパティスリーレグレット。イケメン店員さんに聞くに今年4月にオープンしたという。私はケーキをはじめ甘いものは食べないのだが美味しそうである。

その後、事務所。その後、印刷会社から「竹さん通信2008年夏号」が納品される。今号は一部カラーを使った。発送準備。その後、Nさん来訪。事業仕分けについてアドバイスを求められたので、わかる範囲で回答。その後、夕食懇談。私のホームページに対する意見も。難しそうなことは飛ばして、食べ物とか楽しいところしか見ないという(苦笑)。いろいろご意見を頂戴するが、バランスが大切である。


そば翔のざるそば

  (未定稿)近い人の言うことは聞きましょう!
08/06 (水)

acchi.gif 連絡を受けて家庭訪問。体調が悪く苦しんでいるにもかかわらず、奥さんが病院に行くように言ってもどうしても行かないという方あり。私の言うことなら聞くのではということだが、確かにすぐ言うことを聞いてもらった。病院に行って診断の結果、重症で手術が必要とのこと。自分の判断で我慢して大事に至ることもある。過剰な病院通いは慎まなければならないが、早期の適正な治療が命を救う。しかし、奥さんのいうことを夫が聞かないという話。巷間でもよく聞く話だし、私も人のことは言えないが、聞きましょう。

その後、歯科医院。また歯医者かと言われそうだが、昨日、会話中に歯の詰め物がはずれたのである。はずれた詰め物を見ると前回と同じように黒い。先生に聞くと、はずれているのは昔の旧基準の銀の詰め物で、現基準のものでは色が変わらないらしい。歯の磨耗と銀の磨耗の差があるため、一定の年月がたつとはずれることがあるという。あと1本古い詰め物があり、近いうちにはずれる可能性もあるので予備的に医療。これで当分行かなくてすむかな…。

その後、事務所。県立大学、宍粟市の件で陳情あり。昼食は、事務所でレトルトカレー。一時期ご当地レトルトカレーをお土産に買って食べ比べていたが、種類が増すぎてあきらめたほど。全国各地でレトルトカレーを売っている。

その後、電車で神戸・元町の新愛園。加古川東高出身で早大時代には私のグルメサークルにも参加してくれていたY弁護士が9月から北京大学に留学するということで送別懇談会。中国通のYさんも参加。Yくんは私と同い年だが留学!羨ましい。北京といえば過日訪中した際に、現地でお世話になった服部貴行さんが明日のNHKで取り上げられる。

8月7日(木)午後10:00〜10:45
NHK総合 あしたをつかめスペシャル「北京でドリームズ・カム・トゥルー」
「おいしい麺を低価格で提供しようと巨大な製麺所をつくりショッピングモールにラーメン店を出店する31歳の起業家」。すごい紹介である。

  (未定稿)県会政務調査会。兵庫県の食料自給率は16%!!
08/07 (木)

hare.gif 県庁。政務調査会。会派ごとに県庁各部局から事業内容の説明を受けた上で質疑応答をする取り組み。今回は今年度の主要事業の進捗状況だが、冬に行われる政務調査会では予算要求について説明がある。今回は丸2日。全部局の事業内容がわかるため、勉強にもなる。いい取り組みである。

まず、企業庁。毎度のことだが、播磨科学公園都市についての意見が多い。私からは行革に関連して電気事業からの撤退(波賀町の原[ハラ]水力発電所)について確認。

その後、企画県民部@。6月末調定・徴収実績による県税収入の見通しとして「当初予算計上額の確保は厳しい状況にある」と税収の当初予算割れの可能性をはじめて公式に説明。法人関係税等の落ち込みは原油価格の高騰や原材料高などによる影響が大きく、これだけの原油高は予算編成時点の想定も超えている。税収見込みについては今後も注視しなければならない。暫定税率の一時廃止(自動車引取税・軽油引取税の減収は24億円。国譲与分をあわせて25億6千万円の減収)の影響額は県税収入全体の0.4%ほど。これを予算割れの第一要因とする説明は今後はないだろう。

その後、健康福祉部。認定こども園に対する国交付金の内容、認定保育園の数が増えない理由、現場の声などを確認。他の議員から国会でも取り上げられている健康保険のない児童、いわゆる無保険児について質問あり。県内の(保険料未払いなどで保険証のかわりに発行される)資格証明書の発行数は約8000だが、その中で児童がいる世帯の割合や資格証明書をもたない世帯の児童数等は把握するのは難しいという。お金があっても保険に入らない保護者もいる。昔、学校の修学旅行やキャンプなどに行く際に健康保険証の番号やコピーを持参するように言われたことがある。当時は皆保険証を持っていたと思う。国民皆保険の国なのに保険証のない児童が増えている実態。格差の拡大やモラルの低下などいろいろ原因があるが、自己責任という厚生労働省の言い分もわかる。子供に責任がないことは確か。何か良い方法はないものか。

昼食は万年青の弁当。県会日中議員連盟の総会。その後、県警から良い報告あり。地域の治安がはかられる。その後、党県連のI青年局長らが県庁県政クラブで民主党兵庫県連青年局「政治スクール」の記者会見。校長をつとめるM代議士も出席。

民主党兵庫県連青年局「政治スクール」のご案内

その後、政務調査会再開。農政環境部@。県内の食料自給率について、カロリーベースで兵庫県は16%(平成18年度)、国は39%。この度、県民局ごとのデータも初公表。姫路市を含む中播磨は15%とほぼ県内平均。他は、神戸4、阪神南0.6、阪神北5、東播磨9、北播磨56、西播磨38、但馬66、丹波82、淡路107%。ちなみに北海道は195、東京は1%。兵庫は有名農産物がある割に自給率が低い。東国原、橋下知事の県産品のPRに負けない井戸知事の取り組みを求める声も。

その後、県土整備部@。姫路警察署、県立加古川病院の建設を請け負っている真柄建設問題(産業再生法を申請し、現在工事がストップしている)について。下請企業や協力会社に対して誠意ある対応するよう県当局として要請していることが説明された。また、姫路警察署については協力会社が50社弱あり、6割が工事再開に同意しているほか、現在交渉中で良い方向なのが3割、難航が1割で協力が得られないという。県立加古川病院については、4割程が工事再開に同意しているほか、5割強が前向きだが、1割弱の協力は得られない状況という。若干ずれるかもしれないが、お盆の週末明けに「工事再開願い」が出されるとの話である。

その後、教育委員会。行革による学校現場へ影響を最小限に抑えるよう強い要望が出たほか、スポーツクラブ21事業について市町から問題点が指摘されていることなどが質問された。

初日終了後、ある一部事務組合に対して苦情。公共の福祉のために存在する地方公共団体が、法に従って生活している一般の善良な住民に、今後の触法可能性に言及し、内容証明で一方的な文書を送りつける。正直、文書をみて唖然とした。法解釈も念のため弁護士にも確認してみたが、明らかにおかしいという。こういう事例をみると地方分権ではたして大丈夫かという声が出るのもわかる。

夜、NHKテレビ。昨日告知した番組を見る。服部さんの他にも頑張っている日本人の若者がいる。

服部さんのブログ「北京で働く社長のブログ」

  (未定稿)政務調査会2日目。昨年度の病院事業の赤字は45億円に!
08/08 (金)

hare.gif 県庁。政務調査会2日目。まず、病院局。平成19年度の県立12病院の決算が示され、トータルの純損益が昨18年度の64億円の赤字から19億円改善されて45億円の赤字に縮小したこと(一般会計繰入金は110億円と昨年より6億円増のため実質13億改善)が明らかになった。また、黒字となった病院が昨年は姫路循環器病センターだけだったのが、尼崎病院、災害センターと2つ増加したこと、病院事業会計の内部留保資金が平成15年度90億円あったものが5億円まで減少し、ほぼ底をつきかけていることもわかった。ちなみに姫路循環器は2億5800万円、尼崎は4600万円、災害は1億1300万円の黒字で、統合予定の塚口は7億8900万円の赤字(いずれも一般会計からの補助金繰入後の数字)である。

行革第二次案で示されている塚口病院(尼崎市)を尼崎病院へ統合することの関連質問多し。尼崎市にはこれまで尼崎、塚口と県立病院が2つあった。県立病院の地域の偏在については、公立病院が県立病院だけの地域と、市立病院などと分担して地域医療を担っている地域の自治体での財政負担の差があると当然推測される。この差を解消する施策の有無や今後のあり方を確認。例えば、但馬地域には県立病院がないため、市町でつくっている公立豊岡病院への財政支援で県としての偏在の解消をはかっているが、一方で尼崎市には県立病院が2つあって市立病院はない。姫路では1つの県立病院があり、土地の提供等で一部負担を共有しているが、市立は診療所だけで病院はない。また西宮、明石、加古川市などでは県立、市立とそれぞれの病院があるなど様々である。

豊岡市と尼崎市の医療(病院事業)にかかる市費負担比率を比べればその差は相当のものだろう。また、公立病院間で医師のとり合いをしている話も出ていた。課題は多いが、国の公立病院ガイドラインで示された課題とあわせて検討しなければならない。

その後、企画県民部A。地方分権や道州制に関連して、(仮称)関西広域連合と道州制との関連や財界の関わり方に質問多し。私からは、兵庫県としては認められない伊丹空港の廃止・関空一本化をぶち上げ、伊丹の跡地利用の方法まで検討するよう指示した橋下大阪府知事と井戸知事の関係について、また滋賀県の造林公社問題をめぐる立場の違いなどがある段階で、(仮称)関西広域連合をどう進めていくのかなどについて確認。道州制についても結論が違う同床異夢。先輩議員からはガラス細工という声もあがっていた。昼食は帝武陣の弁当。

その後、政務調査会再開。産業労働部。景気・雇用の悪化について、県内の有効求人倍率(6月)が0.78と続落傾向にあること(前年の19年6月は0.95)などが示された。姫路市に建設される「ものづのり大学校」(平成23年度教育研修施設、24年度体験施設の供用開始予定)の予定地に飛鳥時代の廃寺跡が発掘されたという話で、K産業労働委員長から資料をいただく。工事に与える影響はなく、廃寺跡として記録展示される見込みだそうだ。平成21年3月20日〜23日には「全国技能グランプリ・兵庫」が神戸で開催される。過日テレビで取り上げられていたが、大変素晴らしい取り組みだった。

その後、農政環境部A。環境について。関心のある議員が多い。

県土整備部A。県営住宅事業については、今年度から自治会管理の駐車場も指定管理者管理に移管し、駐車場の有料化もスタートした。私からは市町営住宅との関係、地区管理員制度について確認。市町も公営住宅事業を実施しているが、県営住宅との違いが、設置者だけという市営住宅も多い。ある意味では二重行政である。市町との戸数調整や立替計画等の話し合いを実施しているかについても確認。回答では、都市再生機構や雇用促進事業団の住宅もあわせて、オール公営の事業者で連携する必要があるというもの。その通りだと思う。また、先だって一部入居者によるクレーマー事案で指定管理者が困っているという話を聞いた。民間では退去させられるような事案でも公営ではまかり通ることがある。私が聞いた話はあり得ないものだった。クレーマーには厳正に対処するように申し入れ。受益者負担率についても確認。公債費等を除く約200億円の事業費を157億円の家賃収入で賄っているということで、公債費を除くという低い見積りだが約75%の受益者負担率だった。

その後、警察本部。先輩のM議員から警察常任委員は発言を遠慮するよう指示があったが当然である。他の議員の発言を聞くことに。民間の注射監視員の導入の効果について、常時監視している地域の違法駐車台数が20%減少したという。この制度の導入によって35名の警察官を他の部署、特にDV、ストーカー対策など最近増加しているマンパワーが必要な部門に異動させた。当制度の導入に感謝しているという。近年、一般人から押収した拳銃も増えているが、その多くが外国の軍用拳銃だったという話も。

政務調査会の途中、県議会行革特別委員会の招集通知。二転三転したようで、急な通知、時間配分等は未定である。8月11日に知事も出席する委員会が開かれ、第二次行革プラン(最終案)の公表・説明、20・21日に質疑の予定は固まったようだ。私にもいくつかの質問分野の割り当てがある。

その後、姫路へ戻る。M代議士の国政報告会。司会を務める。帰宅後、21時から北京オリンピックの開会式を少し見る。感動的である。その後、312号線沿いのうさぎ。ある企業の歓迎会に呼ばれ懇談。Y社長が私の家とうさぎが近いことを思い出したという(笑)。様々な方と懇談、意見交換など。

  (未定稿)北京オリンピック 柔道スタート!
08/09 (土)

kocchi.gif テレビで北京オリンピックの柔道などを見る。男子60キロ級の平岡選手は1回戦負け。負けた相手が2回戦で負けたため敗者復活にも進めない。男子柔道がこうもあっけなく負けるとショックである。谷選手も銅メダル。世界3位は立派だが、本人や関係者は複雑な気持ちだろう。試合を見ても一時期の"強い"という感じがなかった。

平岡選手は3大会連続金メダルという実績のある野村選手に代わっての出場。谷選手は代表選考会では敗れたもののこれまでの実績で選出された。アメリカのような一発選考と日本のように実績も加味した選考がある。いずれの方法もメリットデメリットがあるが、今日の結果を見ているとどちらの方式でもあまり変わらないのかもしれない。

女子バレーも惜敗、野口みずき選手も体調不良…。幸先が良くない。心配である。夜、遠方から帰省中の業界人Oさんらから業界の裏話などをきかせてもらう。仕事は大変そうだが、プライベートは充実しているようだ。

  (未定稿)柔道2日目は、内柴選手が金メダル!!
08/10 (日)

kocchi.gif 北京オリンピック柔道2日目は、内柴選手が金メダルを獲得。決勝に進む過程で一度負けそうになったが見事逆転。女子の中村選手も銅メダル。安堵。男子サッカーは予選リーグ敗退が決まる。残念。事務所。少し作業。病院の父の元へ。点滴中。母や妹Mもいた。その後、Yさん、Y2さんと珍しい顔ぶれで意見交換会など。姫路駅フェスタ地下のとん龍。

  (未定稿)兵庫県第2次新行革プラン正式案示される!!
08/11 (月)

acchi.gif 山陽電車の姫路駅前。朝の街頭演説。いつも演説と同時に民主プレスのチラシを配布しているが、今回は党兵庫県連の「政治スクール」のご案内も配布。終了後、本町の姫路医療センターに立ち寄り、事務所。打ち合わせ後、県庁へ。

民主党兵庫県連青年局「政治スクール」のご案内

議会事務局図書館課から依頼していた導州制に関する資料を受領。道州制の賛成論者であるPHP研究所の江口克彦社長と反対する井戸知事との論争が月刊誌「Voice」で勃発するなど、関西広域連合の発足を前に県議会でも道州制についての話がよく出ている。議論が大きくなればなるほど住民の皆さんの関心も高まり、現実の動きにつながっていくだろう。中央集権がいいなら道州制は不要。更なる地方分権を進めるなら今の都道府県体制では限界。都道府県行革の視点では道州制は必須である。外交、防衛など中央集権を残さなければならない分野もあるし、道路、河川ほか都道府県と重複するような事務をもっている国の出先機関で廃止した方がいいところもある。住民の方と話をしても、道州制についての関心は低いが、議員の数は大きく削減されるという話をすると賛同される方が多い。もし住民投票をしてもこの一点だけをもっても賛成多数となるだろう。

その後、新行政課から県広報誌「県民だよりひょうご」に掲載する行革プランの内容についてヒアリング。先日の神戸新聞の県民世論調査で『今後十一年間で約八千億円を削減する新行革プランについて、「よく知っている」は5・7%。「少しは知っている」を合わせても認知度は43・6%にとどまり、「知らない」「財政状況が厳しいことも知らない」の計56・4%を下回った。』というショッキングな報道があったばかり。議員の中でもこの話題もよく出る、ある意味で寂しい話でもある。もし、兵庫県民に「大阪府の行革を知っているか」という調査をすれば、8割以上が知っていると答えるだろう。関心が低いのは自分の生活とは関係が薄いということで、ある意味で仕方ないこと。しかし、広報不足も一因ならその対応はきちんとしなければならない。住民のほとんどが県に対する納税者である。関心が低いということで終らせてはならない。

「県の新行革、56%「知らない」 井戸知事2期目3年」(神戸新聞2008/8/5)

その後、県庁西のマルシェ。カツカレー。相変わらず秀逸。


マルシェのカツカレー


その後、所属する会派「民主党・県民連合」の議員総会。M県民企画部長から第2次行革案の説明。企画部会案から内容説明の充実が図られたほか、微修正があり、2005年秋に開校したばかりのカーネギーメロン大学日本校(神戸市中央区)の事業廃止、運営財団の廃止等もはっきりと示された。その後、先輩議員からJR播但線・姫新線の高架切り替えについて教えて頂く。今年12月22日(月)早朝から高架のある新ホームに乗り入れることになる(詳細別途)。

その後、井戸知事、両副知事らも出席する県会行財政構造改革調査特別委員会に出席。新行革プランの正式な説明を聴取。今日は説明のみ。20、21日両日の9:30〜19:00に質疑が行われる。終了後、私を含め、民主の4委員で質問箇所、時間等の打ち合わせなど。

オリンピックは水泳の北島選手が100メートル平泳ぎで金メダル。さすがである。

  (未定稿)播但線・姫新線の高架切り替えは12月22日(月)に決定!!
08/12 (火)

panda.gif 来る県会行革特別委員会の質疑に備えて論点整理など。議会事務局を通じて資料要求などの確認、そのやりとり。

JR播但線・姫新線の高架切り替え時期については、「今年度のできるだけ早いうちに実施したい」との考えを当HPでも紹介してきたが、切り替え実施日が、2008年12月22日(月)に決定(下記HPの新コーナーにて資料等を記載)。

「新姫路駅やその周辺はどうなるのか?(姫路駅周辺鉄道高架関連事業)」のHP

「播但線・姫新線 高架切替情報」のコーナー

なお、播但線については、前日の21日(日)0時から切り替え工事に入るため、21日は終日運休となる予定(代替交通については後日公表)。今回の高架切り替えについては、JRのダイヤ改正時期にあわせたものではないとのことです。姫路駅高架下のショッピングセンターも高架にあわせてオープンすると聞いています(概要については上記HP「新駅ビルとは?」のコーナーを参照)。

  (未定稿)「竹さん通信」そろそろ到着!!
08/13 (水)

mail.gif 午後から東京へ。神宮前の新潟館ネスパス。新潟県産品の販売と、新潟の食文化を発信する飲食の提供を行うアンテナショップ。多くの客で賑わっている。先日新聞で報道されていた八海山ビールの販売も。一等地への出店だけに経費はかかるが、その宣伝効果はある。


新潟館 ネスパス


周辺の表参道ヒルズやTBS、赤坂サカスなども見て歩く。表参道ヒルズ内のはせがわ酒店では、宍粟市山崎町は山陽杯酒造の「播州一献」がお勧め商品として宣伝されている。「播州地域の良質の米・水・環境を使い地酒の本来持つ良さを大切に醸したお酒を味わってみてください」とあった。8月から新規取扱いとなったという。


赤坂サカスのイベントスペース。ドラマ「渡る世間は鬼ばかり」の幸楽ラーメンの出店も


夜、ホテルでメール等の連絡を確認。先日発送した県政報告「竹さん通信」到着の連絡も届く。読んでいただけること、感想や激励までいただけることに感謝感謝である。議会関係の連絡や伯父が再手術との連絡も。心配である。

  (未定稿)民主党本部を訪問!!
08/14 (木)

kocchi.gif 東京も暑い。丸の内線で新中野。中野の尚ちゃんで昼食。伊勢丹新宿店に立ち寄った後、国会議事堂前。衆議院第一議員会館で買物。ある人気の国会土産が少し前と比べて値上がりしており驚く。便乗値上げではないと思うが…。その後、国会図書館。


国会図書館


その後、隣の民主党本部。お盆ということで少し落ち着いているものの、夏休みをとっている人は少ない。新民主党結党時からの先輩職員の皆さんと懇談。結党時は私が最も若い職員だった。あれから10年にもなるが、皆さんはほとんど何も変わっていない。風景もフラッシュバックのように感じるほど。衆院選第一次公認、兵庫県知事選挙についても話す。民主党の場合、これらの公認、推薦権限は全て党本部にある。


ペンタックスビルにある民主党本部。いつぞや、前の通りでタッキーがドラマの撮影をしていた


その後、衆議院第二議員会館。お盆ということで休みの事務所も多い。ゆっくり夏休みがとれるということで9月以降の臨時国会召集を主張した某党に感謝している関係者がいた(笑)。

その後、友人の某党代議士秘書の車で神谷町。城山ヒルズの寅福。秘書夫妻、先輩と夕食懇談。地方議員の実情等について話す。いいアドバイスも頂いた。その後、赤坂見附。党、他党関係者と衆院解散、政権交代等について意見交換など。

  (未定稿)今年のお盆はオリンピックと行革!
08/15 (金)

acchi.gif 明日、会派の県議会行革特別委員の打ち合わせがあるので、オリンピック中継を横目に、各種データ調べなど。テレビを見ながらというのは難しく、どうしてもテレビに集中してしまう(苦笑)。しかし、今年のお盆はオリンピックと行革と変な取り合わせである。

水泳や陸上では残念な結果も多かったが、柔道の女子78kg超級の塚田選手が銀、男子100kg超級の石井選手が金とメダルも獲得。前日の鈴木選手は一回戦、敗者復活戦といずれも大変残念な結果だったが石井選手の違いは何なのだろうか。

  (未定稿)盆踊り大会!
08/16 (土)

puri.gif 新幹線で新横浜から新神戸。地下鉄に乗り換えて県庁前。喫茶すわやまでミートソーススパ。

その後、民主党兵庫県連。県会行革特委員、政務調査員と質問事項の打ち合わせ。その後、自宅。少し休んだ後、地域の消防団主催の盆踊り大会。挨拶。県政の事業についても少し触れる。回って話していると各種要望も頂く。「竹さん通信、届いたよ」という声も多くの方からいただいた。小さな子供が多く参加していて活気がある。いいことである。


盆踊り大会の様子

  (未定稿)Nさんの送別会!!
08/17 (日)

kocchi.gif 北京オリンピック中継などを見る。メダルが期待できる女子レスリングも始まった。TBSのサンデージャポンも。この番組も面白い。昼食はどん兵衛天そば。

その後、北条の労働会館。打ち合わせ会。公職選挙法等について話す。祭礼等で寄附の問題が発生しているらしい。ルールを守る方が非難される現実。悲しいことだが、これは間違っている。終了後、事務所。作業。

その後、電車で神戸。東京に異動が決った同級生Nさんの送別会。海外赴任を前提として東京にいくとのこと。姫路勤務時代から様々なことで連携させてもらった。姫路、神戸、大阪、東京、海外と出世魚のように駆け抜けていく。正義感も強い。こういう人が活躍する会社。流石である。痛飲。


鳩山由紀夫幹事長、来県のご案内!
かねてご案内の民主党兵庫県連青年局の政治スクールですが、鳩山由紀夫民主党幹事長が開講日に来県することになりました。政治スクール開講にあたり基調講演を行います。なお、開講日の鳩山幹事長の講演はオープンスクールとし、スクール生以外の聴講も可能です。

9月6日(土)14:00〜
ラッセホール5F「サンフラワー」
(神戸市中央区中山手通4-10-8)
※講演のみの聴講は無料

民主党兵庫県連青年局「政治スクール」のご案内(8/20締切です)

  (未定稿)忙しい一日!
08/18 (月)

acchi.gif 県庁。警察常任委員会。県警の生活安全部の施策について、M生活安全部長から説明・質疑応答。偽装ラブホテル、風営法関係の質問も。その他で先日報道があったJR福知山線脱線事故について質問。終了後、おこわ米八の弁当。その後、県連会議室。民主党県連大会準備委員会。その後、総務常任委員会の資料で平成19年度決算、財政指標等の確認。その後、会派総会。行革質問事項、重要政策提言等について協議決定。その後、Yさん、Sさんと夕食懇談。

  (未定稿)歯医者終了!!
08/19 (火)

acchi.gif 歯科医院。銀のかぶせ物2つをつけ終了。当日記読者の何人かの方からも、いつまで歯医者に行っているのかとかたまに言われる。県議になってから、親不知を3本抜いたのと、相当古い詰め物が断続的に何回もはずれたのである。今日で全て終わり。これだけ行くと覚えてもらった。立場も知られたので「痛い」とかいいにくい(笑)。かかりつけ医にみてもらえという話はあるが、いろいろある。

その後、事務所。警備関係者と意見交換。宗教問題について。その後、電話で関係各所とやりとり。昼食にカップ焼きそばペヤング。すると事務所内で関西でメジャーのやきそばUFOと関東でメジャーのペヤングについての論争が…。RやM、Fくんらも参戦して石立鉄男とか志の輔、ピンクレディーとかCMに誰が出ていたとかも含めてカップ焼きそばについて盛り上がっている。最近関西のコンビニで見かけるペヤング。私も東京で初めて食べたが、シンプルでなかなか美味である。

その後、野里のK。合掌。M市議も。その後、北条の中播磨県民局、連合姫路地域協議会、安田の姫路市役所・市議会、手柄のM代議士事務所を順次訪問。意見交換、各種お願い、多くの方と懇談。「竹さん通信」も配布。

その後、事務所に戻り、県会行革特別委員会の質問事項チェック。夕食後も自宅で遅くまで作業。

  (未定稿)行革第二次プランの質疑スタート!!
08/20 (水)

kouji.gif 昨晩、行政機関等の連絡先を記した便利な資料などを届く。いろいろ話したのだが、相変らぬ問題もあるようだ…。

少し仮眠したのち、車で神戸の県庁。県議会行財政構造改革調査特別委員会。「新行革プラン第二次案」について質疑応答。総括的な質問や県民局の再編問題、公的施設などの問題は先輩議員が質問し、私は公営企業のうち企業庁を担当。今回は第三セクターが除外されるので、ごく限られた範囲である。

新行革プラン第二次案(全体ファイル)

県では「水道用水供給事業」として、不安定水源を持つ市町等に対し、県による水道用水供給事業を実施しているが、水道事業については、大阪府の水道用水供給事業、大阪市の水道事業の経営統合が報道されている。これは、以前から大阪府下の全自治体による一部事務組合が検討されていたところ、最近の報道では大阪市による事実上の吸収という話にもなってきているようである。県としては、統合のメリットはないと記載してあるが、大阪市のHPでは統合による総務部門の人員削減等のメリットが大きいとしている。市町など他の自治体と水道事業の統合等について具体的な検討の有無やそのメリットは考えられないかなどについて確認。県下の他の水道用水供給事業者及び水道事業者との統合については、施設の設置場所が離れている等の理由から施設統廃合等による経費軽減などの統合のメリットが期待できないため当面現状の事業体制・形態を維持するとの方針。

市町等からの県水再値下げ要望について。市町等からの県水の申込量が計画水量の50%程度であり、今後の水需要も増える見込みがない中で、市町等からの値下げ要望が依然として高いことを指摘。値下げ可能かどうか確認。設備費等に係る事業債の償還や更なる経営努力によって、「値下げは可能」との答弁も。

企業庁はこれまでの行革の取り組みの中で、企業庁の定員の見直しとして、平成11 年度:352 人→19 年度:215 人(△137 人△39%)が実施済みだが、今回さらに平成30年度末には30%削減(△65人→150人)するという目標が掲げられている。352人からすれば57%の人員削減となる。今回、電力事業の廃止[宍粟市波賀町引原ダム 原発電所]も提示されている。

議会でもよく取り上げられている播磨科学公園都市(たつの市、赤穂郡上郡町、佐用郡佐用町)などの「地域整備事業」だが、「既開発団地の分譲を促進するとともに、新規開発の抑制や人口減少等による土地需要の縮小傾向等に鑑み、新たな住宅・産業団地の開発には、原則として着手しない」方針も。人員57%カットや事業の削減等もみてみると、ソフトランディングではあるものの、これまで一定の役割を果たしてきた企業庁は、これからはその役割を縮小させていくという方針にはっきり転換したように思える。

委員会終了後、他会派の議員からも今日は大人しい。別の方からも、若いんだからもっと元気に、ななどといわれる。苦笑…。今日の質疑の中では、大阪府の橋本知事の行革が引き合いに出されていたが、「行革を住民に認識させる効果」以外は否定するような意見ばかり。間違っている部分もあるが、正しい部分もある。いいところは真似ればいいと思うのだが。昼食抜き。

終了後、姫路。明日の質問の調査など。

  (未定稿)塩漬け土地の金利負担300億円!!
08/21 (木)

acchi.gif 県庁。県議会行財政構造改革調査特別委員会。新行革プラン第2次案ついての質疑。県の外郭団体である公社等を中心に各会派の代表から質問や意見表明。私は先行取得用地、自主財源の確保(法定外税)、行革の推進体制等について質問するように指示を受けていた。土地開発公社が先行取得している土地や一部県が再取得している土地などを新たに環境林特別会計を設置して管理するという方針が出されているため、今回はこの問題に集中した。全国の土地開発公社のデータを比較すると本県は愛知県、大阪府とともに突出した土地保有となっているが、本県の議論を確認したところ、取り上げられた例こそあるものの、政治的でものはあったが、解決につながるようなものは見当たらなかった。今回の対策にあわせて一度県民負担額や責任の所在、議会の関与等をあわせて精査しておく必要があると判断した。

総務省 平成18年度土地開発公社事業実績調査(道府県土地開発公社)PDF

実際の質疑内容等については、後日公表される議事録をみて頂くとして、現在公社が保有する多くの未利用地を「10年以上」かけて新たな起債で買い戻す方針も明らかになった。金利の上昇リスクなど不確定要素もある中で、これからも本県財政の足かせになる問題であることがはっきりした。しかし、責任の所在という点で見ると、震災以降の財政悪化で買い戻し力が低下したというより、震災以前にこうした土地取得施策を進めたことに根本的な原因がある。公社による先行取得については、議会の議決が不要であるなど議会の責任は限定的である。先行取得用地が乱開発防止のための取得であり、一定の役割を果たしてきたという説明は、土地の内容とその取得金額、その後の金利負担を含めた費用対効果の測定を行って判断しなければならないが、言わずもがなである。当時の判断が正しかったとしても、結果として当初の計画が想定どおりいかなかったという結果責任が政治には発生する。塩漬け土地は300億円を超える金利負担を上積みし、未だその処理の目標年度すら見えない状況である。その間も金利は発生し続ける。今の世代として憤りを感じる。それを今の人同士で議論している…。

  (未定稿)驚くこと多し!
08/22 (金)

kocchi.gif 久方振りに朝から焼飯をつくる。美味。少し肩凝り。昨日の県議会行革特別委員会の質疑内容等が神戸新聞一面で取り上げられている。初めてというのが興味深い。

「塩漬け事業用地の金利負担324億 兵庫県 
 兵庫県は二十一日、事業用地として県土地開発公社などが先行取得した土地の金利負担などが三百二十四億円になっていることを明らかにした。同公社は五年以上未利用の“塩漬け用地”を全国有数の規模で抱えており、県が進める今後の買い戻しで財政負担が膨らむ要因となっている。
 県は新行革プランの第二次案で、これらの土地を買い戻すために特別会計を創設し「環境林」として管理する方針。対象の土地を二千九百四十一ヘクタール、購入額に金利や手数料を加えた県の買い戻し価格(簿価)は千九百七十七億円としていた。
 同日の県会行財政構造改革調査特別委員会での竹内英明県議(民主党・県民連合)の質問に、県は実際の購入価格が千六百五十三億円だったと回答。差額に当たる金利などが三百二十四億円になっていることが初めて明らかになった。
 塩漬け用地は、一九九〇年代前半に県の事業構想やゴルフ場などの乱開発抑制のために公社が先行取得したが、バブル期の高金利などが将来の県財政の圧迫要因になっている。(畑野士朗)」
神戸新聞8月22日一面

新聞掲載はやはり一定の反響がある。その後、事務所で来客対応など。昼食抜き。播但線、新快速で神戸。会派の議員団総会。打ち合わせなど。終了後、フィンランドの教育等に関する勉強会。 その後、姫路。駅南のまるかつ。市政関係者と懇談会。皆さん何でも本音で話してくれるのでありがたい。市政の状況についてもいろいろ教えて頂く。自分の仕事がどのぐらいの働きなのかという論点では面白い話もきかせてもらった。

その途中、県関係者の集まりに呼ばれ、行革に対して反発する声を多くの方から聞き、大いに驚く。若い方も怒気をはらんだ声を発していた。過去のツケを全て今以降の人たちが負うことになったのは事実。怒りもわかる。しかし、収支不足になっているのは、バランスを欠いているからである。本当に驚いた。

  (未定稿)創造書芸展。厳しい外食産業!!
08/23 (土)

kocchi.gif 自宅にて諸準備。直前まで忙しかったこともあり、大半の作業をRにやってもらう。感謝。その後、事務所。英語版名刺を今の立場等にあわせて作成。その後、増位本町の姫路サティ。小中同級生のMさんと遭遇。サティに来ると必ずといっていいほど知人に会う。歯ブラシなどを購入。

その後、本町のイーグレひめじ。第3回創造書芸展の展覧会。今年も書家の皆さんの素晴らしい作品とその教室の生徒さんの作品もあわせて展示されている。


写真左から兵庫県知事賞、県議会議長賞、姫路市長賞、姫路市教育委員会賞。筆圧のある立派な作品ばかり。



展覧会場の雰囲気。大人の部


私も僭越ながら他の来賓の書家の皆さんに交じり中島皓象賞の審査をさせて頂く。私のような素人には難しい。その後、播磨国総社長生殿。祝賀会。挨拶。懇談。

終了後、JR野里駅高架下のグるヌイユ。中学同級生のMくんが経営してきたのだが、今日を持って閉店する。大変残念である。


グるヌイユ店内の様子


Mくんと話をすると、経営者として調理油や食材などの原材料高に耐えられなくなったためという。大手チェーンとも競合する同店にとって価格への転嫁もままならず、苦渋の決断だったようだ。一時的に他の仕事をし、資金をためて再起を来すということなので、引き続き応援したい。関係者も多く来店し、名残惜しそうにMくんと話をしつつ、食事を楽しんでいた。外食産業。やはり厳しい世界である。

  (未定稿)フィンランドへ 福祉、教育等について勉強!
08/24 (日)

box.gif 神姫バスで関西空港。飛行機でフィンランドのヘルシンキ空港。所要約10時間。現地時間の19時ごろホテルへ到着。

その後、ヘルシンキ在住のHELSINKI SCHOOL OF ECONOMICSの客員研究員、H東北福祉大学総合福祉学部准教授、早大大学院博士課程のSさんと合流。軽く食事を取りつつ、フィンランドの教育(含む図書館)、福祉、移民・難民、ホームレス、共働き、対ロシア、兵役、民族性、自殺、生活、娯楽、ギャンブル施策などあらゆる疑問点についてまず教えて頂く。私も姫路市議会時代、フィンランドの教育やその図書館の利用などについて調査し、いい点を取り入れるべく本会議で取り上げたことがある。フィンランドは高い福祉水準で有名だが、教育でも世界の学力評価であるPISA調査で我が国を超える高い評価をとるなど世界が注目している。また、日本で高止まりしている自殺率に対する対策を打ち出し、実際に効果もあげるなど、我が国が学ぶべき点がいくつもある。


OECD諸国の国民1人あたりの名目GDPの順位(2006年)。これも日本より上位。資源が木材ぐらいのフィンランドだが、様々な面で日本より上を行っている。


今回の訪問はその現場を自分の目で見て、そして実際のところを知るためのものである。しかし、まずフィンランドで実際に暮らす研究者・生活者の目で見たものや実情を教えてもらったことで、新聞や雑誌等で報道されるものだけが全てではないこともわかった。大変勉強になった。

  (未定稿)フィンランドの学校を訪問!!
08/25 (月)

panda.gif ホテルからバスでヘルシンキからヴィヒティ市へ。ヴィヒティ市立KUOPPANUMMEN KOULUKESKUS(日本の小中学校にあたる基礎学校。1〜9年生。1年生は日本より1年遅い7歳で入学する)を訪問。ヴィヒティ市はヘルシンキの隣の隣にある首都圏郊外の市。人口24000人。この学校には基礎学校に入る前の1年間子供が通う「就学前施設」も併設されている。


KUOPPANUMMEN KOULUKESKUS


まず、同校でクラス担任をしているレバニエン先生と面談。レバニエン先生は女性で40代の国語教師。教師歴は15年。フィンランドでは修士課程を修了しなければ教師にはなれないためストレートで進んだ場合でも25歳ぐらいしか教師になれない。また、同先生はヴィヒティ市会議員もつとめている(現在1期目)。つまり、市議会は行政機関の職員とも兼業が認められている(ヨーロッパでは地方議員の兼業は珍しいことではない)。


教室前にはレバニエン先生の写真と担当する教科名「国語(フィンランド語)」が掲げられている


以下、レバニエン先生の話と訪問団のやりとり(竹内まとめ)。
現在、新学年が始まって2週目。フィンランドは8月中旬から新学年が始まり、5月末で学年が終るというシステムである。普通の日は日本の学校と同じように宿題があるが、2ヵ月半の夏の休みは新学年となるため宿題はない。登校日もない(一同驚く)。

(教師の体制・役割分担など)
基礎学校(小中学校)全体で教師は48人。うち男性は10人と少なめ。レバニエン先生によると、男性は出世欲のある人が多いため、女性に比べて教師を目指す比率が女性より低いのでは、という。校長1名、副校長3名。3名の副校長は小、中、特殊学級をそれぞれ担当している。他に教師の助手が51人。助手の多くは教師1人に1人つく。ただし、助手に教師の資格の必要はなく(持っている人もいる)、教師と助手は全く別の位置づけである。教師のうち17人は特殊学級(知的障害、自閉症、多動性障害ADHDなどの生徒)を担当している。

(生徒数・学級定員)
1〜9年生の全19クラス600名。1クラスの定員は現在、自治体に委ねられている。この学校の1クラスの人数は最大で28人だが、普通20人ぐらいである。語学や実習の授業などでは、2つに分けて少人数授業を行ったり、助手をつけてほしいとの要望を校長に出す。語学では1クラス20人では多すぎるのである。

(補習・留年)
カリキュラムを進める中で、取得しなければならない学力を満たさない生徒には、1週間に1時間の補習授業を行う。これは効果がある。(9年生で卒業できない場合、10年生に留年する場合もある。自主的に留年する場合もある。保護者を含め恥ずかしいという考えはない。)

(図書館)
学校内の図書館は教材関係などわずか。クラス全員で市立図書館に行く授業もあるという。各学校に図書館を整備するのは非効率。図書館には専門の司書もおり、限られた予算の中では効果的だという。

(保育園と就学前施設)
保育園(託児所)は市の福祉課が担当している。昨年まで就学前施設も福祉課が担当していたが、今年から就学前施設については、教育課が所管することになり、基礎学校を所管する教育課と一本化した。一本化の目的を政治・財政関係者はお金の節約といっているが、私はそう考えない。お金と関係なく、縦割りがなくなっていいことである。

レバニエン先生はヴィヒティ市議会議員としては、市議会生活安全・健康管理委員会に所属。市に精神衛生管理部門がないことは問題としている。現在、青少年問題が140%増にもなってきており、高校卒でも問題が増えてきている。基礎学校でもっと考えないといけないのにそうした予算が少なくなってきている。議員と教師を兼任しているのでこのあたりの問題に取り組みやすい。

(校舎建設費)
校舎建設は5年前。建設費は1800万ユーロ(約30億円。併設の就学前施設を含む)。鉄筋の建物だが中は多くの木材が使われている。


休み時間に校庭で遊ぶ子供たち。運動場は近くに別につくられているが、学校専用の施設ではない。これは効率化の観点である。


一通り説明等を受けた後、レバニエン先生の授業を見せて頂く。担任しているのは8年生(15歳)。文学の授業。プロジェクターを使いながら推理小説の内容を理解させ、犯人が誰かを生徒に発表させるというもの。犯人の名前だけでなく、そう思った理由も合わせて発表しなけれぱならないという。
 生徒は教室内では皆靴を脱いで靴下が大半である。上履きを履いてもいいそうだ。


レバニエン先生の授業風景



教室前の荷物置き場。自転車通学の子供のヘルメットや上着、靴などが置かれている


その後、授業が行われている校舎内を案内して頂く。教室や音楽室、物理、生物の実験室をはじめ、特殊学級などほぼ全ての学校施設を案内して頂く(一部写真制限あり)。今回は日本からの教育視察だが、「学校の日」に保護者や外部との交流もあるようで、学校の訪問客は珍しいことではないようだ。


家庭科(調理実習)の授業



音楽室



3年生の技術(ミシン)の授業



紙型の上に示された線に沿ってミシンを走らせている。上手である。



技術(木工)の授業風景。20人と少人数のクラスなのに、技術の時間になると半数はミシン、半数は木工と分割する。細かいところまで目が届く。



海で採集してきた生物を観察する授業をしていたN先生。「おはようございます」と。フィンランドと福井県の教員相互交流があり、福井で英語を教えた経験があるという。日本とフィンランドの教育の違いをたずねると、まず少人数学級。あと日本の子供はフィンランドの子供に比べて先生に突っ込んで質問してこないという。



この学校では最大人数(28人)のクラスの授業



本やパソコン、ソファスペースなどがある子供の屋内遊び場。子供がリラックスできる効果があるという。



リビングと呼ばれている職員室。職員がリラックスするスペースという。日本の職員室とは雰囲気が全く違う。


その後、食堂へ。教室でなく食堂で全員で食べる方式。自校調理でつくりたてである。全て無料。


給食をとるために並んでいる生徒たち。



私も行列に並んでいただくことにします。



この学校では好きな食べ物を好きなだけ自由に入れることができます(おかわりも自由)。学校によっては給食の担当者から個別に入れてもらう方式もあるといいます。



東洋から来た外国人の大人がいても、ほとんど動じません。手を振ったりして愛想よく笑ってくれるものの非常に落ち着いています。緊張ではありません。日本なら相当騒いでいるでしょう。



給食内容は、牛乳、野菜サラダ、ポテトとベーコンのグラタン、ライ麦入りの薄いパン



大食堂の雰囲気もすごく落ち着いています。



フィンランドのしつけでは、「食べ物はいくらとってもいいが、残してはいけない」というのが一般的らしいです。大柄や大食いの人はたくさんとるというのが平等で、日本の小学校給食のように体格が違っても、おかずの量がほぼ決まっているというのはこちらでは平等ではないということです。文化の違いですね。


その後、教室に戻り、現場見学を受けて、レバニエン先生と質疑応答。時間をとっていただき、丁寧に答えていただきました(ただし日本でも導入されつつありますが、視察受け入れは無料ではありません。念のため)。


質疑応答の模様。熱心なやりとりが繰り広げられました。



(教育の方針)
Q.PISA評価など世界的に非常に高い評価を受けているフィンランドの教育だが、どんな考えで教育に臨んでいるのか?
A.教育は国(文部省)の指針で基本的な方針が定められ、市町村がそれに追加して具体的な教育方針を決めることになっている。ヴィヒティ市の基礎学校の教育方針は、(高レベルの教育をしようという考えではなく)『未然に防ぐ』ということである。「予防する」「孤立を防ぐ」「落ちこぼれを防ぐ」「多動児の悪化を防ぐ」などとも言える。例を挙げると、以前、学校で孤立していた子供が(凶悪な)大事件を起こした。自治体にとって、そうした事件が起きるとお金やコストが発生することになる。その将来負担を減らすために教育があるということである。

ビィヒティ市のホームページ参照。学校の方針の参照や各種申し込みが可能。

Q.フィンランドの教育の質が高い理由は何だと思われるか?
A.子供は1人1人違う。それにあわせて教え方もいろいろである。教育の計画を立てる時にそれを考える。子供が困っているときに、なるべく早く気づくこと。そしてその対策の計画を立てる。教室や図書館、環境など全て使うことを考える。最近では何人かで1つのことに取り組ませるグループワークを活用することが多い。

(校長)
Q.校長の権限や身分はどうなっているか?
A.自治体により違うが、本市の場合、教員出身で立候補制である。それを市教育当局が選考の上、市長が任命する。校長も自治体の職員である。本市の場合、1年以内の臨時職員の任用は校長に権限がある。また校長には予算を使い切る義務があり、現場の教師よりも、予算を使ったり学校を運営していくマネージメント能力が問われる。現在の本校の校長は男性。子供育成の専門家だが、事務能力が高く、チームを作って対応するのがうまい。先日入学式があったばかりだが、校長は一人で、どんな生徒がどこからくるかを学校の門の前に立ってずっと見ていた。本校の場合、学校の規模が大きく、校長の仕事は大変だと思う。ただ職員組合だけでなく、校長組合もあり、横のつながりもある。

(予算)
Q.私は教員の給与を負担している県という自治体からやってきたが、県予算の4分の1は教育予算である。市の教育予算はどうなっているか?
A.市議をしているのに金額がわからなくて恐縮だが、教育予算の比率は、社会福祉につぐ第2位の比率である。

(進学・進路相談)
Q.進学等について教えてほしい。
A.本市には高校が1つある。進路相談は教師の仕事ではなく、別の相談員が担当している。責任もない。進学実績は教師が評価される対象でもない。(普通高校の場合)進路相談員、(職業学校の場合)職業相談員、心理士などが担当している。生徒は進学先を第一志望から第五希望まで5つ書く。入学試験はないが、高校側が、求める基礎学校の成績(平均評定)の条件を出しているので、その条件に合う高校を生徒が選択する。住んでいる自治体だけでなく、全国の高校に進学することもできる。その場合、住んでいる自治体がその自治体外の高校に対して学費を払うことになっている。

(健康管理)
Q.日本で私の妻は保健室を担当する教師をしている。近年保健室に来る生徒が増えている。この学校では保健の担当は何人いるのか?
A.小中あわせて1人である。

(参考)フィンランドでは国連でも高く評価されている母子相談システムがある。これは高校までの子供の健康を国が管理しており、データは学校に全て揃っている。そのデータにあわせて学校でも生徒の健康管理に対応している。

(体罰・規則)
Q.暴力や非行、問題行動を起こす生徒対策は?
A.日本からは教師が視察に来ることもあり、答えると驚かれるのだが、日本とフィンランドでは非行の定義そのものが全く違う。例えば、フィンランドでは男女の交際については全くの自由であり、日本のような不純異性交遊といった話は全くない。非行という話なら、私のクラスでも先週授業を抜け出して昼に美容院に行き、パーマをあてていた生徒がいた。呼び出して直接指導を行った。学校の規則を守るのは当然で、守れない生徒については処分もある。

Q.どういった処分なのか?
A.例えば、給食の食器洗いや片付け、清掃をさせる罰がある。また、悪質なものについては1週間の休学処分などもある。(その後、給食時に実際に給食室の後片付けをしている生徒を発見)

Q.日本では体罰が禁止されているが、フィンランドでは体罰はあるのか?
A.暴力は法律で禁止されている。体罰をすれば、教師が刑務所に行くことになるでしょう。

(特殊学級の教育)
Q.日本では特殊学級の教育の充実が求められている。フィンランドではどうなっているか?
A.特殊学級[知的障害、自閉症、多動性障害ADHDなどの生徒]を校舎の端に追いやるのではなく、他の生徒となるべく同じように教育ができるようにしている。中程度の障害児クラスでは、生徒は5人に対して、教師1人、助手4人で担当している。また、多動児の教育も(教師を多く配置する必要があり)コストがかるものである。教育によって普通学級に戻れるようにしたり、悪化を防ぐようにしている。多動性障害は増加傾向にある。保育園(託児所)や就学前施設(学校に入る前の1年間集団生活に慣れさせるための施設。非義務教育)から基礎学校へ送られてくる生徒の健康データから把握できるが、学校でも多動性について再度判定するようにしている。


(保護者・モンスターペアレント問題)
Q.保護者との連絡等はどうなっているか?
A.文部省の規定でも保護者との連絡は教師の義務とされている。保護者向けの授業参観や生徒のことについて学校で個々面談することもある。ただ、最近は個々面談にかわってインターネットを利用してメールなどでやりとりすることも多くなってきた。生徒が学校を欠席する場合に、保護者は学校に連絡する義務がある。今ではインターネットで連絡をするようになっている。

参考−フィンランドは韓国と並び高速インターネット回線の普及率が世界的で最も高いレベルにある。

Q.日本ではモンスターペアレントが問題になっているが、フィンランドではそのような問題はないか?
A.あまり大きな問題ではないが、文部省に直接メールしたり、学校にこういう問題があるなどと新聞に投稿したりする保護者もたまにいる。私は、学校の責任は何なのかということを常に考えており、こうした保護者の問題行動については、親に(よくないと)教えないといけない。一般的には、入学すぐの1〜2年生の保護者は教育に非常に熱心だが、学年があがるにつけ、次第に興味が少なくなっていく(笑)。

Q.日本では子供のしつけや社会常識を教えるのも学校という話が出ている。こちらではどうなっているか?
A.私が教師になって15年。社会は変化しているものの、子供のしつけは家庭に責任があり、学校はその補助をするところである。そのため、学校の敷地外で子供が万引きをしたとしても、学校にその連絡は来るが、学校に責任はないし関係もない。ただ、最近学校の役割が増えてきている感じはする。

(放課後)
Q.フィンランドでは共働き率が非常に高いが、子供たちが学校から家に帰ると家に誰もいないのではないか?
A.学校の放課後は様々なクラブ活動がある(教師ではない別の指導者がいる)。1〜2年生の場合、学校側が放課後の面倒を見る義務がある。3年生以上は、家に帰る子供も多い。私の子供も3年生だが、家でしっかり留守番をしてくれており、宿題をすませていれば遊んでいてもいい(笑)。

(学校・通学路の安全)
Q.日本では刃物を持って学校に侵入し、殺人事件をおこしたり、通学途中に連れ去られて殺される事件も少なからず起こっており、不審者対策に頭を痛めている。当校の場合、教室や建物のドアの開閉にセキュリティがかかっているものの、外部からの進入はフェンスも低いし、そんなに難しくない感じである。そのあたりの状況についてはどうか。
A.フィンランドでは、学校に防犯カメラを設置している。また、学校内には大人が多くいるので、不審者の侵入に気づく。先日、他の学校の生徒が本校内に紛れ込んでいたのにもすぐ気づいた。ただ、数年前にある高校で女性校長が銃で射殺されるという事件が起きた。その際に、国内で安全対策に関する議論がおこり、ガードマンの配置も検討されたが、議論の結果、まだその必要はないという結論になった。

Q.日本では通学・下校途中に暴漢に襲われるなどの事件が続出したことから、通学路の”見守り隊”として地域住民の方に協力してもらったりしている。フィンランドではどうか?
A.子供は徒歩のほか、自転車・バス・タクシーなどの交通機関で通学している。通学時間も自分のクラスの時間割、曜日によって8、9、10時など様々であるが(毎日同じ人と集団登校できる環境にない)、ここではそのような事件がない。そのようなものは要らないし考えられない。

(地域とのつながり)
Q.学校と地域とのつながりはどうなっているか?
A.(はじめはこの質問の意味が理解してもらえなかった。日本の自治会組織などとの関係を聞いたものと推測される)
先ごろ、この町が誕生500年で祭りをやったのだが、1年間この町をテーマに授業を行った。音楽の授業で老人ホームの慰問をしたり、有名人の生誕記念の時に出向いて演奏をしたりする。


そろそろ午後の授業がスタートする時間に



レバニエン先生は今年秋に予定されている2回目の市議会議員選挙に再出馬の予定。我々との写真も選挙に使うと言って笑っていました。教師は人気、倍率ともに非常に高く、国民から尊敬される職業だそうです。


(参考)フィンランドの永住市民権を持つ現地通訳Mさんの話。
(PISA)PISAの好成績以降、世界各国から視察団が来るが、現場の教師は高得点の理由を問われて「わかりません」と答える場合も多い。他国のことを知らず、普通のことをやっているだけと思っているのである。(高校)高校にクラスはなく、単位制である。級友がいないので悩みを抱える生徒がいても先生はわからない。少し前に高校で銃発砲事件があり世間を驚かせた。高校までの学校は市町村立。大学は国立。給食は小中では義務で全てあるが、高校はあるところとないところがある。(通学費)通学費負担も自治体の義務。乗り合いタクシーで通う生徒もいるが、これも自治体負担である。(私立学校)自治体が整備すべき教育環境を私立が代わりに行っているという考えがあるため、私立学校の授業料も基本的には自治体が持つ。しかし、財政難やカリキュラムの問題もあるので、生徒の自己負担がある場合もある。自治体によって違う。(塾)日本から教師が視察に来て、フィンランドの教師に質問することの中で、塾についての話も多い。するとフィンランドの教師は「なぜ塾が必要なのか」と逆に驚くのである。「学校で教えたこと以上の内容を大学が入学試験で出すのなら、その大学は間違っている」とはっきりいう。学期は8月中旬に学年スタート、5月末学年終了である。この夏休みは宿題もないし、登校日もない。教師も登校しないし、別荘に長期休暇したり、別にアルバイトする人もいる。教師のアルバイトは禁止されていない。定年は65歳である。その後、年金が支給される。年金は現役時代の50〜70%の収入になる。他の職業も同じだが、軍人は50歳ほどで定年となる。


その後、フィンランドにおける職業教育施策と現地調査のため、AMUEDU(アミエドゥー。成人向け職業教育センター)。


ヘルプネン活動部長から説明を受けた後、質疑応答。以下そのやりとりをまとめたもの(文責:竹内)。


アミエドゥーは政府の労働力政策の一環として設立されている成人用職業学校。フィンランドではでは就学前教育1年。その後、9年生までが義務教育。その後、普通高校または職業学校に行くことができる。その後、大学または職業大学へも進むことができる。ここアミエドゥーは職業高校を卒業または既卒業者(就職者)、無職者向けの講習を行っている。講習を修了すると職業についての免状がもらえる。この免状で職業についてもいいし、職業大学にも行ける。

講習は1日2日と非常に短い講習もあれば、何年もかかるものもある。この国では、卒業資格だけでなく実地試験を受けて免状をとっておくと職業に就きやすい。職業学校を出れば基礎免状がもらえる。しかし、例えば溶接の職業についていたとしても、この学校で余計に「特殊」溶接などの別の免状がとれる。この免状で係長などの管理職掌につけることにも可能になる。フィンランドでは350の資格がある。実地試験は、実際に働いている人の前で、試験官が問題を出す。試験は実際の職場で行われるので採用にもつながりやすい。

この組織は30年以上活動している。成人職業学校としてはフィンランド最大である。ここの年間予算2500万ユーロ(42億円)。基金を設立したのはヘルシンキ市など4市。4つのキャンパスにわかれている。100メートルほどの近くに2つ、もう一つは東ヘルシンキにある。去年の例では、生徒数は18000人。ここで講習を受けられる職種は約80。特殊な免状も発行できる。火をつかうとか特殊なものもある。講師(職員)は350人。あとは各業界の現場からスペシャリストを呼ぶ。

学費を全額文部省がみる受講者は全体の31%。また、実際に仕事についている人で、4日現場で働き、1日はここで勉強する(技術がまだ未熟な)人も文部省が費用を見る(24%)。5%は職場が全額負担している人である。ほか37%は労働力政策に基づいて勉強している人、つまり、ほとんどが無職・失業者である。このうち67%がフィンランド人、33%が難民である。難民のための教育としてフィンランド語、風習等も教える。他に職場を変えるための再教育もある。レジ係りで金属アレルギーであるとお金がさわれないので職業を変える必要があるなどである。企業側がスキルを向上させるための講習もある。この場合、費用は国が半分、企業が半分をもつ。


看護・福祉講習の現場を見学させて頂く


ここは大人の学校で、最低でも職業学校の卒業者である。ここで勉強すれば必ず就職できるということが目標である。経営教育もある。職業教育の世界は競争が激しい状況にある。つまり、文部省、労働省からお金をもらっているが、経営の違う他の学校と競争してもらってくるお金なのである。場合によっては、他の学校との差別化を図らないといけない場合もある。得意分野としては、経営学。企業の要望に応じて、相談に乗る。また、教育内容として、計画から実行、製品を作るというところまで一貫して教育しているのも特徴。教育の方法として、講師陣がその人にあった教え方をする。お客さんに提供するサービスは教育。その内容は、費用をどこから調達するかまで相談に乗る。連絡も密。大得意先にはセールスマンとして一人担当させている。

講習内容は、福祉、栄養学、清掃、商業(売場、現場主任、雇用技術)、経営学(独立者向けも)、情報伝達(コンピューター、配線技術)、企業安全職員(ガードマン、秘密漏洩防止専門員)、不動産関係職種(建物の設計、メンテナンスも含む)、電気工事関係など。

この学校の場合、首都圏で必要とされる職種や人数しか講習を実施しないし、試験は現場で採用側も一緒に試験をするので(職業高校は実際の現場で試験はしない)、就職率は結果的に高くなるということである。

この国は充実した雇用保険制度と合わせて、再就職の斡旋でも本当に手厚いと思う。これは日本の租税負担では真似できないレベルである。


フィンランドの国会議事堂。第2代国会議長の銅像


その後、在フィンランド大使館の参事官、一等書記官と合流。フィンランドと日本の関係や実情などを伺う。

  (未定稿)フィンランド自殺予防対策について
08/26 (火)

panda.gif フィンランドの永住市民権を持つ日本人通訳Mさんと終日同行。様々な話を聞かせてもらう(以下、昨日の大使館職員から情報とあわせて引用多数。他のHP等にはあまり見られない情報などを記載)。

まずバスでヘルシンキ市内のウォーターフロント地区へ。半そで歩いている人は1人もいない。上着を必ず来ている。ソ連のフルシチョフ、イギリスのサッチャー、アメリカのキッシンジャーも来たというテント朝市で朝食。その後、ヘルシンキ市庁舎を訪問。フィンランドやヨーロッパ諸国では基本的に市庁舎と市役所は違うようで、ここには市長室と市議会がある。市役所は別にあり、行政担当部局が入っている。


朝ごはんはピロシキ1個



ヘルシンキ市庁舎の隣はフィンランド大統領府


元老院広場を歩いていると、ロシアのアレクサンドル1世の銅像を発見。ソ連と戦争をして敗れ、多額の賠償金を支払ったフィンランドで、なぜロシア皇帝の銅像が倒されることもなく昔のまま中心地に立っているのか疑問に思い聞いてみると、1300年頃からスウェーデンの支配下にあったフィンランドが1809年にロシアに割譲された時に、初めて自治を認めてくれた人物が銅像のロシア皇帝アレクサンドル1世という。その後のロシア統治時代の中でもロシア最後の皇帝として知られるニコライ2世についてはロシア化政策や圧政を行ったため、フィンランドが独立した時(ロシア革命時)にニコライ2世に関係するものは破壊されたという。直接戦争したソ連は当然ながら嫌われたそうだ。そのほか超大国と直接国境を接する小国の苦労もきかせてもらう。Mさんはこの国は政治家が立派だからロシアに併合されずに独立を保っていると考えているようだ。

資源は木だけのフィンランド。世界的大企業は携帯電話のノキアぐらい。自動車会社もない。一方で国民1人当たりのGDPが日本より高い。Mさんは、今から35年ほど前、1ドル360円の固定レート時代、サラリーマンの初任給が27000円の時代に、飛行機の機体洗いのアルバイトで貯めた40000円をもって外国に出た。東京オリンピックが終って少ししたころで日本も力をつけてきていたとはいえ、ヨーロッパをまわると日本はまだ貧乏な弱小国だった。そのうち所持金がつき、働いたが、いつのまにかフィンランドに住むようになった。フィンランドでは永住市民権を持つのは難しいことではなく、地方議会、国会には立候補・投票もできる(ただし大統領には立候補できない)。選挙カーを使った選挙運動などはないものの、キャンピングカーに垂れ幕を掲げ、街頭で対話集会を開いている候補を見たことがあるという。今、日本からバックパッカーも来ているが、身なりは別にしても、お金をもっていて裕福である。

(日本との関係)
1952年にヘルシンキ五輪が開かれた。対ソ連敗戦国にもかかわらず、戦後2回目の開催だった。日本から古橋広之進が来た。那覇から香港、タイ、○○、ストックホルムなどを乗り継いできたといわれている。短波放送で日本でも放送された。

現在、日本企業の進出はわずか。ノキアに部品を納入している企業やハウスメーカーなど。寿司屋も7軒あるが、日本人経営は1つ。外国人スリ、特に先日9人のルーマニア人窃盗団が逮捕されたが、日本人を専門に狙っていたことが判明。日本で活動していた体操のコーチもその1人だったという。日本人観光客の現金所有額は他の外国人観光客に比べて相当高いようだ。カードが普及しているとはいえ日本はまだまだ現金主義の国なのである。ルーマニアだけでなく、ブルガリアからも物乞いやスリがきているようだが、旧東欧諸国がEUに加盟し、パスポートなしで入国できるようになってからだという。

最近は「かもめ食堂」という日本映画の影響で日本人女性の観光客が増えているという。ロケ地だった「かもめ食堂」を何度も訪れる30代女性を見かけることも多く、現地の日本人としては奇異に感じるほどだという。この映画の影響か、フィンランド人男性との結婚に憧れて来る女性も多く、実際にフィンランド在住邦人1056名のうち、男性は450名、女性は606名と女性のほうが多くなっている(昨日の在フィンランド大使館提供資料2007年10月現在。同資料には「邦人女性がフィンランド人男性と婚姻をし、当国の永住権を取得するケースが急増している」と記載されている)。大いに驚く。

フィンランドでは、現在2期目の女性大統領のほか、内閣を構成する20大臣のうち12人が女性(選挙は比例代表制)。世界一女性の社会進出が進んでいる国であろう。一方で男性には徴兵制がある。7割の女性働いているおり、共働き率も世界一。日本人妻が増えているが、働かない人は駄目。インターネットで知り合い、少しお互いを知っただけで、ほとんど何も知らないまま結婚する例があり、こちらに来て労働に対する概念に驚き、(家庭に入りたい、言葉がわからないので働けないなどの理由で)離婚になる例もあるという。

フィンランドでは乳母車を押して市バス・市電に乗ると無料(ただし地下鉄は有料)。医療費は基本的に生体間移植(アメリカなどでは億単位でかかることもある)も含めて全て無料。ただし日本のような風邪での通院はあり得ない。また延命治療は行われない。

(平等の概念)
平等の概念では、罰金も所得比例である。例えばスピード違反でIT企業の高額所得者が罰金800万円(後ほど異議を申し立て300万円に減)。フィンランドでも国鉄が民営化された。鉄道会社は他の交通機関であるバスと競合しているが、「バス会社は道路を整備する義務がない」のに鉄道会社が線路を整備するのは公平ではないという考えがあり、線路整備・管理は別会社がつくられ、結果として旧国鉄会社のほかにスウェーデン やフランスの鉄道会社が鉄道に新規参入に名乗りを上げているそうだ。平等についての考えが面白い。

(行政・産業)
フィンランドには県のような中間的な行政はない。国土の7割が森林でパルプ産業とタール(防腐剤)輸出、造船業が盛んだった。造船は韓国企業に買収されるかもしれない。高速道路は無料。車は日本車もあるが価格は倍ぐらいする。国税、地方税の所得税あわせて30%ほど負担。国保や健保は別。最近は減税傾向にある。貧富の差は少し拡大する方向にあるということ。

(街づくり・熱供給など)
ヘルシンキ市の市有地は自然体の7%ほど。現在も郊外の土地取得を進めるなどその拡大を図っている。都市計画がやりやすいというメリットがある。ヘルシンキはネオン禁止条例がある。
冬は寒いが、熱供給の中心は市内の地下給湯網である。市内に火力発熱施設が3箇所あり、ここで水を温め、各家庭に配水している。途中温度低下がある箇所では再加熱ブースターがある。地震はない。


昼食後、NATIONAL PUBULIC HEALTH INSTITUTE(フィンランド国立公衆衛生研究所)へ。フィンランドにおける自殺防止施策の調査。


国立公衆衛生研究所


まず国立公衆衛生研究所のパルタネン医師から説明を受ける。

この研究所は精神衛生、アルコール中毒、伝染病の研究所として1986年に設立されたもので、その中でも一番の研究課題は自殺の防止であった。研究の結果、数年たって問題解決方法を示した自殺防止プログラムがフィンランドの自治体に適用された。どのように成果をあげたかは後で示す。その後、次第に研究範囲が広がり、今では精神衛生をかなり広い範囲で調べている。精神衛生上の問題と行動科学、自殺の防止についてである。

2005年のフィンランド人の死因調査では、1位が心臓疾患で41%、ガンが23%と続くが、5番目として精神疾患を原因とする自殺(6%)がある。精神疾患は、落ち込み(ディプレッション)、躁うつ、アルコール依存に区分できる。躁うつはフィンランド人には少ない。フィン人の遺伝子には西洋人と比べても躁うつ病を引き起こす遺伝子が少ない。アルコール依存が原因の精神疾患は男性6.5%、女1.4%と男性に多くなっている。仕事を失う2番目の理由も精神疾患による退職である。自殺と精神疾患はつながっている。(これをそのままにしておくと)コストが高くつくことになる。疾患で病院にいくにしても仕事を休むなどのロスを生む。推計では本来得られる2542百万ユーロが病気で失われているとも言われる。これは国民総生産の26%もの金額である。

私は今、環境が精神衛生にどのような影響を与えるかを研究しているが、フィンランドと日本が違うのは夏に日光が沈まないことである。それと自殺の関係はどうなのか。また、個人個人の運動量や何を食べているか、遺伝が関係しているか。更に自殺はどの季節におこるのかとか、人間の体内時計との関係どについてである。体内時計は外界の光、運動量、食事が大きく影響を与えることがわかってきた。

体内時計が狂う時の研究も進んでいる。時差ぼけ、季節落ち込み(フィン人は冬真っ暗になると落ち込む)、シフト勤務、夜間勤務が体内時計に悪い影響を与えている。フィンにはこれらの悪い環境が多い。これは重要な問題である。現在判明した体内時計の原理は、神経のかたまりとして動く。目から入る光が時計を動かしているのだが、フィンの冬は太陽が低く、夏は逆に沈まない。これが神経に登録される。また、体内時計は昼と夜、寝る時間、新陳代謝、細胞分裂を判断するが、睡眠により時計が正常な状態を保っているが、睡眠が狂うと時計も狂ってしまう。睡眠障害は最初の悪い(自殺の)原因である。「落ち込み」は不眠から起こるということもできる。落ち込んだ人の時計は狂っている。自殺をした人の時計も狂っている。そういう仮説が立てられる。


自殺率の推移グラフ(15歳以上)。青色(上)が男性、赤色(下)が女性。緑色(中央)が全体。


自殺率の推移についてはフィンランドは1921年から統計がある。戦後を見ると1950年ごろから女性の自殺率が増加している。その後、なぜか女性の自殺率はほぼ同じである。男性は70年代から増加し、その後、90年代で更に多くなった。90年代中ごろから落ちている。全体では1990年が最悪の自殺率である。1992年以降が自殺対策プログラムを適用させ、各自治体が自殺対策を含めた健康管理をするようになった時期である。

1970年代の自殺率の増加が注目され、政府が自殺について研究しろと命令したのが当研究所が設立された発端だが、設立後の86、87年の自殺者の背景を調べて分析した。自殺をした人の年代、生年月日を調べると1940〜49生まれの45歳ごろが一番多かった。1950〜60年代生まれは少なかった。育った社会背景が異なっていることが影響しているのかもしれないという研究結果も出た。自殺は、生年月日や年齢、社会的地位も関係があるという研究結果もあった。しかし全体では「落ち込み」から自殺しているということであった。また、自殺には様々な種類があるということもわかった。


自殺率を地域ごとに色分けしたフィンランド地図(1979〜2001)。左が女性、右が男性。色が濃い地域が自殺率が高い地域


フィンランドで男性の自殺率が高いのが北部のラプランド地方(過疎地)。一方、女性は首都圏で高い。分析すると、ラプランド地方は過疎化が進んでおり、男性が一人ぼっちになることが多い。一方、女性は結婚などで北部から首都圏や南地域に移動することがある。女性は環境の変化に弱いのではないかという仮説が立てられる。

自殺する季節についても調べたが、一年間の中で、春に多いのは共通している。男性の20年間のデータを調べると、4月の終わりから6月のはじめにかけてが一番多い。確定していないが、最も落ち込むのがその時期だと考えられる。落ち込み傾向のある人は、春や初夏に特に自殺に結びつくことがあるということである。周りの人が気をつけないといけない。日の沈まない時期(夏)に近づいた頃だが、その光が体内時計に与える影響が大きいかもしれない。(年によって)増減があるので、体内時計だけの影響ではないということもわかる。他にも原因があるということである。

国際的な自殺対策研究もある。自殺前にどんな防止のための行動ができるか。自殺を実行するまで、どのような動きがあるかを研究している。
自殺を考える人がいるとする。その背景は何か。原因は何であるか? 特に女性は何か人生の事故や原因があって落ち込み、精神的に病気になる。これが一番危険。これが自殺を考えるのである。自殺を考えるだけなら危険はないが、実行が駄目である。一つは発作的にやる人。あとは希望にもてない人(よくならないと考える人)。例えば、家庭の中でうまくいきそうにない、失業してお金がない、同僚とうまくいってない、将来も駄目。こういう人に対しては医者は会話をしたり、薬品を与えて治療しなければならない。

また、自殺に結びつく危険なものがないか。アジアの場合なら、(自殺で利用される)ねずみを殺す農薬などを入手困難にするなどの対策がとれる。それで減った。西側諸国なら(自殺で利用される)都市ガスの毒性を少なくした。(自殺で利用される銃などの)武器の入手を困難にするのも大切である。ただし、フィンは男性の銃による自殺が多いが、銃所持は一定の規制があるものの合法であり、全ての危険取り去るのは無理である。ナイフがなければ料理ができない。(首をつる)縄も社会からなくすのは無理である。危険物を除く対策は限度がある。その上の段階として自殺を考えない社会をつくらないといけない。

あとはマスコミの影響も大きい。テレビ、ラジオ、新聞で自殺の記事を制限する。自殺は(必ず)変死だから、死因の調査が行われるが、(理由は書かず)自殺したとしか書かない。体に欠陥があった(病気を苦にして?)とかの理由は一切報道しないようにしている。マネをして自殺する例もあるのでなるべく報道を控えるということである。

他には、研究の結果、大きな病気に襲われ、入院・治療し、退院後1ヶ月以内に自殺する例が非常に多い。退院後の通院治療のときは注意しないといけない。通院治療の場合、通院しなくなったり、治療を拒否した場合が危険である。医者・看護師がこれからよくなるという風に患者を励ますのも大事。落ち込みの場合は、薬を投与することで自殺の実行を減らすことができる。分裂症の場合も薬が自殺を減らしている。リティウムという薬が日光の体内時計の狂いを調整する。


フィンランド人男姓の自殺率の推移(青線)と1人あたりのアルコール摂取量(赤点線)の比較グラフ


アルコールと自殺の関係だが、フィンランド人男姓は純アルコールで年間6リットル摂取する。EU統合でアルコールも輸出入が自由化され、摂取量(赤点線)は増えた。一方で自殺率(青線)は落ちている。落ちているのはプログラムが実行された時期である。自殺とアルコールとの関係は明確でなく、個人差があるのではないかと思う。アルコールよりも「落ち込み」が非常に悪いということがはっきりした。

以上のようなことを調査した結果作られた「フィンランドの自殺防止プログラム」には7つの対策がある。
@「自殺未遂があったら、その人に注目する」ということである。1回自殺をすれば2回するだろうと予想できる。A精神治療(歴)に注目するということである。B落ち込みの状態にあるかどうか。もしそうならば精神治療を強化する必要がある。Cどのくらい酒を飲むかにも注目する。酒に逃げ込んでも問題解決にならないからである。D身体的欠陥が引き起こす場合、つまり病気(を悲観する)の場合である。同時に精神衛生にも配慮する必要がある。E大きな事故があり、配偶者が死ぬとする。そうした場合、精神衛生上の補助を与えなければならない。家族、親戚、近所の人も大切。一人暮らしの場合お医者さんも大切である。このように人生で大きなショックが自殺の原因となる場合である。これは女性に多い。F他には、危険なグループとして若い男性があげられる。社会から除外されたような男性で、落ち込んで自殺する例がある。何か袋小路に入り込み、自信がなくなり自殺するのである。その場合、自信を呼び覚ますような助言が必要である。そうして社会に引き入れる。長い時間で見ると、子供の成長をよく見守る、社会の雰囲気をよくすることも大切だ。その人に罪を感じさせる、自らに駄目の烙印を押させる、その人を責めるのは駄目である。フィンランドの古いことわざに「ムチでなく、にんじんをぶらさげよ」というものがある。個人に自信を与え、活きる喜び、上に上がる努力をさせてみることが大事である。

最新の自殺率のデータでは最悪の時から40%減少し、ようやく世界平均まで自殺率が落ちたというところである。ただし、新プログラムは男性には効いたが、女性には効いていないというデータもある。更なる研究と対策が必要である。


メモに書いてテキストに入力するのは二度手間になるため、ここからパソコンを持ち込みました


次に質疑応答。
(プログラム・医師関連)
Q.何が一番効果を挙げたのか。
A.まず一番努力したのは、落ち込んでいる男性をうまく探し出したことである。医師も関係者も努力した。フィンランドの場合、法律で健康管理は自治体の責任と規定されている。市民は体調が悪いとまず(自治体立の)医療センターに行くことになっているのだが、そこで医師が注意を払うのである。

Q.(医師は)自殺のサインをだしている人をどのようにキャッチするのか?
A.(自治体立の)医療センターにくる患者の話をきき、その人の背景をみる。何かに注目する。強い頭痛、原因不明の腹痛、下痢などの患者がいると、(肉体的な原因解明だけでなく)「落ち込み」が原因ではないかとまず注目するようにしたのである。

Q.精神科の医師ではないのか?
A.男性の場合、落ち込んでいるといって精神科医のところに来る例は少ないのが現実である。フィンランドの医師は専門以外の科目の教育も受けているので、精神科のように話を聞き出すのは得意。もし、「たまに自殺を考える」などと患者の声をうまく聞き出すと、3日後にその患者に電話をして「もう一度病院に来て下さい」などと連絡する。会社の健康診断でも医師の側から話をきいてあげるという姿勢。聞きだすことが大事。もちろん、はじめから「落ち込み」や精神疾患で通院してきた場合も重要である。

また、(大人だけでなく)若者の自殺対策としては小中高校生のための電話相談室が設置されている。親に言えない悩みなどもここでは話せる子供がいる。スタッフは教育を受けた専門家で話をきく技術がある。また、インターネットのチャットで自殺に関することを書き込むようなことにも注意している。

Q.精神科医の割合は? 若い医師は精神科を希望するのか?
A.市町村の健康センターにはほぼ全科の医師が揃っている。普通は無料。開業医はあまりない。私は患者をみていない研究者である。日本のことを知らないが、フィンランドは医者の比率が多いかもしれない。全国で約15000人の医師がいる。精神科医は1000人強ぐらいでは。全体では医師不足という状況ではなく、少し足りない程度である。ただし外科医であろうが内科医であろうが、精神科の勉強もしているので、話を聞くのは上手い。医師不足が起こったら(私のような)研究医師も現場にでるだろう。

Q.日本には産業医制度がある。こちらではどうか?
A.職場健康管理者というものの設置が義務付けられている。企業が個人医と契約する。従業員の定期診断もする。一度ではない。これは公共の医療機関とは契約できない。住民は市町村の健康管理センターで診察を受けるのは自由である。

Q.プログラムは男性に効果を発揮した一方、女性には効果がなかったということだが、新しい改善策はあるか?
A.なぜ効かなかったかわからない。落ち込み以外の要因があるかもしれない。全体としては減ったことは確か。そのあたりについてはまだ研究が行き届いていない。

Q.データを見ると、自殺要因として、落ち込み、うつ病が増えている。その状況の良し悪しを知るのは、家族など身近な人であると考えるが、このプログラムでも医療機関と職場との連携等について取り組んだのか?
A.7つの対策にある。家族、友達、職場、近所も大事というのはフィンランドでも同じ。研究結果として出ている。また、フィンランドでは一般市民向けの講習で「他人に精神的に助言を与える訓練」というものもある。赤十字では包帯の巻き方講習があるが、精神衛生上の助言を与える講習である。

(報道)
Q.自殺原因を報道させないという話があったが、報道の自由との関係は?
A.フィンランドでも表現・報道の自由は保障されており、法や条例では規制できない。自殺の研究成果を発表する時などにマスコミも呼ぶが、そうした機会に、マスコミの人に自主規制をお願いをしているということである。報道で理由を書くべきではない。薬で自殺したとすると変死だから2週間ぐらい検査にかかる。その間は死因を報道できない。それで報道しなかったらいい。特に女性誌は自殺の記事が大好きで記事も多いが、よくないことで控えるべきだ。

Q.マネ自殺という話が出たが、日本でも人気アイドルの後追い自殺があった。フィンランドでも若年層の自殺は減っていないとあったが、こうした問題はないか?
A.誰が自殺しようが周辺が悲しむ。そんな中を取材やインタビューして歩くマスコミもある。問題であると考える。

Q.自殺防止の啓発が自殺を助長しないか?
A.広報などでも自殺という言葉は使ってほしくないと思っている。

(日本)
Q.日本の場合、借金や失業などの経済的理由での自殺が多い。そうした事例や対策は?
A.ないことはないが、フィンランドでは稀である。借金で家がとられるなどを懸念して家族で自殺した例がある。競馬での借金狂いを除けば、失業保険は手厚く、健康保険も手厚い。年金制度も充実しているので、生活苦で自殺というのはあまり考えられない。

Q.それではフィンランドは福祉が充実しており、将来不安も少ないのになぜ自殺するのか?
A.福祉が充実していても、精神的なもので起こるのである。絶望感を取り除けないから自殺するのである。

暗い時に不安がおきる。冬は真っ暗である。フィン人の顔も暗い。そのときに運動するのも効果がある。いま強いランプが導入されている。強いランプのある喫茶店もできて来た。それも効くと言われている。黄色ではなく、日焼けサロンのようなものでもない。白色の強いランプである。導入2年目。調査では冬になると男性の40%が大なり小なり落ち込むのである。一方で60%は何も感じていない。これも研究課題である。夏によく寝るということも大事。あまり寝ない人も多いが、暗くして寝ることも大事だろう。

Q.日本では、自殺は自己責任であり、行政が対策を立てる必要があるのかという一部の声がある。どう思うか?
A.こちらはむしろ自殺は自己満足、わがままだと思われている。自殺した人はいいかも知れないが、周囲が迷惑をかけるとという考えがある。

(その他)
Q.EU加盟で若者の夢が広がり、自殺が減ったという要因はあるか?
A.加盟でEUの域内での旅行や引越しが自由になるなど自由は増えた。いい指摘である。影響はあるかもしれないが、それは今のところわからない。

(その後)
Q.自殺後のケアプログラムは? 子供が亡くなったりして親が自分を責める場合もある。
A.こちらでも、自分を責める場合がある。周囲の人を含めて、健康管理は自治体が負っているのでそこのセンターに通うのがいい。医者が家族を呼び出す場合もある。自分を責めてはいけない。健康センターにいって治療としてやるのがいい。


意見.兵庫県では毎年1300人が自殺している。対策を立ててもなかなか減らない。国も2年前に基本法を作ったばかりで遅れている。今回の話は大変役に立った。

意見.日本には5月病というものがある。日本でもこうした取り組みが活かされるのではないか。


終了後、ヘルシンキ市内で、昼食。こちらへ来てからというもの話の内容が勉強になることばかりのため、メモだけでも相当な量になっている。移動のバスの車中でもパソコンを使ったり、睡眠時間を減らして整理やまとめの作成などをしているが、全く追いつかない…。基本は仕事が遅いということなのだが…。

その後、TRADE UNION OF EDUCATION IN FINLAND(OAJ。フィンランド教育職員組合)を訪問。同組合は教職員の待遇向上(賃金交渉など)という労働組合としての機能のほか、教育研究機能を有し、その成果を提言として政府に提出している。後者も活動の大きな柱という。組合長と意見交換。

ここ2、3年日本からの視察が増えており、文部科学省の研究教員の視察もあった。組合としても外国との交流も大切なことだと考えているし、日本とフィンランドは「美」や「趣味」の嗜好が似ていると思っている。PISAテストについてであるが、好成績をとったことは冷静に受け止め、飛び上がって喜んでいない。なぜなら十分であるとは考えていないからである。まだまだ発展させねばならない。もちろん良かったとは思っている(笑)。北京オリンピックでは想定通りのメダルがとれなかったのだが(笑)。

当組合はナショナルセンターだが、変わっているのは、フィンランドの教育関係の唯一の組合であるということである。1991年まで11組織があったが、私が組合長に就任してから全て合併し1つになったのである。これは他の国とは違うかもしれない。

その後、質疑応答。
Q.教育の成功要因は?
A.実は我々も成功していると考えている。57カ国が参加したテストで全ての科目で1位か2位なのだから自己満足してもいいでしょう(笑)。その第一の理由は、先生のレベルが高いこと。教師になるための専門の教師教育を5〜7年かけて教師を育成している。そして、なるべく落ちこぼれのない教育。また、組合員は117000人だが、全体の95%程度が加入している。組合が一つというのもやりやすいのでは。先生の交流も一本化できる。

Q.各学校の校長と組合の関係は?
A.校長は管理職だが、校長組合をつくっており、私たち教育職員組合の下部組織である(一同驚く)。

Q.組合はどんな構成なのか?
A.117000人のうち、基礎学校教員が61%、職業学校教員が23%、就学前施設教員が14%、大学講師が2%、その他教育関係者などで構成している。大学教授と准教授は加入できない。

Q.賃金や勤務条件の交渉は誰を相手にするのか?
A.それぞれの学校設立者である自治体の長や国の担当部局の長などである。全国統一の賃上げ目標を掲げるものの、自治体によって教師の賃金は異なっている。やはり首都圏は高くなっている。自治体側は個別交渉を望んでいるが、我々は統一要求を実現させたい。

Q.日本では民間出身の教員採用がある。教師になってから適性がなかったことが判明したり、指導力不足ということも指摘されることも背景にある。フィンランドでは民間からの教師の中途採用はあるのか?
A.現在の教員は全員適格者という免状をもらって現場で教育を行っている。それを後から誰かが調べることはできない(民間から採用する必要は全くない)。

Q.子供だけでなく教師も夏休みが2ヵ月半あり、登校する必要もないという。これは組合活動の成果か?
A.教師は休みの間に追加の講習を1〜2日受けることはあるが、その他の休みは自由なので休暇を楽しんでいると思う。校長の場合は新年度のカリキュラムを考える必要があるので、もう少し登校していると思う。現在、教師の年間の勤務日は188日である。昔は、土曜も学校があったが、夏休みは今よりもっと長かった。組合がなかったら2ヶ月ぐらいになっていただろう(笑)。

組合長が自信を持って答えたPISA評価世界一の第一の理由「教師のレベルが高いこと」。まさにこれである。日本の教師養成機関である大学の教育学部の入試については近年下げ止まったものの、その倍率(人気)で厳しい状況が続いてきた。日本全体では戦後、大学進学率が向上していき、一定の底上げもはかられる中で、取り残された感すらある。相対的学力が次第に低下(偏差値の低下)というトレンドは、明治の学制開始以降高止まりしたまま太平洋戦争を迎え、戦後は一貫してその権威とともに低下してきていると容易に推測できる。出生数の減少、採用数の減少という要因で採用試験の倍率は一定の高さを保ち、一定のレベルを保っているとはいえ、そもそもの職業人気を上げて、間口を広げ、進学段階でのレベルも向上させなければ、全く太刀打ちできないと思う。

大分県の不正採用事件で見られたように世間との意識乖離は変わっていないし、あわせて世襲化も進んでいるようだ。社会規範の崩壊やゆとり教育の見直しなど教育方針の度重なる方針転換(政治の誤り)、授業以外の書類作成などの事務、モンスターペアレントへの対応や家庭で行うべき子供のしつけまで教師に求められる日本の教師。少しばかり給与が高いというだけで、更に多くの人が希望する職業にすることができるだろうか。

年間188日の教育。子供には夏休みの宿題もない。社会全体で人気があり、尊敬される職業につくために、多くのコストをかけて、厳しい倍率の中を競争し、適性が確かめられたものだけが教員免状をもらえる。落ちこぼれをなくすことで底上げをはかったことが成績上昇の理由として挙げられているが、それより教師のレベルが大切なのはこの組合長の言う通りだと思う。


組合長に御礼を述べる視察団のF団長。小学校の先生出身です。お土産は風呂敷と扇子。



終了後、バスでヘルシンキ空港へ。車窓から相当な歴史を感じさせる街並みを見ていると、ソ連と戦争して空爆を受けた街とは思えないと思っていたら、「石やレンガの建物の場合、爆弾があたったところは破壊され、今でもその傷は残っているところがあるが、燃え広がらないんです」と。古い建物を大切にするフィンランド人。百年単位で使える建物なので、マンションの価格が下落することもほとんどないという。最後にMさんに日本から議員の視察はよくありますか?と聞くと答えて曰く「日本でオンブズマンが活動するようになって変な視察はほとんどなくなったよ」。…。デンマークの首都コペンハーゲンへ。

空港でデンマーククローネに両替。手数料が高い。EUの加盟国だが、通貨ユーロのへの参加は国民投票で否決されたためクローネのままなのである。バスでホテルへ。フィンランドとは同じ北欧というイメージがあったが、街並みの趣は異なるし、気温も高い。


ネオンの点滅が許されているコペンハーゲン市。中央はマクドナルドのネオンサイン。もったいない。



ホテルにチェックイン後、すぐに外出。JETRO(日本貿易振興機構)のKコペンハーゲン事務所長との懇談会。Kさんは財務省出身。いろいろデンマークの実情について教えて頂く。昨日のフィンランド大使館との意見交換会に続き、兵庫県パリ事務所のH所長の尽力でセットして頂いたものである。県議でこれだけの会合をセットしてもらえるというのは本当にありがたいことである。その後、事件発生。驚く。

  (未定稿)デンマーク、自給自足エネルギーを実践する島へ!
08/27 (水)

box.gif 小雨の中、ホテルからバスでカルンボーの港へ。


途中の高速道路から見える風車(風力発電装置)



サムソー島行きのカーフェリーに乗車


カーフェリー内で、これまたデンマーク在住30年以上というT通訳さんから有志で政治、経済事情について根掘り葉掘り教えてもらう。特に政治に詳しく勉強になる。学生時代にデンマーク人留学生と日本で学生結婚し、日本とデンマークの教育制度を比較して、デンマークでお子さんを育てたという。コペンハーゲン市の元社会福祉担当職員で、「世界の社会福祉年鑑」(旬報社)りデンマークの福祉を執筆されている。最近は裁判員制度について日本の司法関係者からアドバイスを求められたという。実はドイツの裁判員制度を改良したデンマークのシステムも日本は参考にしているらしい。コペン市職員時代には労働組合の仕事もしたという(後ほど調べたが、大変有名な方であった)。

Tさんも市民権を有するものの、参政権は地方議会のみで国会については投票できないという。最近18歳の高校生が市会議員選挙に立候補して当選。進路の関係ですぐに辞任したという話も。市議会の報酬は年間7000クローネ(20万円)。諸経費を入れて100万円ほどだという。国会議員の無役職の議員の年間報酬は45万クローネ(1100万円)。投票行動の多くは政策、政党の順。人間関係で投票するという人は聞いたことがない。国政は政党で選挙をする。無所属はない。地方議会では草の根政党もある。

Q.コペンハーゲンでは、たばこを吸う人やポイ捨てする人をよく見かける。恐らく日本より多い。実情は?
A.たばこは1箱約800円と日本の倍以上するが、最近若い女性の喫煙率が増えてきている。なぜかはわからない。
(意見)日本では1箱千円になったらやめるという人が結構いるが、800円でも減らないのなら日本も減らないかも知れない。


その後、サムソー島のコルビーへ。Samsø Energy Academy(サムソーエネルギーアカデミーへ)。デンマークにおけるエネルギー政策と現地調査に入る。サムソーエネルギーアカデミー(NGO)は島のエネルギーを島の中で自給自足するプロジェクトを主導している団体である。来週は、関西経済同友会も視察に訪れる予定らしい。


環境エネルギーアカデミーの建物



まず広報担当の Jesper Kjemsさんから説明を聞く。33歳と私より1歳若い。写真の左の女性はデンマーク国営ラジオ放送の記者。説明に入る前に取材を許可してもいいか尋ねられる。異議なしである。


「10年前に国の自給自足プロジェクトの募集が行われた。我々がその企画に応募して選ばれた。この島は首都コペンハーゲンから離れている。人が移り住んでくれるための計画を立てなければ、過疎化してしまう。エネルギーにしても島外から陸・海路の石油などに依存せずとも、島内にたくさんある「麦わら」を何とか利用できないかと考えた。島の人の強い意志もあり、一体化して協同組合をつくった。行政だけでなく、島の住民一体化がスタートからの目的でもある。現在かなり成功している。なぜプロジェクトにサムソー島が選ばれたかというと、位置的にデンマークの中心にある、またヨーロッパの中心でもある、つまり世界の中心にあるからである(笑)。選ばれて嬉しかった。島にはそれまで農業、観光の産業があったが、3つ目として再生可能なエネルギーが加わったのである。我々NGOオフィスはまとめ役で、実際の活動は公益、商業、農業団体や市であったりいろいろである。住民の草の根のアイデアからスタートしているし、協同組合組織なので住民意見が尊重される。環境思考の高まりもあり、家庭でもソーラーパネルをつける家も増えてきた。

具体的に何をしているのかというと、まず地域暖房施設があげられる。これは太陽光発電とウッドチップ、麦わらを島内の数箇所で燃やし、沸かしたお湯を各家庭に配り、床暖房などで家を暖めるシステムである。この島では小麦を生産しているので、麦わらはたっぷりあるし、風もいつも吹いている。これをいかに有効利用するかを考えたのである。麦わらは家畜の飼料に一部使っていただけで、ほとんど焼却し、焼畑農業のようにしていた。

地域暖房供給施設は島内に4つ。南3つは麦わら、北の1つは太陽光とウッドチップで燃料を賄っている。これで島の暖房の75%が賄える。持続可能な新エネルギーである。

島には他に11メガワットの風力発電がある(1メガワットの風力発電施設が11基ある)。風がないときはユトランドの方から電気を買っているが、こちらが売るの場合の方が多い。トータルでは100%を超えている。つまりエネルギーの自給自足である。

ただし、島では交通手段としてフェリーを利用しているが、これを自然エネルギーで代替するのは難しかった。フェリーは石油で動くのでCO2を排出する。このエネルギー分については、別に洋上に風力発電機を10基つけた。1基2.5メガワット。この自然エネルギーに由来する電力の発電でフェリーが排出するCO2を140%削減したことになる。

風力発電について少し詳しく話すと、運営会社は協同組合方式で設立されており、島の人にも出資して出資者として経営に参加してもらっている。このシステムは国際的な賞も受賞しており、在デンマーク大使館等の視察も多い。日本のメディアが取材に来て番組を作って放送をしたものを送ってきた。私はわからないので皆さんに今から見せるので正しいかどうか判断して下さい(笑)。」

番組はNHKのもの。風車建設の資金の作り方、住民の出資、直接の関わりと収益があがった場合の配当などについて番組にしていた。風力発電用の風車1基の設置コストは1億3000万円。1%130万円を出資して、1年で20万円の配当受けたという人が登場していた。あと数年で出資資金を回収し、利益を生むと思われるという。自然エネルギーに将来を感じ、菜種油でバイオガソリンをはじめた年配の方も登場していた。農業機械が低温の菜種油でも動くように機械を改造していた。

最後に、スタッフから当施設の太陽発電の説明。
現在の発電量は960ワット。使用電力は3000ワットなのでマイナスである。今日は天候が悪く太陽がでていない。こんな日もある(笑)。デンマークの電力発電全体から見れば、自給率100%を誇るとはいえサムソーは小さい。EU域内で電力の売買が自由化され、国内外で取引がある時代。こうした取り組みがもっと広がればいいと思う。

ここで、質疑応答。

Q.菜種油を利用して農業機械を動かしているということだが、この国のバイオエタノールの税制はどうなっているか?(私は日本の国税の元専門官だが)日本では軽油密造などは犯罪である。
A.独自に作ったバイオエタノールは、税務署に届ける。リッターあたり何キロ走ったか、ガソリンを使った時に支払う税相当で税務署に支払うことになっている。また、菜種油などの食料を燃料につかうと食料の価格をあげる。菜種油の使い方がこれでいいのかという懸念はもっている。

Q.島は人口4100人とのことだが、行政はどうなっているか?
A.島だけで1市。国の中で一番小さい市である。

Q.協同組合の出資者は何人か?
A.洋上、陸上の各2基が島の協同組合保有で、その出資証券を持っているのは、それぞれ450人ほど。他には島外の個人の投資家もいる。陸上のもののうち1機は600万クローネ(約1億5千万円)を1人で出資してつくったものである。数人のものもある。

また、洋上の5基は市が保有している。風車は美観を損なうという意見もあったが、投資した人は風車を見て「きれい」と言う(笑)。
また、協同組合以外の個人などが風車の設置許可を市に申請した場合、申請した風車の近くに協同組合の風車も建設しようとする場合は同意しなければならないというルールもある(風車は騒音などの点で迷惑施設なので、設置には住民の同意と市の許可が必要。実質的には協同組合の風車に対する優遇策)。

Q.エネルギー自給自足プロジェクトの総事業費は?
A.4億2000万クローネ(約100億円)である。

Q.風車などの耐用年数は?
A.風車は洋上、陸上とも基本的には随時修繕の方向である。地域暖房の耐用年数、償却期間は20年ぐらいか。風力は25年ぐらい。修繕にも一時的な投資必要。洋上も20年を設定している。発電機などを交換する。20年もたつとよりいい機械が生産されていると思う。それに変える可能性もある。

Q.風力発電の年間の稼働日数は?
A.答えにくい。1メガワットの風力発電1基で、600世帯の年間電力量を稼いでいる。風が吹いていないときは、外部から電気を購入する。稼働日数は問題でない。

Q.市の関与はどのようなものか?
A.市がまず先に自給自足コンペに参加し、イニシアチブをとった。各種の広報活動も支援している。市の条例で、個人の発電施設をつくったときに協同組合も一緒につくりなさいという条例をつくった。利益が出た場合、住民のために使う。この建物もその利益で作られている。

Q.あたなの給料はどこから出ているのか?
A.この建物施設を運営しているエネルギーアカデミーはNGOで、市からは独立している。私はNGOから給料をもらっているのではなく、EUの助成金、エネルギー節減基金から給与をもらっている職員である。基金とは電力料金の一部を基金として積み上げているものである。

Q.個人の出資者への課税優遇施策はあるのか?日本ならすぐそういう発想になるのだが。
A.国は風力発電への支援策として最初の5年間、発電1キロあたり60オーレ(クローネの100分の1)の補償を制度化した。個人の出資者に対する支援としては配当などの年間収益の3000クローネ以内は無税となっている。合計すると50%ほどの所得税がかかっているこの国で3000クローネという控除は大きい。銀行から借りて出資する場合も、借り入れ手続きが簡単にできるよう国が配慮した。最低保障があるので、銀行もすぐ融資した。

Q.日本では騒音や低周波の問題あったと聞いているがどうか?
A.風車の設置前は、迷信まであった。死んだ鳥が風車の周辺にうじゃうじゃするようになったり、旅行者が来なくなるという話である。そのような悪いうわさは、全く杞憂に終った。騒音も特定の距離を考えて設置場所の許可を与えたので、問題となっていない。

1つ問題なのは、太陽光が風車の羽根に反射して家屋内に入り、チカチカする場合である。1日10分ほど。イライラするという苦情があったので、コンピューターで計算して家に光が入らないように1日のうち10分だけ止めるなどの対策を行い、その問題は解決した。

Q.今後原油価格が下がれば、コストは相対的に高くなる。そのあたりの考えは?
A.このプロジェクトをはじめた当時は今の原油価格の半分以下だった。石油の値段はあまり関係ない。私の家は地域暖房だが、隣の家は未だに灯油を使っている(プロジェクトに協力的でない家ということを揶揄している)。(その隣の家の人には)原油価格の高騰は微妙な問題だと思う(笑)。ウッドチップの価格も変化している。これが環境にいいんだという信念をもってやっている。原油価格の高騰は関係ない。

質疑応答終了後、F団長から視察受け入れの御礼を兼ねて挨拶。「兵庫県はデンマークとよく似ている。人口、面積、日本の中心であること。今年、神戸で環境大臣サミットがあり、環境は特に重要だと考えている。なんとか兵庫でも取り入れたいと思っている」。その後、スタッフの方々とサンドイッチの昼食。彼は33歳と私より1最年下である。その後、現地見学へ案内してもらう。

まず島内に4つある地域暖房供給施設のうち麦わら焼却方式の施設へ。


山積みの麦わら。5年間契約の地元農家から持ち込まれる。乾燥の不十分な麦わらは燃えにくいので、受け取らないという



自動の麦わら裁断機で燃えやすいように小さくカットする



燃焼ボイラー内。中の黄色い炎が見えます。



管に矢印がついています。1本は上向き、もう1本は下向き。それぞれ家庭へ行く配管と家庭から戻ってくる配管です。暖房用なので飲み水のように減ることなく、ずっと循環し続けているのです


その後、風力発電施設である風車へ。


風力発電施設。間近で見ると思ったよりも大きい。高さは70メートル



特別な許可を得て中に入ります。「高所恐怖症の人は遠慮してください」との説明…



塔の中は空洞。最上部に発電システムの心臓部があるとのことで、アルミ製の階段を上ります。正直、恐怖との戦いでした



最上部に着くと外にも出ることができます。本当に怖かったですね。風力発電ができる土地なので風は強く吹いています。塔自体が揺れていました。


その後、地域暖房を実際に使っている家を訪問。


デンマークの場合、大西洋の偏西風が当たる地域は比較的温暖だそうです。この家では冬でも快適に過ごせるということでした


ここで現地視察も終了。その後、再びフェリーに戻り、コペンハーゲンへ。雨の中ではあったが洋上の風車も見える。


洋上の風車(風力発電施設)


明日、日本に帰る予定のため、今日は団メンバーだけで夕食。いよいよ終わりかと思うと寂しくなる。とはいえ今回は日本へ帰りたくなっているのも事実。こうした視察の場合、自分ではさむサンドイッチ形式の食事が多い。サンドイッチは好物なのだが、中に挟む肉類があまり合わないのである。デンマークにしても日本より食品の価格は2割ほど高いと感じる(フィンランドも同様)。日本より物価が高い国へ行くことが初めてなので、日本の金銭感覚で食事をすると、それなりのものしか食べられないということなのかもしれない。まあ高い。考えてみればユーロもクローネも円に対して相当高くなっている。当たり前のことではある。通訳のTさん曰く「食事は世界で日本が一番美味しいですよ」。私もそう思った。

夕食後も部屋に戻ってフィンランドのまとめ。フィンランドと違ってこのホテルはインターネットが使えるので助かる(日本で私が泊るようなビジネスホテルの料金では北欧ではどこも泊れません。それぐらい高いです。安くなるとフィンランドのホテルのようにネットにつながっていないのです)。しかし、今回は内容が多いのと通訳をはさんでいるので訳の確認なども含めて大変である。ただ新たな知識の習得が多いので嬉しい。結構楽しんでまとめているのである。

  (未定稿)デンマーク、高福祉でありながら国際競争力のある国!!
08/28 (木)

puri2.gif ホテルをチェックアウト。視察最終日だがみっちり予定が入っている。まずデンマークにおけるゴミ・リサイクル政策と現地調査。バスでコペンハーゲン市内のAmagerforbranding(ゴミ焼却・リサイクル施設)へ。環境問題については、北欧の先進事例は日本のHPを見てもすぐわかるのだが、現実にはどうなのだろうか。


Amagerforbranding(ゴミ焼却・リサイクル施設)


Amagerforbranding広報担当のスサンナさんから当施設について説明を受ける。懐かしいOHPを使って説明。
このアメヤごみ焼却場は1970年設立。コペンハーゲン周囲の首都圏5市が共同出資して設立した。他に有害ゴミを処理する施設が全国に一箇所ある。これは全国98市の共同出資である。80年代から環境問題としてリサイクルが強調され始めた。ここも営利目的ではなく市民還元、つまり、ゴミを燃やしたエネルギーを電力、熱供給に回すことが目的である。1990年以降は、リサイクルセンターに市民がゴミを持ってくるシステムになった。このシステムの運営も同時に我々が行っている。ゴミ埋立地ももっている。市民が捨てられるゴミ箱を設けている。例えば、スーパーに乾電池を捨てられるようにもしている。市民が出すゴミに関すること全てを担当している。設立5市の人口は53万人。域内には36,000の企業、施設がある。設立当時は23万5000トンのゴミの量だったが、現在倍増している。社会の変化に合わせ、この工場も改築工事などしているが、技術・収容面の改善も課題である。設立と同時に熱利用のための熱供給施設も完成したが、1991年からは発電も行うようにした。現在、コペンハーゲン市20万世帯の電力を供給している。これは市民の約半数である。


広報担当のスサンナさん


現在、5市に8箇所のリサイクル回収所を設けている。回収所のほかゴミ回収リサイクルセンターへの持込も無料である(個人宅の回収は有料)。中小企業の持込も無料だが、回収は有料である。家庭ゴミはゴミ税を払う。基本的に無料なのは有料なら高速道路や森に捨てる可能性があるからである。全てのゴミを回収したいというのが考え方である。家庭ごみは回収コンテナに絵(イラスト)が描いてあるのでこの絵に合わせて分別してゴミを入れる。よちよち歩きの子供もゴミを捨てている。そうして子供の頃から分別を覚えていく。

搬入されたゴミは、まず燃焼かリサイクルか埋め立てか3つの方法にわける。63%がリサイクル、26%が焼却、11%が埋め立て、である。アスベスト入り、化学処理木材、断熱材が埋め立てに回る。焼却は燃焼用ゴミ、台所ゴミ、企業ゴミ。41万8000トンを燃やす。発電にもまわす。企業ゴミの燃焼度が高いので、新たに高い焼却率をほこる焼却炉も必要となっている。住居の改善が進んでおり、工事現場からのゴミが多く意外と木が多いのである。家庭ごみは昔からあまり変化はない。


ゴミ運搬車。家庭ごみ回収車と建設資材の回収車


トラックでゴミを搬入すると、サイロに運ばれ、常時3000〜5000トンのゴミが入っている。自動クレーンが2機動いているので、ゴミを焼却炉に入れ、そこで焼却される。最大容量は17トン、焼却炉は4基。中の温度は950度。有害ガスは石灰を吹き付けたり、活性炭を使って洗浄する。重金属や水銀など有害物も含まれている。その含有量はネットでも公表されており、市民が調べることができる。その後、中和して埋立地にもっていく。

1日当工場を運営するのに4メガワット/日かかるが、一方で電力、熱(お湯)、鉄分(5460トン)、スラグ(ゴミ重量の20%)も出る。鉄とスラグはリサイクルする。スラグは高速道路の材料となる。ゴミの量全418,222トンのうち、埋め立ては22,000トンまで減った。

近年、埋め立ての適切な場所が見つけにくい。見つけてもその市が設置を嫌がる。ゴミの量が増え、焼却が追いつかない。一時的に保管する場所も足りない。リサイクル回収センターは去年1年間で12万トンのゴミを回収した。この回収センターの増設も困難になってきている。実は過去にあるセンターが途中閉鎖に追い込まれた。近所の市民が、うるさい、ゴミ粒子が飛んでくる、と主張したからである。代替施設の設置は困難である。ある市では既存のセンターを住居に変えたいということで閉鎖になったところもある。

その後、質疑応答。

Qフィンランドではペットボトルにデポジットを取り入れ、インセンティブのつけ方がうまいと感じた。こちらのリサイクルでも何かインセンティブの制度はあるのか?(デポジット:一定の金額を預かり金(デポジット)として販売価格に上乗せし、製品(容器)を返却すると預かり金を消費者に戻すという仕組みのこと)
A(デポジットは当然。1920年頃には既に導入されていたらしい。ビールや清涼飲料水についてはすべてリターナブル容器であり、使い捨て容器や金属缶の使用は禁止。ガラス瓶は30回、ペットボトルも約20回再利用されているという)。
デンマーク国民の大多数は分別が大切だと知っている。一部は気にしない国民もいる。そこで広報が大切。新聞、チラシをスーパーや図書館に置いておく。絶えず意識喚起することが大切。首都圏は所得層はまちまち。一軒家とアパート居住者には意識の差がある。アパートの近くには、コンテナを置いている。新聞、雑誌などの紙、非リサイクルビンのコンテナは町のいたるところに置いてある。独居者はゴミの認識度が低い。すぐにゴミが捨てられるようにしてある。ゴミが簡単に捨てられるという認識を国民にもってもらうことが大切。

Q家庭ごみ税はいくら払っているのか?
A市民1人年間平均年間2000〜3000クローネ(1クローネ=約25円)。この施設にはそのうち100クローネしか入ってこない。その他は運搬業者への支払や、ねずみ疫病保険に入ったり、必要経費にあてられている。

Q家庭ごみ税はどのように課税するのか?
A年2回、固定資産税と同時に課税している。持ち家の人は資産に応じて課税され、アパートを賃貸している住民の場合、直接請求されることはなく、家賃に含まれているという考え方である。

そのまま、ヘルメットをかぶり、現場のゴミ処理場を見学。


ストーカー炉の説明。建て替えの必要ありと感じました。デンマークでも迷惑施設の位置づけで住民は近隣への設置に反対するそうです。


ストーカ式焼却炉であった[ストーカー式とは階段状の格子(ストーカー)上にごみを供給し、格子の往復運動によって順次ごみを下方へ移動しながら燃焼する方式]。建設時の70年代では世界最新のシステムも姫路市で2010年に導入予定の「シャフト炉式ガス化溶融炉」のような最新式と比べると、ダイオキシンの発生など悪性物質の発生、再資源化、処理能力の低さなどで、施設の更新の必要性はこちらでも問題点として認識されていた。日本の方が施設面では進んでいるところが多いと思う。


広場に放置されているスラグ。雨にあてることによって重金属などの有害物質が固まるという??


分別意識や環境への関心は高い。とはいえ、これらの施設への住民の反対運動や旧式施設のままの運用、街中でのタバコのポイ捨てなど、課題はあると感じる。

その後、コペンハーゲン市中心部。自動車の排出するCO2対策としての自転車優遇政策の調査へ。Yさんから伺う。


自転車マークのあるところは自転車専用道路



街のいたるところにある自転車置き場。自転車といえば日本ではまず放置自転車問題が言われますが、コペン市中心部には210箇所の公営駐輪場を整備。前輪をセットし、施錠できるようになっています。無料です。



自転車専用道では自転車優先。歩行者とぶつかっても歩行者の責任になるそうです。自転車専用道がないところは自転車は車道を走らなければなりません。破れば罰金です。



最近は前後にリヤカーがつき子供を乗せることができる自転車が増えているそうです。通勤時に保育園に送り迎えする姿がよく見られます。



コペンハーゲン市のシティバイク(無料自転車)。2000台が整備されていますが、大半が利用中のようでなかなか見つけられませんでした。自転車には企業広告が入っており、鍵の部分に20クローネコインを差し込めば使うことができます。観光客の多い5〜8月に使用されます。



ハンドル部分にコペンハーゲン市中心部の地図。この域内しか走ることができません。



専用の自転車保管場所に戻ってきてチェーンの先を差し込むと先に入れた20クローネが戻ってきます。もし街のどこかに乗り捨てられ放置された場合でも、子供が必ず保管場所に戻してくれるとのことです(小遣い稼ぎ)



現在、市民の通勤手段の36%が自転車という。山がなく平坦な地形という地理的好条件もあるが、高い比率である。市は2011年にこの比率を50%にする目標を立て、あわせて、車を市内に乗り入れる人に対して、料金をとることを検討しているという。これによりCO2を年間21万トン節約できるという計算である。自転車道を整備し、現在自転車の利用者にアンケートをとったところ、80%の人が自転車道路に満足しているという。早朝にレンタサイクルで自転車道を走ってきたというIさん(県自転車競技連盟顧問)によると、凄いスピードで通勤している人も多かったという。リヤカーに子供を乗せている自転車通勤夫婦も見かけたという。

また、生活保護者や長期失業者に講習を受けさせ、半年間故障した自転車整備の仕事を担当させるなど、福祉施策の側面もあるという。


街中には自動車用の公営パーキングメーターも見られましたが。今後自動車の乗り入れを減らしていくかということで、市内入場料金制に行き着いたようです。恐らく実現されるのでしょう。


その後、コペンハーゲン市内中心部を通って、バスで空港へ。チボリ公園と言う有名な観光地もあるらしいが、最近スリがうようよしているという。実際にバスの運転さんはスリを捕まえたことがあるという。今回実際に身近でスリの被害にあったので本当に驚いたが、EUの統合によって、スリ流入という予想外の弊害もあったということはフィンランドと同じである。

現在、デンマークは経済がここ数年、年率平均3%超の成長を記録するなど好調。現在の失業率は2.6%とEU内のデータ公表国23カ国で最も低い。逆に人手不足で困っているそうだ。世界経済フォーラムの調査では、国際競争力もアメリカ、スイスについでデンマークが3位である。

Yさんは、その理由として福祉がよく、組合が強いにもかかわらず「企業が労働者を解雇するのが簡単な国である」という。組合の強いことと相反すると思うが、(企業が景気に合わせ雇用調整を行うことができる)「フレキシビリティ」と(失業させられたとしても充実した失業保険で安心に暮らせる)「セキュリティ」がしっかりしているのだという。この2つの単語をあわせて『フレックスキュリティ』という造語がデンマーク経済の好調な原因として研究者によって作られ、有名になっているという。実際、欧米からの視察も多いそうだ。

確かに、今日は木曜日。午後を少し回った2時過ぎだが、車の渋滞が始まってきた。木曜日も週末の金曜日と同じ様に週末のような扱いとなり、昼過ぎになると適当に仕事を終えて、市内に遊びに来る人が増えるため(デンマーク政府公認ガイド通訳Yさんの解説)、渋滞が起きているのだという。仕事に対する執着があまりなく、生活を楽しむために仕事をしているといった感じである。

「ダボス会議」で有名な世界経済フォーラムの2007年国際競争力ランキング
1 米国
2 スイス
3 デンマーク
4 スウェーデン
5 ドイツ
6 フィンランド
7 シンガポール
8 日本
9 英国
10 オランダ

■ 2008年春、スイスの経営開発国際研究所(IMD)の2008年世界競争力ランキング
1 米国
2 シンガポール
3 香港
4 スイス
5 ルクセンブルグ
6 デンマーク
7 オーストラリア
8 カナダ
9 スウェーデン
10 オランダ

22 日本

国際的に有名な2つのいずれの調査でも日本はデンマークに負けている。デンマークは「高福祉を保ったまま、国際競争力の高い国」になっている。この両立は凄いことではないか。第二次世界大戦でナチスドイツの侵攻にデンマークはほとんど戦わず3時間で降伏したという。一方、ノルウェーは3日後に降伏したという。デンマークに戦争の被害はほとんど出なかったが、ノルウェーは被害が大きかったという。どうせ勝てないなら被害を最小にと考えた結果だったという。少しずるいかもしれないが、生き抜く知恵がデンマーク人にはあるということでは(日本人でデンマーク公認ガイド通訳のYさんの話)。


世界最大の海運会社マースクラインの創業者A.P.ムーラー財団が寄付した総工費550億円の国立オペラ劇場(2.5ビリオンクローナ)。こちらでは成功者が寄付するのは当たり前のことのようです。ビールで有名なカールスバーグも「人魚姫の像」を寄付しているといいます。


一方、空港へ向かうバスの車中、Yさんによる年金制度の説明の中で、「デンマークでは独居老人は生活費がかかるため年金が2倍支給される」という説明があった。すると車内から、「偽装離婚する人たちはいないのか」という質問が出かけた…。日本で議員をしていると、残念だがこの種の話はよく聞く話である。ただし、デンマークで日本の議員が行う質問としては、かなり恥ずかしい内容。それだけに、自主的にストップされたのでよかった(安堵)。


修理中のデンマーク国会議事堂


最後に、「高福祉とはいえ、なぜ25%もの付加価値税を払うことに大きな文句が出ないのか」。と聞く。すると「政治がガラス張りだからです」。ネットを見てください。この国のことは何でも見ることができますよ。これも恥ずかしい質問だったかもしれない…。

コペンハーゲン空港からヘルシンキ空港。ここで乗り換えて大阪国際空港へ。

  (未定稿)帰国!!
08/29 (金)

kocchi.gif 機内で視察の内容、データ、写真整理。10時間ほどあり、徹して作業を行ったが、終了せず。

そのほか、デンマークの政治経済等について、Tさん、Yさんから聞いたことは、以下の通り。

(体制)
デンマークは世界でも日本の皇室についで古い王室をもつ立憲君主制の国家である。1973年にECに加盟して以来、現在のEUにも加盟し、ヨーロッパ協調体制に賛同している。ただし、通貨・欧州人条項など4条項についてはEU加盟にあたって留保しており、通貨はクローネ(複数形はクローナ)のままである(重要案件に際して行われる国民投票の結果。実際の為替レートはユーロにほぼリンクしている)。
(宗教)
国教はキリスト教で学校で聖書の授業は小学校で必修となっているほか、18歳以上の国民は教会税として収入の1%に課税され、代わりに教会での冠婚葬祭が無料という。ただし、他のヨーロッパ諸国と違って日曜礼拝にはほとんどいかない。隣人愛、倫理観は国民に浸透している。Yさんによると、日本人とよく似た宗教心の国民という。

(家族制度)
デンマーク人には自己決定、自己責任の考えがあり、強制されることを嫌う。18歳で親から独立し、一人暮らしをすることが一般的。親が年老いても同居することなく、経済的にもお互いは独立している。完全核家族の国である。だからといって親子関係が冷たいなどとは言われない。

(福祉)
世界一幸せな国という自負をもつ国民も多く、福祉の充実度や将来の安心を求める人が多い。自国民を安心感中毒症にかかっていると考える人もいる。逆にいうと税を払うことに対して仕方がないと思っている国民が一般的で、税に忌避感をもっていない理由は税の使われ方の透明性が確保されているからである。

デンマークは持ち家比率が高いが、持ち家をもてない低所得者のマンション居住者に対して、行政が農園付のセカンドハウス「ホロニーハウス」を福祉施策として整備し、貸し出している(夏の5〜9月)。低所得者であっても、花や木を植え、土に親しむことも保障されなければならないという考えという。実際のハウス群が立ち並んでいるのを見たが、外部から見えないように高い壁が設置されていた。これには驚いた。

(環境)
2001年まで政権を担っていた社民党・中道政権は、国民投票で原子力発電には頼らないということを国是とするなど環境問題に取り組み、2030年度に50%を風力発電でまかなうという目標をたてるなど、国際的にも有名になった。その後の自由党・保守党政権への政権交代によってエネルギー政策に対する補助金カットなどがあり、環境問題に先進的な同国の方針転換ではないかということで諸外国からも心配されたが、環境を重視する考えはそれほど大きく変わったわけではない。

(税)
税については、消費税にあたる付加価値税が25%と高いことはよく知られているが、所得関係税も高い。所得にかかる国税(5%〜14%の累進課税)、市民税(自治体により違うがコペンハーゲンの場合24.5%)、労働税(8%、雇用保険に充当?)、医療目的税(8%)と控除後の40〜50%が税でとられるという。また環境関連では自動車車両税は180%。100万円の車を購入するとなると、280万円かかるということである。

(地方自治体改革)
デンマークの現在の行政統治は2層制。2007年まで国・県(アムト)・市(コムーネ)の3層制であったが、行政改革と自治体サービスの向上のために、14あった県が廃止され、5つのリージョンという広域行政管理組織に再編される改革が行われた。一方、市も合併で270から98に減少した。それまで県は主に高校と医療、障害者事務を所管していたが、高校については国へ移管され、障害者事務については市へ、医療については引き続きリージョンが担うこととなった。ただし、リージョンが自治体でなくなり、課税権も与えられなかったことから、国の予算措置で事務を行うこととなり、国の財務大臣とリージョンの長である知事が予算協議する場が設けられることになった。またリージョンに対しては市が住民の医療利用度に応じて医療費分を納入することとなった。これにより、リージョンの歳入は国が8割、市が2割程度負担することとなった。

新たなリージョンの責任者である知事は直接公選で選ばれることになり、知事数は14人が5人に減少したほか、県議会議員は全員失職した(代わりに協議会のようなものが置かれた。県議でも知事や委員長クラス以外は兼業がほとんどだったという)。県職員については組合の交渉等により3年間の雇用保障が設定された。高校教師などは引き続き職があるものの、他の行政職員等については残る2年のうちに市や民間に移ったりしなければならないという。

この県の廃止という行政改革は、県側から出た話ではなく、国の政党間折衝で決って法律化されたものである。一方、市の合併は、強制ではなく全て任意であった。ただし進展がなければ国が法律で実施していたかもしれない。自治体間の地域間格差は平衡財政制度(自治体が財政規模に応じて一定額を自治体連合にプールし、財政状態に応じて各自治体に振り分けること。日本の地方交付税制度と似ているが、振り分ける主体が日本の場合、国であるのに対し、こちらは自治体連合である)で一定保たれているが、今後拡大するかもしれない。

ちなみにコペンハーゲン市議会の場合、議会は毎月1回、第3木曜日の17時からと決っている。市職員を含めて兼業することが可能である。労組出身で休職している議員もいる。

(医療)
医療費は臓器移植まで含めて全て無料。ただし、ホームドクター登録制で、このドクターの指示がなければ自分の意向で勝手に他の医師の診察を受けたり、入院することはできない。最近は、日本とは逆に男性が病院に行きたがらないことが(病気の早期発見の観点から)問題となっており、2009年から医師・看護師が職場を訪問し、血液検査や血圧測定、肥満度調査をするシステムを導入する。開業医となるには国の許可が必要だが、地域の人口基準によって数が決められている。

(年金)
65歳から年金が支給されるが、基礎年金額は1人13万円。独居者は2倍の26万円。これに職業加算分や住居手当、食事手当などが加わる。物価や付加価値税も高いため、これでは十分な生活ができないため、若い頃から個人年金を積み立てている人も多い。

(教育)
教育は小中高大全て無料。大学に行かずに職業教育校に行く若者も多い。

(産業)
産業は国内最大企業でもある世界最大の海運会社マースクラインのほか、糖尿病のインシュリンの世界シェア40%というノボディスク、世界シェア50%の補聴器メーカーのほか、IT、ソフト開発企業も有名な会社がある。労働は法律上、週37時間労働と決っている。金曜日は半ドンのところが多い。女性の就業率も世界最高レベル。国会議員の40%が女性。出生率は1.86。

少しだけ遅れて飛行機は関西国際空港に到着。夜に当たる時間も作業をしていたので、何度もアテンダントの方が差し入れに来てくれた。久方振りの日本茶が美味しかったこと。


日本茶


荷物をピックアップ後、解散式。同行してくれたYさんはじめ、様々な勉強をさせていただいたフィンランド、デンマーク両国の関係者、そのほか本当に大変多くの方にお世話になった。この場を借りて感謝したい。今回も国や文化の違いが基本にあるとはいえ、教育、福祉、環境、税のあり方をはじめ、大きな国のあり方や生活の中で何に重きを置くかなどという点で大きな影響を受けた。学んだことは今後様々面で活かしていきたい。

解散後、リムジンバスで姫路へ。蒸し暑い。途中、加古川、姫路バイパスが渋滞。2時間で到着予定が3時間半という大渋滞。この道路は平日の昼間にもかかわらず度々渋滞を起こしている。播磨臨海道路建設の必要性がいわれるのは当然である。このせいで中播磨県民局の地域づくり懇話会に間に合わず。残念ながら欠席。到着後、事務所。夜、どうしてもラーメンが食べたくなり、幸町の長浜ラーメン。美味。やはり食事は日本が美味しい。過去こんな風に思ったことはなかったのだが。体重も1キロほど落ちていた。これも初めて。

  (未定稿)始動!
08/30 (土)

kocchi.gif 時差ぼけは今回もなし。フィンランドの研究者的に言えば体内時計は狂わなかったのだろう。この間たまっていた新聞や書類に目を通す。

海外に行ってもニュースを伝えるメールが入るし、ネットが見れる場所も多い。携帯電話もつながるので大きな情報は入るものの、地域の情報や細かい分析は新聞にはかなわない。アフガンのペシャワール会の伊藤さんが誘拐され、殺害された事件を大きく伝える報道も。現地で生活する一般庶民のために活動していると現地で知られているペシャワール会のような団体でも、外国人排斥のために襲う反政府組織。誘拐実行犯人には多額の金が支払われたという。現地代表の中村哲医師はよく国会や民主党などに招かれ、現地の実情等を説明していた。その際にいつも言っていたのは、テロや身代金誘拐、麻薬栽培を起こす原因の根本にあるのは「貧困」ということだった。同団体が灌漑施設やお茶、穀類の栽培など農業支援をしているのは、貧困から解放することが目的である。残念だ。

その後、理容Mで散髪。いろいろ話す。夕刻から事務所で作業。来客対応。その後、播但線で姫路。若手の面々と夕食懇談。



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